その名を忌む -現在-官邸を襲撃後、宇宙へ逃れた大統領を追うべく、クジラ型戦艦は大統領の乗ったロケットの痕跡を辿りながら、飛行を続けていた。
「……」
ふと目を覚ました副官はぼんやりとした意識の中、枕元の時計を確認した。
「…!!」
ガバッと起き上がり、慌ててベッドから跳び降りる。
まずい。寝過ごした。
副官は急いで身支度を整えると、操舵室のドラコルルと交代するため、仮眠室を飛び出した。
ドラコルルは、操舵室の艦橋に座りながら、時計を見た。そろそろ副官と交代する時間だ。遠征時、いつもなら30分前には来て、自分と交代するよう催促する彼が、今日はまだ来ない。クーデター以降、心労の多い仕事が続き、疲れているのだろう。
「副官を起こしてきましょうか?」
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