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    ほなや

    腐ってる成人。何とか生きてる。気ままにダラダラしたりゲームしたり。
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    ほなや

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    2コ目小説投稿。
    FCゲーム『スiクiウiェiアiのiトiムi・ソiーiヤ』ディック×トム。キャラ捏造。年齢操作有。
    ※事後表現有

    #腐向け
    Rot
    #BL小説
    blNovel

    無題[Side T]

    目を開けて最初に視界に写ったのは、傍らで眠っているディックだった。少しの間その姿を見つめた後、目を擦りながら辺りを見渡してみると部屋の中は暗く、窓から覗く月明かりにまだ夜中だということに気付いた。
    ふと、頭の下に何かが敷かれているのに気付く。いつも使っている枕とは違う、硬い感触。それを手でそっと触れ、視線を辿ってみるとディックの腕であることが分かった。だが本人は、頭の重みなど気にならないとでも言うかのようにすやすやと眠っていた。
    ふと、寒気を感じ身体を震わせる。シーツからはみ出している肩に目をやると、何も身に付けていないことに気付いた。
    視線を元に戻すと、ディックも何も着ていなかった。互いの今の状態を把握し、数時間の出来事が徐々に思い出されていく。段々とその出来事が脳内で明確になるにつれ、剥き出しの肩も含め再び身体が熱くなっていくのを感じた。
    トムは目を強く閉じ胸に手を当てて深呼吸した。息を吐き切り身体を落ち着かせ閉じた目を開いた後、相も変わらずすぅすぅと寝息を立てて眠るディックの姿があった。
    冷静を保ちながら、今度は寝顔をじっと見つめる。何度も見てきている整った顔。彼の育ちをそのまま表したかのような凛々しい表情。今目の前にあるのはそれを残しながらも浮かべる柔和な表情。心なしか普段よりも幼く見える。
    時々考える。どうして自分なんだろうと。
    ずっと友達でいた筈なのに。変わらない関係だと思っていた筈なのに。とある日、ディックがいつもとは違う真剣な表情で告白してきた時は一瞬何を言っているのか理解出来なかった。勢いに押されたのと、今にも泣いてしまうんじゃないかという表情を浮かべていたのもあってつい肯定の言葉を返してしまった。
    その後、そういう関係-つまり恋人同士となったトムとディックだが、外では変わらず友人として接しており劇的に関係が変化したりはしなかった。
    変わったのは、2人きりになった時。最初はディックの表情が以前よりも柔らかくなったくらいだったが、2人だけで過ごす時間が増えていくほど濃密な触れ合い-抱き締め合ったりキスを交わしたり-が多くなっていった。2人だけの時間そのものも増えていっているのは間違いではない、とトムは思っていた。
    それから数ヶ月後、いつものように寝室で過ごしていた時、ディックがトムにキスをしてきた。ここまでは今までと変わらない。だが、その後からがいつもと違った。唇を啄み合っていた時、ディックが突然トムの咥内に舌を差し込んできたのだ。今までに無かったことにトムは驚き、咄嗟に頭を後ろに下げようとしたが後頭部をディックの手で鷲掴みにされ引き戻された。
    ディックの胸を押して離そうと抵抗を試みたが、後頭部ともう片方の腕で腰を固定されていることと更に舌だけでなく、咥内をも舐め取られてしまっているのもあって上手く力が入らず、結果的にされるがままになった。
    何度も角度を変えて繰り返されるキスから漏れ出る粘膜の音に、トムはついていくのが精一杯でまともに何かを考えることが出来なくなっていた。次第に服を掴む力が弱まってきた時、ずっと咥内を弄んでいた舌の動きが止まり、合わさっていた唇が銀色の糸を作り離れた。ぷつりと糸が切れ、目を潤ませ息を整えながら唇の端を手の甲で拭うトムの耳元にディックは濡れた唇を近付け、囁いた。

    『もっと、君に触れたい』

    熱い息を吹き掛けられるように耳元で囁かれた言葉に、トムは身体を震わせた。散々あんなことをしておいて一言何か言ってやらねばと思っていたのに、頭は逆上せあがり腰に力が入らずまともに身体を起こすことも出来ない。頬をそっと手で添えられ、顔を上げさせられる。そこで見たのは、頬を紅潮させあの時と同じ表情を、眼差しを真っ直ぐに向けたディックだった。
    その目は駄目だ。そう言いたかったのに、抗うことが出来なかった。
    トムはディックの肩に顔を埋め、ゆっくりと腕を背中に回した。それに応えるように、ディックはトムを抱き込みベッドへ倒れ込んでいった-


