ロナルド君を転化させたら◯◯化した件「まだ、おきれる…」
「ダメダメ、いくらフィジカルゴリラの君でも体を作り替えてるんだ、本能に従って休みなさい」
「ん、ん~~」
「そんなに駄々こねたらジョンお兄ちゃんに呆れられるよ」
「や、だぁ…じょん~」
「ヌヌヌヌ、ヌッヌイヌヌヌ~」
「ん~~」
諦め悪く新調した棺にそっと横たわり、とろりと瞳を閉じた君の前髪をそっと整え
まだほの温かい体温を感じた
「ねえ、ロナルドくん」
「…ん……」
「これで君は私の…」
「ドラルク!!そろそろポー…ロナルドは目が覚めたんじゃないかい?!……え」
「お…御父様…」
いつもながら騒々しく、常にも増して抱えきれないプレゼントをボロボロ撒き散らしながら愛する父が窓から登場した
いい加減ドアから入れば良いのに、またロナルド君に怒られますよ桟が歪むって
そんな軽い突っ込みを入れる余裕すら今の私にはありませんが?
ちょっと残念な愛息家は片足を掛けた不安定な状態でピタと固まってしまった。良い体幹ですね羨ましい
まぁ、この状況ならそうなりますよね
突然何の前触れもなく愛する息子が乳児を抱えていたら
「え…と……ま…孫???いや、、ポールが産んだらひ孫……?????」
「はぁぁ?!何をとッ散らかったことを…大体ロナルド君に隠し子作る甲斐性なんてあるわけないでしょう??ていうかロナルド君が産むとかなに?!???」
「だって……2人の子どもだろう???」
「はぁ~~~~?!私とロナルド君でどうして子どもを作る事になるんです?!」
「え?」
「え?」
「ずいぶん小さくなっちゃったね」
「っ……御祖父様…」
いつもながら急に現れるのは辞めて頂きたい
ロナルド君の血を頂いたお陰で少しブースト掛かってるのか普段より元気な気もするが、なにより今は取り落としたりしたら大変な事になりそうな柔い命を抱いているんだから
何時ものように透明な表情の瞳で私の腕の中で健やかな寝息をたてているもの(いや、気配を隠してた御祖父様はともかく御父様の騒音でよく起きなかったな?!)を覗き込んで
「ドラルク何を言ったの?」
「…やっぱり暗示…ですか」
思い当たりをストンと当てられて漸く頭に落とし込めた
「え?え?な、なに?ドラルク?御父様??」
「ええと…その…噛んだ後、彼を眠らせる時にですね…
『これで君は私の息子だよ』
…というやり取りをしまして…」
「うん」
「うん…」
……ん?!何だこれ?!なんで??!?やけに恥ずかしいんだが?!?!足元でジョンが【お耳が砂!気をつけて!ドラルク様!!】って気遣ってくれている、ありがとうねジョン、でもかえって気恥ずかしいよジョン
…というより御父様?!何でそこで赤面してるんですか?御父様?!???
「…ちょっと待ってください??じゃあこの子…」
「うん、昼…ロナルドくんだね」
「は?ぁあぁああああ?!?!?!」
「「「「転化おめでとーーーーーーーーー!!!!」」」」
「赤子が寝てるとこに騒音持ち込むなーーーー!!!!!」
「ヌァァァァーーーーーーー!!!」
クラッカーを鳴らしながら親族が雪崩れ込むなとかどういう状況?!???
あ…もう確実に歪んだな窓枠
いや、よく起きないねロナルド君
ビックリしすぎてちょっと強めに抱き締めて大きな声で叫んじゃったけど
なんやかや
「御母様、恐いのでそのまま動かないでいただけますか?」
「ほら、ミラさん大丈夫だよ!赤ちゃんは柔らかいから突然曲がってビックリしたでしょ?ほらこうして…はい、そのまま座って大丈夫」
「あ、ありがとう…ドラウス…」
「まあ…私はすぐ死ぬからなかなか抱っことか出来なかったでしょうから」
「「そんなことない!!」」
「…!!!!!」
「た、確かに抱き上げたら砂になってだいぶ心に来ることはあったが」
「だったら私たちが寄り添えば良いだけだよドラルク」
「そっと添い寝をして抱き締めていたんだ」
なんやかや
「私が育てたらもっと傷付かないように、強かに、甘え上手で、いつでも賢く立ち回れるように、健やかに育てる自信はあります。でも、それは彼じゃない。私が育てたら、あんな奇跡みたいな優しい子には育てられません。私はロナルド君の魂というものがあるのならそれも含めて愛しています。けれど、それは本質ではない。私が愛しているのはそれも含めて総て、彼の人となりも過去も含めて愛しています。難しい事は承知しています。今の彼は吸血鬼だ、スタートからして違っている。けれど、少しでも可能性が高い環境に近付けたい。サポートならいくらでもします。育成ゲームなんて割り切れない。この子をリセットするなんて考えられない。だから、どうか元のロナルド君に育て直してください」
