12 アル空今日はこれといった記念日ではないはずだ。誕生日でもないし、想いを伝えるイベントがある日でもない。
しかしアルベドの研究室、その一角にあるデスクの上には、リボンの巻かれた箱や袋、束ねられた手紙が山積みになっていた。
「アルベド、これは……?」
ここ数ヶ月実験を進めていたアルベドが、ひと段落ついたからと空を誘い部屋に招くまではよかった。が、これまで見たこともないようなプレゼントと思しきものが山になっているのを見て、もしかして自分は何か特別な日を忘れているのでは? と不安が拭えない。
空の視線が向く方へ顔を動かしたアルベドは、無感動に「あれか」とこぼした。
「最近、絵画教室を開いてね。今回は女性が中心に集まったんだけど、何回か開催していたら、日に日に贈り物を貰うことが増えていって……」
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