欠伸意識の覚醒。それと同時に無意識で開けた視界を、休日を言い訳にした惰性で再び暗転させた。今朝は誰もいないからと昼間まで寝てやる魂胆だ。無理に体を動かした二度寝で快眠を得た経験はない。大人しくこのまま深呼吸をして夢の世界が己を迎える時を待ち続けよう。そう、一度肺を大きく膨らませて朝の日差しごと体内に空気を取り込もうとした時だった。
軽快な音を立ててインターホンが鳴り響く。
反射的に目を開けて数秒。また閉じようかというタイミングでもう一度、ピンポーンと部屋に音が響き渡る。
誰だ、久々に寝れようかというタイミングで。こうも容易く入眠のタイミングを邪魔されている現状に少しだけ腹が立つ。少しだけ。
仕方なしと体を起き上がらせる。大学4年生であれどインドアと自覚していた分、思いの外軽々と自分の体を起こせる事実に、嬉しいような、悔しいような。横を向くように体をねじり、足と一緒に…悲しきかな、愛用のぬいぐるみがベッドから降りてきた。拾い上げ、ベッドに放る勢いのまま立ち上がる。
体を上へ上へと伸ばしながら、登り詰める睡魔と惰性を欠伸で吐き出した。