ファンタジーパラレルなロビぐだ♂第3話「―――公が来るんだってよ。」
そんな世間話が耳に入ってきたのは、東から紫の[[rb:帳 > とばり]]が街に覆い被さろうとする時間帯だった。
ちょうどロビンは森から街に出てきていた。麻縄や布のような市場でしか手に入りにくい必需品を買い足し、ついでに[[rb:麦酒 > エール]]の一杯でも引っかけて帰る算段である。物資の調達は滞りなく済み、夕方には目論み通り酒場の戸をくぐることが出来た。
徐々に賑わいを増していく店の片隅でジョッキを傾けるロビンの耳に、その話は偶然入り込んできたのである。
「…………」
こういう時に耳をそばだててしまうのはもう習性といって良い。様々な方面に敏くなければ長く旅暮らしはやっていけないのだ。不審に思われない程度に話が聞こえてきた方向へ身体を寄せる。
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