終煙怪奇譚:「メメメ」.
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ふるふるふると、自身のやるせなさに震える。
ふつふつふつと焦げる心の底が、じれったさに悶える。
考えども考えども浮かばない。インクの一滴すらも進みがない。苦しく、悶え、気が晴れず、言い知れぬ心地悪さに浸食される。何かが浮かびそうで浮かばない。
ごうんごうんと、そしてがたがたと震える洗濯機の群れに囲まれながら待合の椅子に腰かけ、煙草を咥え、万年筆と手帳を片手に髪を掻き上げる。持ち上げた脛を置いた片脚が貧乏揺すりをし出しそうだ。
レトロなコインランドリーで、晴れ晴れとしない鬱屈さともう少しで何かが掴み取れそうなもどかしさに浸されている。
「クソッ、締め切りまで間がないぞ」
幸か不幸か、しかし有り難さなのか。
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