このクソッタレな世界で「銀時ィ」
「銀八先生、だろ」
机に向かう高杉の手元には、開いた形跡が殆どない国語の教科書と、真っ白なプリント。椅子にふんぞり返って筆箱を取り出す気すらないような様子に、銀八がため息を吐いた。
「何のために休日出勤して補習してやってると思ってんだ。さっさと問題解け。そして俺を帰らせろ」
「別に頼んでねぇよ」
「クラスから留年する奴が出ると査定に響くんだよ。給料が下がるの」
「なあ銀八、タバコ吸って良いか」
「お前なあ人の話聞いてた? あと未成年が煙草吸うんじゃねぇよ」
相も変わらずマイペースな教え子に、銀八は疲れ切ったような表情をして右手で眉間を揉む。高杉は少し体を前に出し、そんな銀八の顔を下から覗き込んできた。
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