「テメェここで何やってんだよ」
「見ればわかるだろ?」
そう言うと、ジンはタンブラーを掲げてみせた。
「そうじゃねえよ。なに勝手に俺のコーヒー飲んでやがんだよ」
「おまえを待ってるあいだ手持ち無沙汰だったからな」
「俺のコーヒーだっつってんだろ。飲みたいなら自分で買えよ」
「おまえが買いなおせば良いだろ。なんなら俺が奢ってやろうか?」
「テメェの施しなんざいらねえ」
しっしっと手を払いジンを追い払う。去り際どこか楽しそうにこちらを見たジンに、ピンガは何故か幸福感めいたものを感じた。
ふと、さっきまでジンが飲んでいたコーヒーのタンブラーに目が留まった。ピンガは、ジンなんかのせいでコーヒーを買いなおすのは気に食わないからだ。と自分に言い訳をしながらタンブラーに口をつける。
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