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    えこり

    高銀字書き/息をするようにパロを書く

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    えこり

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    例の雑誌表紙に辛抱ならなくなって書いた硬八SSです。なんだあの銀八、えっちすぎる……
    硬派くんが弄ばれてる。モブが出ますがモブ銀的な絡みはありません!むしろ可哀想なモブ。

    #高銀
    Takasugi x Gintoki
    #硬八

    ルビーの視線「じゃあ銀八先生、次カメラ目線ちょうだい〜。お、良いね! じゃあそのまま目線外して……」
     スタジオの中にシャッターの音が響き、ストロボが光る。レンズを向けられた先では、ピンクのシャツを着て灰色のネクタイを締め、白衣を纏った銀髪の男性……坂田銀八が、カメラマンの指示に従い次々とポーズを取っていた。正面のカメラに向かって微笑んだかと思えば、椅子にしなだれかかるように座り意味深な流し目を送る。小道具にと渡された赤ペンや書類を細い指が弄ぶ様子は、色気すら感じさせた。
     服をしっかりと着込み、厭らしさなど欠片もない撮影の筈なのに、狭いスタジオの中には妙に艶めかしい空気が漂っている。誘われるようにシャッターを切りながら、男性カメラマンが感心したように言った。
    「すごいねー、カメラ慣れしてるね。大抵アニメ主演が決まって初めての撮影って、みんな緊張するんだけど。……てか、前に撮ったことなかった?」
    「あー、多分それ他人の空似ですね。良く言われるんすよ、ジャ○プ主人公してなかった? って」
    「そうそうジャ○プ系だったわ確か! なんだ〜、人違いか」
     そんな世間話を挟みながらも、撮影はつつがなく進んでいく。
    「じゃあ次せっかくだから、ちょっと色っぽいの撮ってみようか〜」
     カメラマンの声掛けで、銀八はネクタイに指を掛け、顎を引き上目遣いでレンズを見ながらゆっくりと首元を緩めていく。
     その瞬間、ビリビリと痺れるような視線を背中に感じ、これまでその存在をあえて気にしないようにしてきたカメラマンが、とうとう音を上げた。
    「あの〜……ところでそこに座ってる学生服の彼は?」
    「ああ、コイツ? 気にしないで良いですよ、見学したいって言ったから連れて来ただけなんで」
    「いや、気にしないでって言ってもさっきから威圧感ってか殺気? が……」
    「あー、チビのくせに目付き悪いだけなんで。な、高杉」
    「誰がチビだ。それに俺は見学したいなんて一回も言った覚えはねェ」
     話を振られた高杉は、不機嫌さを隠さないまま低い声で言う。高校生とは思えない迫力にカメラマンがたじろいた。だが銀八は気にした様子もなく続ける。
    「どうせ補習が終わったら暇だったんだろ。また喧嘩とか問題起こされるより、目の届くところにいた方が安心なんだよ。それに……」
     白い指が、再びネクタイに掛けられる。挑発的に細められた赤い瞳が、銀縁越しに高杉の右目を覗き込んだ。
    「俺が変な気を起こされないか、見張ってた方が良いんじゃねぇの?」
    「チッ」
     高杉は顔を歪めて大きく舌を打つと、足を組み直して椅子に深く座り直した。先ほどよりも鋭い視線が、カメラマンに食い込む。
    「んじゃ、気にせず続けてください」
    「ああ、うん……すごい睨まれてる気がするんだけど……」
    「気のせいっすよ」
    「そっか、それなら良いか……」
     カメラマンは冷や汗をかきながらも、早くこの撮影を終わらせることを優先したらしい。ハンカチで顔を拭ってから、再びカメラを構える。そんな彼の前で、銀八は白衣をするりと脱いだ。男にしては細い腰が現れ、カメラマンが動揺したようにファインダーから顔を離す。「あ、あの銀八先生?」
    「こっちも撮っておいた方が良いかなーと思って。オフ写的なの、欲しくないです?」
    「あー、いやまあ、確かに撮れ高的には美味しいけど……」
     ガン! と後ろから音がして、カメラマンがひぃ、と小さく悲鳴を上げる。恐る恐る振り向けば、ただでさえ機嫌の悪かった高杉が、苛立ちを隠しもせずに足を揺すっていた。
    「おい、備品壊すんじゃねーぞ」
    「てめぇ……何つー格好してんだ」
    「何って、白衣脱いだだけじゃん。え、何? 高杉くん、センセーでイヤらしい妄想でもしてんの?」
     わざとらしく言う銀八に、高杉は再び舌打ちをする。
    「ンな訳ねーだろ。さっさと終わらせろ」
    「はいはい。って訳で、よろしく、カメラマンさん」
    「ああ、はは、はい……」
     本音を言えば、もう撮影どころではないだろう。だがプロとしての矜持で、彼はなんとか撮影を続けた。
     レンズの前で、銀八は、再びポーズを取っていく。赤ペンを構えたり、ゆったりと椅子に腰掛けたり。ピンク色のシャツが色白な肌に映え、タイトなズボンが細身な体のラインを強調するようだった。
     しばらく、フラッシュと衣擦れの音だけがスタジオに響く。カメラマンもいつしか、吸い込まれるように夢中でシャッターを切っていた。
     やがて銀八が徐に、セットとして置いてあったテーブルの上に白衣を広げる。その上に寝転がり、カメラに向かって口角を上げた。レンズ越しに赤い瞳に見据えられ、カメラマンが動揺したように肩を揺らした。誘うようなその視線に、無意識のうちに手を伸ばしかけたそのとき。
    「銀八……ッ」
     低く呻くような声が聞こえ、彼はハッと我に返る。後ろを見れば、椅子に座ったままの高杉が、右手で口元を覆い、何かに耐えるように眉間に谷間を作っていた。髪の合間から見える耳が赤く染まり、肩で息をしている。
    「んー? 何、高杉くん?」
    「……チッ」
     何かを話す余裕もないのか、小さく舌を打った後、高杉は俯いてしまう。具合でも悪くなったのかと、カメラマンが声を掛けようと思ったとき。
     銀八が体を起こし、カメラマンの横を素通りすると、高杉のもとに歩み寄った。
    「あーあ、ったく。だから夜のゲームは程々にしとけって言っただろ。すいません カメラマンさん、高杉の具合が悪くなったから帰っても大丈夫です?」
    「あ、あぁ。多分データは十分だと思うけど……」
    「助かります。んじゃ、お世話になりましたー。ほら、行くぞ」
     脱いだ白衣を高杉の肩に掛け、立ち上がるのを支えた銀八が、その耳元で何かを囁く。内容までは聞き取れなかったが、高杉の喉仏がゴクリと上下に動いたのを、カメラマンは確かに見た。
     スタジオを出ていく二人の背中を見送りながら、彼は理解してしまう。
     銀八の瞳が映していたのは、カメラやレンズの先のカメラマンではない。その先の高杉を、ずっと見ていたのだと。
    「はぁ…………」
     何だか一気に疲れが襲ってきて、思わずカメラマンは息を吐く。撮影したデータを確認するのが楽しみだったのに、途端に気が重くなった。

     それから数ヶ月後、白衣を脱いだ銀八が蠱惑的に微笑む姿が表紙を飾った雑誌が店頭に並ぶ。
     それに対して高杉がどんな反応をしたのかは、カメラマンの知るところではない。
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