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    saipoko2021

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    11/27開催寂左・左寂webオンリーイベント【41.750km】展示作品

    10月のCLBで配布したペーパーの再録です。
    寂雷の思いつきからドライブ旅行に出た左馬刻が連れて行かれたのは。
    ネップリ(豆本)在り。
    A7折り本/8p/20円(モノクロ印刷A420円×1枚) RN8C4B6P

    #41_750km
    #寂左馬
    desolateHorse
    #寂左
    lonesome
    #ヒ腐マイ
    hypmic bl
    #寂雷
    silentThunder
    #左馬刻
    leftHorseCarving

    『箱根旅行記』~食欲の秋~『もしもし、左馬刻君?』
     その声に逆らえる奴なんて、いない。

     連休が取れたのでドライブに付き合って欲しいと、突然の誘いに頷いた左馬刻は寂雷が運転するアルファードに乗って国道1号を西に向かっていた。
     代わり映えのない街並みを追い越して、人気のない海岸線を横目に古い城下町に入る。
     途中、道の駅で腹拵えをして、今度はキツい傾斜の道を山へと向かった。
    「道の駅、ではなくてあれは漁港の駅だよ。」
    「……どっちだっていいだろ。」
     至極冷静なツッコミにふんと鼻を鳴らせば、運転席でくすりと笑う気配。軽くあしらわれるその感覚が悔しくも心地よく。
     ハマよりも一足先に色づき始めた山の稜線を見るとはなしに眺めやる。
     狭い空間に二人きり。言葉少ないやり取りも不快ではなく。家にいるよりもむしろ寛いでいる自分にどこかくすぐったい気分になる。
    「どうかしたかい?」
    「いや。いい加減種明かししてくれてもいいんじゃねぇか、センセー。」
    「何のことかな。」
    「一国走ってるときはショウナンにでも出るのかと思えば一息にオダワラまで来ちまった。で、今度は山越えだ。
     センセーの目的地はどこなんだ?」
    「ふふ、ようやく聞いてくれたね。」
    「あのな……ま、いいか。で、どこだ?」
    「内緒だよ。」
    「おい、」
    「冗談だよ。もうすぐ着くから。」
    「……楽しそうだな、」
    「そうだね、楽しいよ。」
     言いながら、車は急カーブを幾つか抜けて次第に深い木々の中へと入っていく。
    「こっちってなんかあったか?」
    「この道を真っ直ぐ進めばアシノコだよ。さっきの道を曲がればゴウラだね。」
    「で、センセーが行くのはどちらでもねぇ、と。」
     言う気のない寂雷の言葉を先取りすれば、良く出来ましたとばかりに左手がついと頬をなぞる。猫を甘やかすようなその仕草を振り払うより、俺は。
     悪戯な指を捕らえて、左馬刻はちゅっと音を立ててキスを落とした。
    「危ないよ、左馬刻君。」
    「先にちょっかいかけてきたのはセンセーだろ。」
    「仕方ないね、」
     ちょっと返してね。
     するりと俺の手から抜け出して、シフトレバーを操作する。かなり奥まったそこは、別荘が点在するエリアの一つのようだった。
     砂利が敷かれた区画に車を止め、車を降りる寂雷に左馬刻もまた外に出る。
     オダワラの港より更に一段下がった気温に、ハイネックの襟を抑えてぶるりと首をすくめる。
    「ここは?」
     目の前に立つ洋館と言ってもいい一軒家に寂雷を見やれば、彼は迷いなく玄関に立つ人物に歩み寄り声をかけた。
    「久しぶり、急な話で悪かったね。」
    「いいえ。ここは坊ちゃんのものでもありますから、いつでも気兼ねなくお声かけください。」
    「『坊ちゃん』という年でもないのだけれどね。」
    「このじいにとっては何時までも『坊ちゃん』ですよ。
     こちらのパンお好きでしたでしょう。朝食にどうぞ。」
    「貴方には敵わないな。ありがとう。」
    「勿体ないお言葉です。では、ごゆっくりお寛ぎください。」
     寂雷の後に立つ自分にも一礼して、いっそ執事服でも似合いそうな老人は森へ消えていった。
    「さ、入って。しばらく使ってないけど、手入れはされてるはずだから。」
    「…………待ってくれ。」
    「?」
    「色々端折りすぎなんだよ、アンタは。
     一からきっちり説明してくれや。」
    「ああ。ここは神宮寺の家が持っている別荘だよ。先程の彼は祖父の代から管理人を務めていてね、おかげで私は未だに子供扱いだよ。」
     そういう寂雷に気負いはなく、彼にとってはごく普通のことなのだとイヤでも分かる。
     そういう世界を知らぬ訳でもない。自分も『普通』ではないことは自覚していても。
    「やっぱ、そっち側の人間なんだな。センセーは。」
    「左馬刻君?」
    「俺とは住む世界が違うわ。」
     ぽつりと呟いた言葉をどう取ったのか、寂雷が左馬刻へと向き直る。自分は、一体どう取って欲しいのだろうか。
     自分を見下ろす宵色の瞳を、今は見返す気分にはなれない。
    「そうだね。」
    「っ」
    「人は誰も、同じ世界を見ることはできない。同じ視点を持つことはできないから。
     でもね、同じ世界に在ることは必要かい?」
    「ひでぇな、センセー」
     突き放すような物言いに、けれど触れる手は温かく。
     端から同じ世界など望んではいないのだとお互い分かっているから。らしくない感傷ごと飲み込むように手を伸ばしその唇を奪う。
    「……」
     黙って抱き寄せてくれる腕の力に身を任せて。
    「ほら、中を案内してくれよ。センセー。
     今日はお泊まりなんだろ?」
    「ふふ、そうだよ、
     君とゆっくり過ごしたくてね。」
    「そりゃ光栄だ。
     なら夕飯は腕を振るわせてもらおうか。」
    「おや?」
    「そのためだろうよ、あの荷物は。」
     トランクのクーラーボックスを揶揄してニヤリと笑う。

