「使えねな」 「映画じゃあんなに活躍してたのにww」 「要らないよ」 「フリー経験値で飛ばそう」 「完全下位互換」
こんな暴言を浴びせられるのにはもう、慣れた。
神…WGは私を見捨てたのだ。神が愛するのはソ連車や架空戦車。こんな私をバフするメリットなどないのだ。そう、私はティア8イギリス中戦車、Centurion Mk.1
ツリーの片隅に、ひっそりと放置される。
今日も、そしてまた、妹達への踏み台にされる為にガレージに呼び出される。
「ティア8イギリス中戦車、センチュリオン、着任しました。」
「宜しくね。」
心にもないであろう言葉をかけられる。大抵そうだ。上辺だけは取り繕っているがどうせイベント戦だけの出撃になるのだ。コレでもまだマシな方だ、酷い時には最初から暴言を浴びせられる。しかしそんな事にも慣れた。
「さて、装備品も積んだし、拡張パーツも載せた。よし、通常戦行こうか。」
「は?」
この人は何言っているのか、Centurionだぞ。他に乗るべき車両もあるだろうに。
「あ、嫌だったかな?」
「いえ、嫌では無いのですが。」
「なんかあるなら話してみてよ。」
「すみません、失礼になるかも知れませんが。この私はティア8最弱車両と呼ばれる車両の一つなのですよ?それをわざわざ。通常戦で使うなどと…」
「うん…?」
「貴方は馬鹿ですか?」
「いや、そう言われるとはなぁ、そもそも君に言われるなんてねぇ…」
「あくまでも客観的な意見です。」
「うーん…でも俺が乗りたいから君を招集したんだけどね。」
「…マゾですか…」
「うーん…傷付くなぁ…」
正直物好きにも程がある。わざわざこの私に、乗ろうと。しかし、所詮は妹たちへの為なのだろう。
「まぁ、良いですよ。戦闘に出れるならまぁ。」
「なら、行こうか。そこまで腕がある訳じゃ無いけど。」
「え、ええ。」
こうして、私とこの奇妙な車長殿との生活が始まった。