異端の天才、借ります神イベだった。
推しはまさかの超好待遇で、新規カードの配布もあり。何よりシナリオが爽快で楽しく、イデアはソシャゲのイベントを走り切ったあと、満ち足りた気持ちで眠りについた。
そのあくる朝心地よい睡眠を打ち破ったのは、荒っぽいノックの音だった。ドンドンとすわ借金取りか地上げ屋かと疑いたくなるような粗暴な音。
……何かとんでもないシステムトラブルでも起こったのか?
イデアはタンクトップにパーカーを羽織り、下は寝巻きのスウェットのままドアを開けた。いつもの冷静沈着なイデアなら犯しようもないミスだった。そもそもイグニハイドの寮生なら、何よりも先に寮長室直通の電子無線に連絡を寄越すはずなのだ。部屋まで出向いてノックする、などという前時代的な接触はまずもってしない。
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