    「せいぜい『ゆっくり』しようぜ、センセー。」
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    貴方が出したCPシチュガチャは…
    10秒間キスしないと出られない部屋に閉じ込められ、攻めが受けにするものの、受けの息が続かなくて9秒で止まる えだひのきのカリ烈です、おめでとうございます!
    #CPシチュガチャ #shindanmaker
    https://shindanmaker.com/970270

    やっと書き終わった
    後、出られるとは言ってないです
    △△△

     入ってくる光の量が目覚めたばかりの目には多くてチカチカする。窓のカーテンを閉め忘れて寝たらしい。
     昨日は、確か……。
     思い出そうとすると頭がズキズキ強く痛みだす。二日酔いか? 神父として、寝酒で深酔いするとは情けない。
     反省して、頭をスッキリさせようと身体を起こすと首がビキッと鳴る。床で寝ていたのか背中や腰も固まって鈍く痛い。どれ程、眠りこけていたのだろう。
    「カリム! やっと、起きたか☆」
     ぼやける視界に力を込めると、物がハッキリ見えてきた。鼻と鼻が付く距離まで近づき覗き込むレッカが、安堵した表情でカリムが目覚めた事を喜ぶ。
    「随分と目が覚めなくて、心配したんだぜ? 」
     不安からかレッカの凛々しい眉毛がなかなか上がらない。
     だが俺は何故レッカが"俺の部屋"に居るか、の方が気になる。
    「うるさいぞ、レッカ」
     頭に響いて響くだろ。興奮したレッカの暑苦しい声は現場の何処に居てもすぐ分かる程に大きい。余程に心配させたのは悪いと思うが、目の前で耳の鼓膜が破れそうな程の声を張らなくても聞こえている。
    「カリム、驚かずに聞いてくれ。俺たちは閉じ込められているんだぜ! 」 4461