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    @rio_danmei

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    ワンライのつもりだったけど、途中で仰●ニュース見ながら書いてたので2.5ライくらい?ただただ毒瘤がだべってる話です。天官賜福全巻ネタバレがあります。

    ##三毒瘤

    三毒瘤①水師殿で裴茗と水師は優雅に高級茶を啜っていた。

    二人は他愛もない話をしていたが、裴茗がふと「貴方。血雨探花を知っているか?」と水師に言った。

    「天界に奴を知らない神官がいるのか?玄真と南陽がまたあれに絡まれたらしいな」
    「あの二人は花城が勝負を挑んだ三十五人の中の二人だ。一体何を鬼王閣下の気に障ることをしたのやら」
    「さして興味もない。三十五神官も私が飛昇する前のことだ」
    「三十三人も貶されたのだから百余人程度の上天庭だ、三分の一が損なわれたことになる。恐ろしいな」
    「花城が神官に勝負を挑んだとき、裴兄はすでに飛んでいたのか?」
    「上がっていた。僅差だったがな。が、わからん」
    「何がだ」
    「花城は一体何を基準にして三十五神官を選んだんだ?」
    「……ああ。強さではないだろうな。挑まれなかったことが不服か」
    「まさか。面倒事が避けられてよかった。貴方や私のような者は古今東西あらゆる方面から恨みを買い怨念が山のように背に積もっているのだから、強力な鬼の気まぐれにまで付き合わされてはたまったものではない」
    「くだらない」

    裴茗は吐き捨てた水師に「どうした」と言いながら目を向けた。

    「結局、負け犬が恨みを晴らすためには勝利が必要なのだから、我々が負けなければいいだけではないか」
    「水横天。世の人が皆貴方のように尊大で自信が漲っているとは限らない」
    「お前が手を出した女人に鬼王の情人がいないとも限らん。だが裴兄。貴方に女を奪われた男が殺しにきて、それにむざむざと殺されてやるつもりはないだろう?だから貴方は懲りずに馬鹿みたいな真似を続けている」
    「そこまで極端な相手に手は出しませんよ。私は貴方ほど何も恐れるものがないわけではない」
    「ハ。花城の話もそうだ。結局のところ三十三神官が奴に何をやって目を付けられたかは重要ではない。負けたことが問題だ」
    「当時、私はあがってきたばかりでこんなものかと思っていた」
    「どうした。裴兄よ」
    「花城があの事件を起こす十年ほど前に神武大帝に一騎打ちを挑んだ勇者が居た」
    「あの三界の笑い種か?面識があるのか?」
    「ない。私が飛んだときにはもう彼は貶されていた。傑卿は多分知っているが。人間だったころの人生のほうがよほど波乱に満ちていたからすぐには気が付かなかったが、あの頃は天界では伝説になるべく多くの出来事が立て続けにあったという話だ」
    「確かに貴方の飛昇した時代は、四人もの武神が飛昇し、名景も三つ揃って……ああ、そうだな。雨師もこのあたりか」
    「…………」
    「そう不味そうな顔をするな」

    愉快気に笑う水師に裴茗はふっと息を吹いた。彼は気を取り直して続ける。

    「つまり、同時代に五人もの神官が昇ったことも珍しく、天帝に挑む武神に、三十三神官に挑む鬼、ましてやそのまま三十三もの神官を損失したのだから天庭は大打撃だ。こんなことは滅多にあることではない」
    「そうだな。しかし、結果として多くの神官が損なわれたことで貴方や玄真、南陽といった武神が古参の部類に入るようになったともいえる」
    「実力と言ってもらいたいですね。血雨探花の行いが天庭の世代交代の一因になったことは違いないでしょうが……そういえば、これらの話に隠れて、直ぐに消えた話もあったな」
    「裴兄が噂に興味を持つのは珍しいな」
    「なんてことない。飛昇門の前に見たこともないぼろぼろの鬼が立っていたという話だ」
    「なんだそれは?」
    「何百年も昔にほんの一時あった話だ。見たという神官ももういない。一瞬だけ、そこに見たこともない少年が立っていた。そして、瞬きの間にその姿は消えてしまった」
    「飛昇門と言ったな、飛昇したのか?」
    「さぁ?鬼が飛昇門前に立っている姿を見た誰かが居たというだけの話だ」
    「なんだそのなんの益もない話は。鬼はそもそも天庭に入れるのか」
    「警邏を務める武神官の腕とやる気の問題じゃないか?」
    「適当だな裴兄よ。だから女に刺されるのだ」
    「刺されてない。この話は……ただなんとなく覚えていただけだ。この眩いばかりの天庭にみすぼらしい小鬼というのは、なかなか印象深い。一種の趣を感じる」
    「さして興味がない……」
    「関係があるかないかはわからないが、銅炉が開山していたのもこの時期だな」
    「落ちたのかもな」
    「え?」
    「氷蚕は寒さを知らず火鼠は熱さを知らず蓼虫は苦さを知らず……好き好んで蓼を食う虫がいるように、鬼界のほうが好む奴がいてもおかしくはない」
    「……」
    「そうだろう?金をバラまいてみたら天界がどういうところかとてもわかりやすい」
    「確かにな。それに関して一つだけ友として忠告がある」
    「友としてか。いいだろう。ぜひ拝聴しようか」
    「貴方は弟に金をばらまく悪癖を教え込まないほうがいい。貴方の弟は世を知っているが貴方の傘の中で知っているに過ぎない。見ているものを触れるものは違う。貴方の弟は悪意を見たことがあっても悪意に触れたことがない。金を落とし、仙僚がそれを拾うという行為が何をもたらすか自覚がなさすぎる。これは友としての忠告だ」
    「あの子のことを貴兄は嫌っていると思っていた。意外だ」
    「貴方の友だから言っている。私と貴方の間には金銭の付き合いが絡んでも失われない関係があると思っている。あの子には金銭の付き合いが全くない誰かが必要ではないか」

