緑の悪魔と赤のお姫様夕暮れ時、とある村で産声が鳴る。母譲りの赤い髪をした、1人の少女が産まれた祝福の時。
彼女はラピアと名付けられた。村唯一の美容院を営む夫婦の一人娘。
ラピアが生まれたのは昔ながらの風習として毎年子供数名を龍の生贄に捧げなければ行けない村【ゲルト】。
龍の加護を祈る儀式として、生贄の風潮は「悪しきものである」という認識はありながらも国、大陸全体で長く続いていた。
ラピアもまた、生贄の候補としての人材であった。
しかし彼女の両親は一人娘を死なせたくない一心で、大人たちの「買収」へと走る。毎年、村の大人たちはラピア分の穴埋めとでも言うように、別の家の幼子を生贄として連れ去っていく。彼女の寿命は、1年、また1年と汚く悲しい金の力で伸ばされていた。
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