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    natsubi_gbf

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    ショウ→エルが前提にあるテキスト、モブが出てきます。悪人顔ネタがあるから、どこがいいんだろうってきっと言われるよな…って思って。
    ※ラクガキなので途中までしかないです。

    ##未分類

    小ネタ--

     騎空団で受けた簡単な依頼を、エルモートがひとりでこなした帰り道だった。
     ふと視線の先に石畳を歩む男の足が映る。このまま進むとぶつかってしまう。郊外でひとけが少ないとはいえ、往来でのことだったので、エルモートは違和感を覚えることなく歩みを横にずらした。しかし、すぐにまた別の男とぶつかりそうになり、ようやくエルモートは顔を上げた。明らかなチョッカイに、「面倒くせェな」と口の中で呟く。
     いかにも風体の悪い男が三人、こちらを囲むように寄ってくる。
    「よう、兄ちゃん」
     金品を巻き上げるカツ上げの類が脳裏を過る。男の一人が暗い路地を顎で示す。
    「ちょっとお話いいかい?」
    「よかねェよ」
     エルモートはするりと三人の間をすり抜けた。悪漢たちはあっと驚いた顔をする。たいした輩ではなさそうだと踏んで、エルモートはこのまま走れば逃げきれそうだと考えた。しかし、その瞬間、まったく気配のなかったところから男の手が伸びてきてエルモートの腕を掴んだ。同時に行く先を遮るように逞しい身体が立ち塞がった。
     エルモートが顔を上げると、濁った眼光に捉えられる。短く刈り上げた黒髪、背の高い影がエルモートの上に落ちた。ドラフかと思ったが、体格のいいヒューマンだ。他の三人の陰にいたのであろうその男はニッと笑ったあとに、すぐにエルモートの腕を放した。ひらひらと指先を揺らす。
    「失礼。エルーンの腕は細くて握りつぶしちまいそうで怖いな」
     エルモートは鋭く双眸を細めて相手を睨む。この男だけ他とは格が違うことは容易に知れた。背後の三人も油断を収めて退路を固めている。
    「怖い顔するなよ」
     肩を竦める黒髪の男に、エルモートは不愉快そうに吐き捨てる。
    「じゃァどけよ」
     怯える素振りなどまったく見せないエルモートを、男は値踏みするように見下ろした。じろじろと不快な視線が身体を這う。最後にアーソンを見やり、男はほんのわずかに目を細めた。彼は挑発するように薄い笑みを浮かべる。
    「タンデム商会のおぼっちゃんが粉掛けてるっつぅから、どんなもんかと思っていたが……」
     男の言葉にエルモートは眉をひそめた。
    「はァ? テメェら伝言ゲームでもして遊んでンのか?」
     そんな事実はないと言外に否定するエルモートに、男は笑みを崩さぬまま手を伸ばした。拒む隙もあらばこそ、フードを剥ぎ取られる。エルモートは腕で男の手を打ち払うと、身を翻して一歩下がった。深紅の髪が舞うように広がる。背後から感嘆するような声が聞こえ、眼前の男は口笛を吹いた。
    「すげえ赤毛」
    「クソが……」
     まるで見世物だ。口汚く吐き捨て、エルモートはアーソンを握る手に力を込めた。
     フードを外して顔に光が差せば、その双眸が金色に輝くのも見て取れる。炎に人の形を与えたようだ。
    「おぼっちゃんは珍しいモンが好きなのかな」
     黒髪の男はそう嘲笑って拳を構えた。
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