エンドロールにはまだ早い昼時も過ぎ、午後の勤務に慌ただしくなるのは、フォルモーント・シティポリスでも変わらない。街の巡視に向かうものや書類を抱えて廊下を通り過ぎていくもの、または犯罪者と思われる人間とそれを連行する厳しい顔の警官などで煩雑としている。周囲の人々の邪魔にならないように端を歩きながら、カインは愛車のカギを手で遊びつつ自身の部署へと向かっていた。
「ようカイン!いま戻りか?」
気さくに話しかけてきたのは同僚の男だった。片手をあげてカインも笑って返す。
「ああ、午前は見回りで終わったよ。そっちは今から外回りか?」
「まあな。そうそうお前に伝言があるんだ」
「伝言?」
「署長がお前のこと呼んでたぜ。戻ったら署長室まで来いってさ」
42583