番外編産後の入院も最終日。真斗が迎えにくるとベッドで赤子を抱きながら待っていた。
「真斗さん、この子の名前考えました」
「そうか。俺も色々と案はあるのだがいまいちしっくりこなくてな」
トキヤがサイドテーブルの手帳を取り、開いて見せる。
〝真凛〟
「……ま、りん、か?」
真斗がそのまま読み上げると、トキヤははにかんで頷いた。
「真斗さんのように、真っ直ぐ凛とした子になってほしい」
「俺はそんな立派な者ではないが……それで俺の字を入れているのか」
「……駄目ですか」
「いや、そんなことはないが。どうも、偏ってしまう気がして」
「トキヤが腹を痛めて産んだ子なのだから……俺はトキヤのように思いやりのある優しい子になってくれたらと」
815