進捗暗くずっしりとした黒い車体の助手席に座った俺に愛弟子が馬乗りになった。
暗がりでも分かってしまう位、顔を林檎の様に赤らめている様子が魅惑的で、気が昂るほど情欲を煽られた。
「ふふ……夜子は可愛いね……」
月に見守られた愛弟子はまるで、天上界から来た女神の様に輝いていた。
それほどまでに綺麗なのに、その瞳は官能的な熱を孕み、潤んでいた。
俺を焦がし、燃え上がらせていく。
ああ、凄く君は綺麗だ。
俺の手に余ってしまうほど。
前世から執着している俺に捕まってしまうなんて、君は可愛くて、かわいそうだね?
「つつっ………ウ、ウツシさん……今日は外なので……恥ずかしいから……服を着ていても良い、ですか……?」
了解を得ようと君は言うけれど、俺がうん、なんて言わなくても恥ずかしいから、服を着たままするんだろう?
それでもいいよ、他の男に君の裸なんて見せたくもないからね。
久々の逢瀬を心待ちにしていた愛弟子は焦れたように小鳥の様な拙い口吸いをした。
それは物足りなかったけれど、愛弟子からしてくれたのは初めてで、とても愛おしかった。
マシュマロの様な柔らかい頬に触れ、耳の傍までなぞる。
ふみゃ、と仔猫の様な声を出し、身体を震わせた。
そんな声が、月明かりだけが照らす暗く狭い車内に響き、愛弟子の耳が赤く染まる。
耳や耳の近くを触れると弱いのは前世からも、変わらない。
離れた唇を追いかけるように、食べてしまうかのように、愛弟子の唇に齧り付いた。
「んっ……」
驚いた小さな口に舌をゆっくりと慣れさせる様に挿れていく。
口の中は温かく湿っており、歯の裏に舌を這わせると身体を跳ねさせた。
気持ちよさから逃れようとする頭を抱き寄せて、離れないように固定する。
愛弟子は口吸いにも弱くてすぐに蕩けてしまうから、可愛くて俺は仄暗い想いを抱いてしまうんだ。
何も知らない身体を俺で染めて、俺しか見られないように、満開に咲いていた花達を一つ一つ手折っていった。
俺を見ていれば、俺以上の酷い男になんて引っかからなくなるから、良いよね?
愛弟子の舌の先を吸い、とろん、と涙目になる瞳を閉じさせた。
愛弟子は何度口吸いをしても目を開けたままするから、教えないといけないね。
うぶな愛弟子はそれはそれでとても可愛いのだけれど。
酷い俺で、ごめんね。
でもごめんよ、前世で手放した君を現世でも手放すことなんてできないんだ。