Recent Search
    Sign in to register your favorite tags
    Sign Up, Sign In

    Ajax_super_V8

    @Ajax_super_V8

    一次創作、オクトラ、VTuberの二次創作など
    百合よりの雑食で壮年×少女に餓えている

    ☆quiet follow Send AirSkeb request Yell with Emoji 💖 👍 🎉 😍
    POIPOI 21

    Ajax_super_V8

    ☆quiet follow

    続きが思い付かなかったので

    #オクトラ
    octra
    #大陸の覇者
    continentalChampion

    猫になったペレディール1日目



    「じいさん…それ…」

    「む…?」

    「ペレディール殿…」

    森での戦闘を何とか終え、肩の力を抜いた旅団の面子は、彼の頭を見て絶句した。
    そして自らに向けられる何とも言えない表情をひとりひとり、ちらちらと目で追い、彼…ペレディールもまた眉間の皺を深め、何とも言えない表情を浮かべる。
    浮かべながら視線を集める自らの頭に、恐る恐る手を伸ばした。
    それが指先に触れた瞬間、ペレディールは目を見開き、察した。

    「ぬぉわあぁ!?な、なんだこれは!?」

    森中にその叫びは木霊し、鳥がバタバタと羽ばたいた。




    森の中の拓けた場所で、旅団は野営をしていた。
    戦闘で前衛を担っていたペレディール、ヒースコート、マドレーヌ、メノらが、焚き火の前で唸っている。
    小さく座り込むペレディールは残りの三人に囲まれ、頭に生えたふさふさのそれを眺められ触られていた。

    「ねぇ…これ、どうする…?」

    メノがペレディールの尾ていから生えているしっぽを握る。
    そう、耳だけではないのだ。

    「こ、こら…あまり触らないでくれるかね!?しっぽはどうも…」

    「えー、でも特に害はないんでしょ?」

    マドはこのままでも…良いと思う!とあとに続け、ペレディールの頭に生えた獣の耳を楽しげにもしょもしょと触った。
    ペレディールがぐむ…と何とも言えない表情をする。
    その様子を見ながら顎に手をあて、ふーむ…と唸るヒースコート。

    「はて…どうしたものでございましょうか…」

    「君もなんだかんだ、害がないならそのままでも…とか思っていないかね!?」

    しげしげと眺めてくるヒースコートを軽く睨んで、ペレディールが言った。

    「そんな…滅相もない、ペレディール殿…」

    ヒースコートはマドレーヌが弄んでいるふさふさの耳を見ながら返事をした。

    「ヒースコートさんも触ろう!」

    マドレーヌが笑った。

    「これはこれは…」

    ヒースコートも微笑みながら耳をふさふさと触りだした。
    ペレディールと同じ灰色の毛色である。

    「君たち!人の頭の上でやめてくれないかね!?」

    「ごめんなさーい…」

    「これは失礼を…」

    「そうだよ二人とも。とりあえず、うちの旅団の狩人、学者、神官と薬師…総出でこの猫の耳としっぽの治療法を探しているから…」

    三角座りに頬杖で三人の様子を見守っていたメノが、言ってから立ち上がる。

    「ご飯にしよ。今夜はみんなで集めたキノコでシチューだよ」

    トリッシュが待ってる、と尻の砂埃をはたいてから三人に微笑みかける。

    「わーい!」

    マドレーヌがあっさりとペレディールの猫の耳から食へと興味を移し、一目散にトリッシュの元へと駆けていった。
    メノもゆっくりとあとに続く。
    地べたに背中を丸くして座るペレディールと、メノたちを見送るヒースコートが残された。
    トリッシュたちが賑やかにしている様子を、ヒースコートの瞳が見つめている。
    その顔を、ペレディールはじっと見上げた。
    向けられた視線に気が付いたのか、ヒースコートが目線だけをペレディールに向ける。

    「…わたくし達も行きましょうか」

    少し笑ってヒースコートが歩みだした。

    「ああ、そうだな」

    ペレディールも立ち上がった。
    シチューの香りがふんわりと漂っている。






    「魔物が出した粉を浴びたらそうなったのか…」

    トリッシュがペレディールの猫の耳としっぽをまじまじと見つめながら言った。
    ペレディールは気まずそうにしっぽを揺らしている。

    「弱点見つけて、魔物が気絶してるとこを叩いてたんだけど、魔物の意識が戻っちゃってさ」

    「逃げ遅れたペレディールが…ね」

    今度は戦闘で前衛をしていた面子の顔が暗くなる。ペレディールを庇えなかったり助けられなかったことを気にしているようだ。

    「ごめんねペレディール、マドがもっと早く気がつけたら…」

    「いやいや、君たちは悪くないさ。私もつい夢中になってしまって…」

    ペレディールはマドレーヌの肩を軽く叩いて、前衛の面子に笑いかける。
    確かに、あの魔物は見たことがない。
    きのこ型の魔物だが、ふさふさと獣のような毛が生えていたのだ。

    「確かに、話を聞いていてもそんな魔物見たことありませんね…」

    マイルズが頬ばったパンを飲み込んでから不安そうに言う。

    「俺も後衛にいたんだが、じいさんに猫耳としっぽが生えたときはたまげたわ…」

    じいさんだぜ?とギルデロイが眉間に皺を寄せながらペレディールを見る。

    「む…よしてくれ!あまり見ないでくれないか!」

    「次出会したら…今度は俺か…!?」

    「君も同じ目に遭ってしまえ!」

    「…喧嘩か?」

    二人がわいわいとしていると、ハンイットがやって来て座り込んだ。
    トリッシュがよそいだシチューの器が2つ、メノからハンイットへ渡される。
    2つ受け取ったハンイットは1つを後ろのルーセッタへ渡した。
    ギルデロイが席を少しあけ、その横にルーセッタが座る。

    「なにか分かりましたか?例の魔物…」

    マイルズが問いかける。

    「いや…」

    ハンイットは俯いて首を横に振った。

    「でも食料は手に入った。鴨がいたんだ」

    そう言ってルーセッタはシチューを冷ましてからゆっくり味わう。
    顔が美味しそうに綻んだ。
    トリッシュが微笑む。

    「とにかく、みんなお疲れ様だ。もう休んで…明日からまた頑張ろう」

    「うんうん!旅団の資金と、マドの寄付金集めのために魔物からたくさん素材もらわなきゃね!」

    ヒースコートはその団欒の様子を黙って、静かに微笑んで眺めていた。
    ペレディールはそんなヒースコートをしっぽを揺らしながら見つめていた。
    Tap to full screen .Repost is prohibited
    💖💖💖
    Let's send reactions!
    Replies from the creator

    related works

    recommended works