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    saekihachi

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    saekihachi

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    2009年の柏真のような遥一人語り

    ##SS
    ##本編軸

    最上階“おじさん”こと桐生一馬が東都大病院に入院していた時の話です。
    おじさんは毎年のように神室町で怪我をしてはあの病院のお世話になっていましたが、あれは2009年、浜崎という男にお腹を刺されて少しの間――ほんとうに少しの間だったけれど――入院していたおじさんのお見舞いに行った時の事でした。

    おじさんの病室がある階でエレベーターを降りると、そこには真島さんが立っていました。真島さん、と呼びかけても少し上の空な様子で反応がありません。上階行きのエレベーターに乗り込もうとするので帰るなら逆だと思い慌てて袖を掴むと、真島さんはようやく私に気が付いたようでした。
    上に用があるんや、気にしてくれておおきにやで、と、そんな風に笑って言った真島さんがどの階で降りるのか少し気になって表示のランプを眺めていると、エレベーターは最上階までまっすぐ上がっていきました。
    最上階は個室棟です。
    同じ頃東都大病院には大吾さんという東城会の会長さんも入院していました。その人の部屋が最上階の豪華な個室だという事を私はおじさんから聞いて知っていたので、きっと大吾さんのお見舞いに行ったのだろうと納得しておじさんの部屋へ向かいました。

    ところが不思議なことに、おじさんの病室に入るとベッドの横に当の大吾さんが座っているのです。
    「よく来たな」「いらっしゃい」と口々に言ったおじさんと大吾さんがさっきまで真島さんがいたのだと教えてくれるのに「そこで会ったよ」と答えながら、では真島さんは最上階に何をしに行ったのだろう、とずっと考えていました。
    あるいは、誰に会いに行ったのだろう、と。
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