    あの時に初めて身体を重ね、その後もこの寝室で事を及ぶことが幾度とあった。
    告白を受け入れたあの日も、交合うことに頷いたことどちらも最初は勢いに流されて-と思っていた。否、思いたかった。素直に認めることが出来なかったのだ。本当は全く嫌ではなかったことに。
    そして何よりも頭と心に焼き付いたのだ。告白の返事に首を縦に降った後の、ディックの心から嬉しそうな表情を。
    正直、不安が無いと言えば嘘になる。変化した関係に、この先どうなるのかということが。
    だか今は、こうして眠るディックに寄り添い、心地良い体温を感じていたい。そう思い、ディックの胸にそっと額と手を当てて心臓の音を確かめるようにゆっくりと目を閉じた。



    [Side D]

    ディックは目を開け、視線を下に向けディックの胸に額と手を当てて眠るトムを見た。そして腕に乗っている頭の重みに、表情が緩んでいくのが分かった。
    実を言うとトムが目を覚ます前から起きていたのだが-その時はまだ頬が若干紅潮して、漸く息を整え終えてぐったりしながら眠るトムを満足気に眺めていた-しばらくすると、眠っていたトムがゆっくりと目を開けていくのを目の当たりにした。その目がディックを写す前に反射的に瞼を閉じ息を潜めた。
    シーツが動くのを感じた。気付かれない程度に極々僅かに目を開け様子を伺うと、まだ覚醒しきれていないのだろう。目を擦りながら辺りを見渡している。
    その後、今度はディックの腕に触れ始めた。腕枕をされていたことにここで初めて気付いたという表情を浮かべていた。そして、身体を震わせてその剥き出しの肩とディッ クを見て胸に手を当て深呼吸する仕草に、薄目で視界に限りがあるとはいえ色の含んだ息遣いに数時間前のことを思い出しているのだろうというのが分かり、ディックは緩みそうになる口角を必死で抑えた。今すぐ目を開けてこの腕で抱き締めて、その顔にキスの雨を降らせたい衝動をも抑えなければならなかった。
    息を吐き切り、トムはもう一度此方に視線を向けた。観察するかのように、じっと見つめて。
    ほぅ、と見惚れているかのような表情を浮かべている。
    トムのこんな表情は未だかつて見たことがない。新発見だと湧き出る興奮を抑え初めて見る顔を変わらず極々薄目で観察した。
    そんな時間がしばらく続いた後、トムの表情が若干変化を見せた。僅かに眉を下げ戸惑うような顔。それを見た時、ディックはトムが何を考えているのか何となく分かった。
    トムはディックと2人きりでいる時、こんな表情を浮かべることが屡々あった。だが本人は何事も無く話し掛けているのを見ると無意識なのだろう。

    (そんな不安にならなくても、僕は)

    トムと初めて出会った時、その強引なまでの積極性と猪突猛進な行動に最初は戸惑いがあった。あの宝探しの冒険では仲間と一致団結して苦難を乗り越えたが、それが終われば会いに行くことも無いだろうと心の底で思っていた。
    だが冒険の過程で次第に分かってきた。仲間の危機には真っ先に自分の身を呈してまで助けに駆けていくこと。それで自分がどれだけ怪我を負っても笑って大丈夫だと平然と言ってしまえること。そして何より、仲間のために心から泣いたり怒ったり笑ったり出来る少年だということを-
    だが、筏を下りて別れる最後の時までそれを言うことはなかった。思ってはいても素直に口に出すことが出来なかったからだ。
    再び出会ったのはあの冒険から3年ほど経った頃だった。家業の手伝いで街に行く経由でセントピーターズバーグの村に休憩で訪れていた時、聞き覚えのある声が自分の名を呼んでいるのが聞こえてきた。まさかと思い声のする方に振り向くと、手を振りながら此方に駆けてくるトムの姿を目にした。

    『やっぱり、ディックだ』

    そう言いながら、心底嬉しそうな表情を浮かべるトムに釘付けになった。
    今思えば、その時に自覚したのだろう。トムに惚れていることを。
    たくさん話したいことがあるとトムが言い、村から少し歩いた先にある森へと連れられ、大きな木の下に腰を下ろし2人きりで会話をした。互いがこの3年間どう過ごしていたか、今はどんな生活を送っているのかなどとにかく沢山話した。聞いて聞いてと顔に出しながら満面の笑みを浮かべて話すトムに、あの時と変わらないと思うと同時に嬉しくもあった。
    それからも2人は出会って森の中で話をしたり遊んだりした。と言っても毎日ではなく、ディックが家業の手伝いで村に立ち寄った時の間だけではあるが。それでも2人の友情は育まれていった。そしてディックの恋心も。


