座学忘羨がループしてる話 雲深不知処の門を潜り、さあ明日から座学が始まるぞ、と意気込む江澄の背中を見て、魏無羨はぼんやりと思った。
──これ、見たことあるぞ。
そう思った瞬間、脳裏を駆け巡ったのは多すぎる記憶。それはたった数ヶ月のことが何十回と繰り返されているものだった。普通の人間ならば「どういうことだ!」と混乱し、最悪精神がおかしくなってしまいそうだが、普通の人間とはどうしても言えない魏無羨は「なるほど」と頷いた。
──ずっと座学ばかりというのもつまらない。この繰り返しの日々から抜ける方法を探してみるか!
魏無羨は邪崇か妖による幻術の類だと考えていた。幻には必ず綻びがある。そこを突けばあっという間に現実へ。雲夢江氏の大師兄であり腕に自信のある彼は、どこか楽観的に捉えていた。
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