「…勝手な言い分じゃな」
「はい」
「催眠…というのとは違うのか…暗示というのは…まあ、お前さんの父親でも解けんものなら…」
「…はい?」
「…」
「…」
「試しては…」
「…」
「高等吸血鬼はアホばっかりか」
「ちょ…ちょっとお待ちください…あ、御父様?…え?いや、もうクローゼットはパンパンですよ…いや、いくつ天井に吊るす気ですか…いや、そうではなくて御父様にお願いが…いえ!良いから直ぐに来て!!!」
「ごめんよドラルク…初孫に浮かれちゃって……」
「そもそも御祖父様…どうにか出来ましたよね??」
「言われなかったし……面白そうだったから」
「ですよね?!」
理由
「…息子……」
「んん???」
「…お前の…息子になるって言った」
「み°…まっって…ごめん、それ恥ずかしいからちょっと…お兄さん達の前でやめ」
「………相棒…だって思ってたのに」
「!!!!!!!…!、」
「あー…ポール……」
「ドラルク…」
「っ!!ちっ…ちが…わない…けど!!その、それはほら、様式美…的な」
「そりゃ5歳児だって散々言われてたけどさ…俺は……」
「だ、だからそれは行き違いというか」
「ドラルク」
「御母様」
「ちゃんと聞きなさい」
「あ」
「話してごらん」
「……でも、お前が子供欲しいとかそれが俺が良かったんだなとか…嬉しくない訳じゃなかった…けど…でもそれは、なんか…違う……気がする」
「……ごめんなさい」
「うん」
「ロナルド」
「…俺もなんで赤ん坊になっちゃったのか分からなくて、でも、どうやって戻るのかとか分からなくて、、眠くて頭ぼぅっとしてて、皆に迷惑かけた。ごめんなさい」
「はい!」
「はい、ドラ公」
「い、言い訳…させてくれる?」
「おう」
「その…これからこの先もずっとずっとずっとを君と過ごせるんだって思っちゃって…私、舞い上がっちゃって…なんか嬉しさがこう…空回っちゃって…伝えたい言葉とかほんと溢れてたんだけど、直接的な繋がりなんだって思ったらもうなんか月並みなセリフになってしまった」
「カッコつけようとするからだろ」
「はい」
「嬉しかったら、やったー!!うれしー!でイイじゃん…」
「はい」
「…俺…」
「ロナルド君」
「はい」
「君の代わりなんて居ない、私の生涯唯ニのかけがえない相棒だよ」
「…最初からそう言えバーカ」
「ヌンヌ、ヌヌヌヌヌンヌヌイヌーヌヌ!!」
「俺もジョンの相棒にしてくれんの?!」
「ヌーヌン!」
【審議中】
「何してんの??」
「何をなさっているんです??」
「はい!」(挙手)
「???はい、御母様」
「伴侶…と伝えなくて良いのか?」
「「……………は?」」
「親兄弟の前で恥ずかしいかも知れないが、こういうことはキチンと齟齬なく正しい言葉を用いなければまた困ったことになるのではないか?そもそもそういったすれ違いは後からジワジワと溝を広げるぞ夫婦関係は最初が肝心で」
「お か あ さ ま ??????」
「ドラルクのお袋さん???????」
「あ、御義母様とかは姑ぽくてなんかあれなので、折角若い子から呼ばれるならママが良い」
「あ、じゃあ私はパパ」
「じぃじ」
「お義兄さんは恥ずかしいので今まで通り頼む」
「同じ」
「ヌンヌヌン!」
「ちょっっっっ…と、まっって!!??!?!」
「なに、俺…お前と結婚してんの??転化…ってそういう暗喩…????え??」
「おいコラ!センシティブ深読みルドくん!君まで勘違いストリームに巻き込まれるな!てかここで一人にしないで!!!!!」
「ヌンヌヌヌヌヌヌヌ」
「年貢の納め時ってなに?!なんでジョンが訳知り顔なの?!?!」
「「「「「ごめんなさい」」」」」
「いえ、、それにしても勘違いが酷い…」
「確定申告とか、扶養控除とかどうなるのかと思った…転化するのにめっっちゃ手続きしたのに」
「おい君が引き摺るな」
「でも結婚だったら転化手続きもっと簡単だったんじゃね?」
「…それは、、、そうかなのか???」
「もうずっと家族なのに結婚以外は証明煩雑なのワケわかんないよな……ってなんで死んだ?」
「あのね…ほらご覧、鎮火した筈があんなにソワソワした顔になっちゃって…」
「小兄…ドレス小さい…」
「ドレ…っ?」
「おさがり」
「ヒマの?!?着ないよ?????」
「なら白無垢はどうだろう?!私の時は洋装だったから」
「え?!ミ、ミラさん着物が良かったの?!?!」
「御母様参戦しないで」
「式は身内だけでも披露宴はせにゃいかんじゃろ」
「しないよ?????」