泣き止むことすら出来なくなっちゃうのが見たい 堰を切ったように、両目から涙が零れる。
頬を伝い、口に入ってくるその水は塩辛く、苦く……なんだか余計に泣けてしまって。
「う、わぁぁッ……ひぐ、う……っあぁぁ!!」
まるで子どもみたいに声を上げて、しゃくり上げながら泣いてしまう自分はなんて格好悪いのだろう。
目元を乱暴に拭う。けれど次から次に、一体どこから湧き出しているのか不思議なほど、涙はどんどん零れてきて……だんだん、上手く呼吸が出来なくなる。
過呼吸……というほどではないが、いつ息を吸えば良いのか分からなくなって、何度も息を吸った。
「おい、魏無羨!」
江澄の慌てたような声。背中を擦る手は優しくて、いつもつり上げている眉だって今は情けなく垂れている。
心配するなって、師兄様はこの通り大丈夫だ!
そう言って笑ってやらないと。頭ではそう思っても、涙は全然止まらないし、呼吸だって落ち着いてくれない。
滅多に泣かない……わけではない。
過去の夢に魘されて飛び起きる夜は、いつだって頬には冷たい涙が伝っている。
だがこんな風に、涙の止め方すらわからない夜なんてなかった。
おい、藍湛。どうしてくれるんだ。
お前がいなければ、俺は涙を止めることすら出来なくなってしまった。