    裴茗がここまで言ったところで水師は腹を抱えて爆笑し始めた。

    鼻白んだ裴茗が口を開く前に無渡は整った高慢な相貌に血色を帯びさせて、彼の肩を叩いた。「最近、あの子は陰気で態度の悪い無口な暴力男とつるんでいる。私は全く持って気に入らない」そう、彼はぼそりと呟いた。

    顔をあげてまだ笑っている無渡はもう一度裴茗の肩を叩いた。

    「考えておこう」


    ***

    裴茗と水師がズカズカ無駄に堂々とした足取りで霊文殿に入ってきたので、巻物の海の中で深い眠りについていた霊文は開けたくもない瞼を持ち上げねばならなかった。

    「色欲の神と金銭欲の神が揃ってなんの御用ですか?」

    裴茗は腕を組んで返事をした。

    「傑卿。実は我々は武神と水神なんだ」
    「知ってます」
    「本日も多忙だな」
    「ええ。どこかの馬鹿がまた懲りずに舟をひっくり返しまして、その水域を地盤にしている神官からの苦情の対応を朝までしていましたから」

    ニッコリ笑った霊文に水師は「私に言えばいいものを」と片眉をあげた。

    「貴方に言えないから私に言いに来たんでしょう」
    「小物の対応をする時間は無駄だろう」
    「苦情を言ってきたのはれっきとした上天庭の神官ですよ。そう思うなら貴方が対応してください。早く謝ってきてください」
    「私が下げる頭を持っていると思うか?」
    「そんなことばっかり言ってますと、踏みつけられて頭下げさせられますよ」
    「そんな日は来ない」
    「お引き取りを」

    霊文は床から起き上がることなく話し、再び目を閉じた。

    「ご機嫌斜めだな傑卿」
    「ここまで話して何故私がご機嫌斜めなのか理解できませんでしたか?誰のせいで私は巻物に埋まっている?」
    「すまない霊文」
    「謝らないと言っていたのに、前言撤回が早いな水師兄」
    「私が責任を持ってその神官に挨拶しに行くから名を言え」
    「挨拶が何を意味しているかは知りませんが、余計な仕事だけは増やさないでくださいね」
    「善処しよう」
    「誓ってください」
    「宣誓する。仕事を増やさない」

    裴茗は隣でニヤニヤと笑った。そして机に寄りかかり、そこに積まれていた巻物の山を崩して倒壊させ、霊文に降りそそいだ。

    ようやく起きた霊文は隈で目の周りが黒くなった顔で「そういえば貴方たちは本当に何しに来たんですか?」と聞いた。裴茗は霊文に硯で殴られた額からボタボタの赤い血を流しながらもはにかみ、「友に会いに来るのに理由はいらない」と歯を見せて笑った。

    「私の地盤の山でいい温泉が見つかったんだ。よかったらどうだ思ってな」
    「貴方のせいで発生した仕事が終わったらご一緒します」
    「では、行ってくる。邪魔したな。」

    水師は霊文に聞いた相手の殿に向かうために辞去した。金塊を片手に脅迫でもするのだろう。

    「老裴、その血液を書物につけたら許しませんよ。そこにある布巾で抑えてください」
    「傑卿が殴ったんじゃないか……」
    「もうどうでもいい……疲れた……疲れました……皆消えてなくなって欲しい……」
    「悪かった傑卿。巻物は今拾っている」
    「本当に無理……」

    半刻後。気絶した霊文を抱え、裴茗と無渡は温泉に向かった。



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