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    tada_00_

    @tada_00_
    自分用書きかけ倉庫。何の手直しもしていない、いつか書けたらいいなの健忘録。ぶつ切り。その他。

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    tada_00_

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    どうしても画像1枚に収め切れない。
    あんなに削ろうと頑張ったのに。
    ちょいた。

    2022.10.20

    艶やかな華「なんだ。今日も来たのか?」
    ――シャラン……、
     耳を飾る金の飾りが涼やかな音を奏でる。
     鎖骨から肩の大半を晒した豪奢で扇情的な着物を捌きながら、黒髪の美貌の青年は近頃よく見る桜色の髪のどこか品のある若い男を招き入れた。
    「迷惑だった?」
    「そんなことはないが、俺は安くないだろう?」
     言いながら艶々とした赤に金糸の刺繍が細かにされた座布団に手を添えると、桜色の髪の男は微笑んで慣れた風に腰を下ろす。
     目の前で淡く微笑む青年が、言葉とは裏腹にどこか嬉しそうなのに気がつかないはずもなかった。そっと触れるか触れないかの曖昧さで頬に手を伸ばすと、男は柔らかな蝋燭のように温かく微笑んだ。
    「金はあるんだ。使うところもないし、ならアンタに会うために使わせてよ」
    「物好きだな……」
     すり、と青年が手に滑らかな肌を擦り付けると、桜の髪の男はニカリと笑った。
    「今日は何の話を聞かせてくれんの?」
    「そうだな。この間話したすぐ下の弟の話の続きなんてどうだ?」
     楽しそうに顔を綻ばせて話す青年の顔を、桜の髪の男は目を細めて優しげに眺める。
     一夜を買うこの場所で、何もせずにただ話を聞くだけの贅沢な時間を楽しむ。
     彼に抱かれたいと大枚をはたくものを蹴散らして、金に物を言わせて彼を買う。買うことでしか許されないその関係に酔っては、連日彼を独り占めにする。
     そうして夜通し語り合って、いつの間にか疲れて眠るのだ。
     いつまで続くかもわからないこの関係が愛おしくて、切なくて、男はひっそりと眉を顰めた。
     今日も気まぐれに濡羽の髪にに触っては、騒つく心を誤魔化して夜は更けてゆく。
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    tada_00_

    DONE #お兄ちゃんワンドロ

    お題『吸血鬼』
    心持ち脹虎。
    吸血表現あり。
    生まれ変わり。
    吸血鬼だけど日本。あと、勝手に血の代用品捏造。
    心が広く、なんでも受け入れたるぜ!という頼もしい方のみお進みください。

    ここを使って投稿するの初めてなので何か不作法してたら申し訳ありません。
    芳しき血の香り 町外れと言うよりは、もはや森の入り口というような所に薔薇の花に囲まれた一軒の日本家屋があった。それは大層立派な屋敷で、広い平家に広大な庭まであるいつからそこにあるのかもわからないほど古い家だった。家の周りには生垣の代わりに真っ赤な無数の薔薇が、まるで侵入を拒むように密に植えられている。日本家屋と言ったら桜やら松やら椿やらそういったものの方が似合うのではないかとは思うものの、不思議としっくりとその場に馴染んでいた。
     そこにはその屋敷に見合うように旧華族だから武家だかの由緒正しき末裔が住んでいるとかで有名だったが、住人の姿を見た者は誰一人として居なかった。そんな曰く付き、みたいな立派で古い屋敷など好奇心旺盛な子供や若者には格好のアトラクションで。よくはないことだと分かってはいても不法侵入を果たす者はぽつりぽつりと後を絶たなかった。そうすると決まって行方不明になったり、運のいい者は帰ってきたりもしたものの記憶をなくしたりと不可解なことが起こるので次第に誰も近寄らなくなっていた。確か、帰って来られた者の共通点は家の長子ではない。とかであった気がするがあまり関係もなさそうだと、人々は無事とは言えなくとも怪我もなく戻って来た者の所以に首を傾げていたが。それでもいつしか長男長女は特に近寄ってはならないとその地域では伝え聞かされるようになった。
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