    それからまた時が経ち、遂にディックはトムに想いを告げた。同じ場所-森の中で。
    あの時のトムは何が何だか分からないとでもいう様な、呆けた表情を浮かべていた。無理もない。今まで友達だと思っていた人間、しかも男にそんなことを言われるなんて一向に思いもしなかっただろうから。
    この想いを心の中にしまったまま、墓の中に持っていこうと思いもした。だが、村に訪れる度にどうしても目の当たりにしてしまうのだ。絶えずトムの回りに人が寄ってくるのを。そしてその時に浮かべる柔らかな笑みを-
    誰にも渡したくない。取られたくない。この腕の中に閉じ込めてこきたい。とめどなく溢れてくる独占欲に想いを隠し切れず、玉砕覚悟で告白をした。だが展開は予想とは異なりトムは頷いたのだ。その時の衝撃と歓喜は一生忘れられないだろう。
    友達から恋人へ関係性は変わり、少しずつ想いを育んでいった。最初は寝室で会話。日が経つにつれキスもするようになった。
    そして今、抱き合うようにもなり夜中の寝室でディックの腕に頭を乗せて眠るトムを眺めている。
    愛しさが込み上げてくる。それと同時に、未だ夢を見ているようにも思う。こうして好きな人と一緒にベッドで眠る日が来るなんて村に訪れた当初なら思いもしなかっただろう。
    そして気付きつつある。トムがディックの想いに対して満更でもないということに。ディックの胸に手を添えて寄り添うように眠っているのがそう物語っている。
    もし何か不安に思っているのなら、もっと話そう。寄り添い更に想いを育んでいこう。そう心に刻み、自由な方の腕を伸ばしトムをそっと抱き寄せ、もう一度眠ろうと目を閉じた。
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    嗟弓@ A29393221

    DONEアテンション
    BLオリジナルストーリー 異世界現代風 小説参考キャラビジュイラストあり
    他サイトに掲載済み
    ね、見て綺麗かつては人間が支配していた青い星。その支配はある日を境に変わってしまった。人間以外の動物が人間と同等の知を持ち、四足歩行を突如として始めたのだ。動物上分類で、自らと種類が異なると相手を他種族と呼び、逆もそう呼んだ。人間の築いた文化は崩れ、元々飼われていた動物の文化と混ざり、新しいものとなった。そこで起きた社会問題についてこの本では解く。
    1〜
    『他種族と混ざってはいけない』これはこの世界に周知されたルール。
    他種族を決して愛しても、恋をしていても。体を重ね、一線を越えることはこの世で社会的に死ぬのに等しい。周囲にバレると死刑は確定する。
    もし、仮に他種族と体を重ね産まれてくる子がいるのなら。その子はまず死に至る。有名かつ常識的な話。自らの持つ種族遺伝子とパートナーの持つ種族遺伝子が別である…つまり他種族同士場合。その遺伝子同士は決して結び付くことはない。ゲイやレズ…同性同士では子が孕めないことに似ている。ところが、それらと違うのは腹を大きくできるところだ。しかし残念ながら、腹を痛めて産む子は生物ならざる姿、形で産まれる。そして半日もすれば死に絶える。肺も、エラもなく心臓どころか、脳も骨もない体で産まれ息もできず死ぬ。
    6629

    片栗粉

    DONEうちの子(侍)×うちの子(詩人)のBLです。すけべにいたりそうな雰囲気です。キャラ設定はこちらをご覧ください→https://poipiku.com/8793653/9349731.html
    雨とセンチメンタル 雨は時々、自分を感傷的にさせる。黒衣森は雨が降っていることが多く、必然的に雨の日には嫌な思い出が付きまとう。
     ここラベンダーベッドも例に漏れず雨が多く、まさに小雨が降り出したところであった。
    「少し夜風にあたってこようかな」
    ユリウスはエールの注がれたジョッキをぐいと飲み干して席を立つ。玄関扉を押すと微かに聞こえる雨音。
    「一服したら戻るよ」
    ひらひらと手を振って、扉を閉めた。玄関ポーチで感じる夜の風は、酒を飲んで少し火照った体に心地良い。ふうと息を吐いて煙草に火を点けた。
     たまたま、偶然、こればかりは仕方ないと思っているが、雨の日に母が亡くなったのを思い出しては感傷的になる。
     口にくわえた煙草を吸い、細くゆっくりと紫煙を吐き出す。ユリウスは普段であれば煙草を吸わないが、時々こうして感傷に浸る際に1人で嗜む。冒険稼業の合間に各地で集めた煙草をひとつひとつケースに収めて持ち歩いている。今日のは林檎の甘酸っぱいフレーバーだと店員から聞いていた。林檎の甘い香りと爽やかな酸味が口内に残る。
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