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    usizatta

    @usizatta

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    POIPOI 37

    usizatta

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    ダイ大3巻を元に…というか、この頃しか着てないマァムの格好についての話。全体的には後の装備の方が意匠が凝ってて好きだけど、初期装備はゴーグルがかわいい。

    ショートストーリー・チャレンジ・3巻目 アバン先生は「メガネ」というものをかけていた。ダイが聞いたところによると、これをかけると周りの物がよく見えるようになるらしい。
     だからマァムと出会い、彼女の頭にゴーグルがついているのを見た時、ダイはてっきり同じ用途なのだと思い込んだ。

    「あれ? あんまり見えないや」
    興味があったのでマァムにゴーグルをかりて装着したダイは、ついついそう呟いた。マァムが不思議そうな顔をしたので、アバン先生から聞いたメガネの話を語った。
    「ああ。ふふ、そういうものとはちょっと違うのよ。これは目を守るためにつけるの」
    マァムは腰に装備していた魔弾銃を取り出し、構える振りをしてみせた。
    「狙いを定めている時、目に砂が入ったら大変でしょう」
    「そっかあ」
    「ところでよお、このゴーグルの紐んところ、ゴムとかいう素材なんだよな」
    ポップが話に入ってきた。
    「引っ張ったら伸びるっつー素材」
    彼は実家で聞いたことがあった。スライムの皮(?)を加工してゴムという素材が作れるとかなんとか。そんなことも思い出しながら質問すると、マァムが頷いた。
    「そうよ」
    「へえ」
    ポップは、まだダイの目についたままのゴーグルを掴んで引っ張った。ゴム紐は少しずつ伸びた。
    「……そんで、手を離したら元に戻るとか!」
    いきなり手を離した。ゴーグルはダイの顔のところに戻ってバチンとぶつかる。
    「うわっ! いてっ!」
    「なはははっ! マジだった!」
    そのままケラケラと笑い続けるポップの頭をマァムが軽く叩いた。
    「こら、意地悪しないの!」
    「大丈夫だよマァム。お返ししてやるから! ほらポップもゴーグルつけてみろよ」
    「分かっててつけるバカはいないぜー」
    ここでマァムもいたずらっぽく笑って、ポップを後ろから押さえた。背中にマァムの体温を感じた気がして、ポップは心臓が跳ね上がり、口をパクパクさせた。
    「ダイ、今のうち!」
    しかしマァムの言葉でポップは我に返った。
    「あっ、おい! やめろよ〜」
    「くらえーポップ!」
    辺りに再びバチーンという音が響き、続いて軽いうめき声と笑い声が広がっていった。

     勇者アバンから教えを受けた、今もまさに世界を救わんとするアバンの使徒達は、しかしまだ十代の子どもでもあった。十代の子ども達が歩く道中は、どうしてもはしゃいだりふざけたりの明るい声が抑えられないものとなった。
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    akira_luce

    DONE七夕の時にあげた丹穹。

    星核の力を使い果たし機能を停止(眠りについた)した穹。そんな穹を救うために丹恒は数多の星に足を運び彼を救う方法を探した。
    しかしどれだけ経っても救う手立ては見つからない。時間の流れは残酷で、丹恒の記憶の中から少しづつ穹の声がこぼれ落ちていく。
    遂に穹の声が思い出せなくなった頃、ある星で条件が整った特別な日に願い事をすると願いが叶うという伝承を聞いた丹恒は、その星の人々から笹を譲り受け目覚めぬ穹の傍に飾ることにした。その日が来るまで短冊に願いを込めていく丹恒。
    そしてその日は来た。流星群とその星では百年ぶりの晴天の七夕。星々の逢瀬が叶う日。

    ───声が聞きたい。名前を呼んで欲しい。目覚めて欲しい。……叶うなら、また一緒に旅をしたい。

    ささやかな祈りのような願いを胸に秘めた丹恒の瞳から涙がこぼれ、穹の頬の落ちる。
    その時、穹の瞼が震えゆっくりと開かれていくのを丹恒は見た。
    一番星のように煌めく金色が丹恒を見つめると、丹恒の瞳から涙が溢れる。
    それは悲しみからではなく大切な人に再び逢えたことへの喜びの涙だった。
    「丹恒」と名前を呼ぶ声が心に染み込んでいく。温かく、懐かしく、愛おしい声…。


    ずっと聞こえなかった記憶の中の声も、今は鮮明に聴こえる。
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