実は隠している事がある。
オレの恋愛対象は男だという事。
その秘密は誰にも言っていないし、完全に俺だけの秘密…の、はずだった。
でもその秘密が同級生にバレてしまった。
ほんの些細な事だった。
良く利用するホテルにいつも相手をして貰っている社会人の人と入っていくのがバレたのだ。
放課後、そいつに呼び出された。
同級生はそれを写真に撮っていて、バレてしまった。
要求してくるのは金かと思ったら、俺との関係を求めてきた。
体育委員のそいつは体育倉庫の鍵をチラつかせ、オレは言うことを聞くしか無かった。
その日はすっかり真夏日で体育倉庫の中は蒸し暑く、放課後と言うこともあり人気はなかった。
既に興奮しているのかそいつの息は荒く、マットに押し倒される。
オレの制服のシャツを力任せに破り、ボタンが弾け飛んだのが見えた。
そいつの顔がオレの顔に近付く、荒い息が顔にかかる、嫌悪感がする。もう少しでキスされると思った時、体育倉庫の扉が勢いよく開く。
そこに立っていたのは類で、スマホを構え、写真を撮る音がした。
「やりすぎじゃないのかな?○○君」
類は素早くそいつの肩を掴むと、首を片手で掴み力を入れているようだった。
がっ、かはっ、そいつからそんな声が聞こえる。
「ねぇ、スマホ、貸してよ。どこにあるのかな?」
首を相変わらず掴んだままそいつに言うものの、苦しくて声が出ないらしい。
「あぁ、ごめん、苦しかったよね?」
パッと手を離すと床に倒れ込みゼイゼイと息をしていた。
類はしゃがみこみスマホを受け取るつもりであろう手を広げそいつの目の前に手を差し出す。
倒れ込んだやつは息をするのに精一杯なのか床に倒れ込んだままだった。
「ねぇ、早く。ス・マ・ホ」
広げていた手をヒラヒラさせると、やっと動けるようになったのか制服のズボンのポケットに入れていたスマホを恐る恐るといった感じで類の手に置いた。
類はスマホを受け取るとそのまま床に置き、立ち上がったと思ったら躊躇いなく踵で何回か踏みつけスマホの原型を無くしてしまう。
ヒィっとそいつが言うと類はまたしゃがみこみ、そいつの肩を掴み顔を覗き込む。
「バックアップとか…取ってないよね?」
取ってませんっとそいつが言うと類は笑顔のまま見下す様な感じでそいつに言い放った。
「もしまた脅そうものならタダじゃ置かないから。君、殺すよ?」
再びヒィと声を上げるとアンモニアの匂いがしだした。
「司くん、行くよ」
類はもう興味が無くなったのかオレの腕を掴み立たせると体育倉庫から出た。
出てすぐの所に2人分のカバンが置いてあり、それは類とオレのカバンだった。
「司くん、聞きたいことあるから僕の家行こうね」
有無を言わさずと言った感じでオレの手を握るとそのまま昇降口に向かう。
昇降口に着くとやっと手が離され、大人しく靴を履き替える。
類も靴を履き替え、こちらを見た時、シャツのボタンが弾けた為シャツが機能していない。
肌色が露出しているのを見て類はカバンからジャージを出して、オレの方に掛けててくれた。
「着て」
ノロノロと腕を通し、チャックを閉めると体格差なのか萌え袖の様になってしまい袖を捲りあげる、再び俺の手を握り歩き出す。手を握っていない片方にオレと類のカバンが持たれている。
校門から出ると少し歩いたところでタクシーを類は捕まえてオレに乗るように促してくる。
類の手が離れ、大人しくタクシーの後部座席に乗り込むと類も乗り込み、類は自宅の住所を運転手に告げる。
そして再び手が握られる。
類の顔を恐る恐る見ると類は外を眺めていた。
暫くすると住宅街に進んでいき、見慣れた類の家の前でタクシーは停車した。
電子マネー決済で支払いを済ませた類はタクシーから降り、俺も同じく降りる。
類は玄関を開けるとドアを開け一緒に中に入る。
類の両親は海外って言ってたな…そう頭の片隅で思い出すと、類は玄関の鍵を閉め、カバンを置く。
「さて、お話、しようか。司くん」
向かい合う形になると、言い終わると同時にキスをされる。
慣れた様子で舌を口腔に差し込まれ、そのまま絡まると飲みきれない唾液が口の端から少し垂れる。
暫くお互いにキスをして息が上がってきたと同時に唇が離れる。
「こっち」
恋人繋ぎするとリビングに向かい、ソファに押し倒されて着ていたジャージをゆっくりとおろされる。
「僕ね、知ってたよ。司くんが誰かと寝てるって」
前が開かれ、素肌が見えるとスっと指でなぞられる。
「ねぇ、僕がどんな気持ちだったかわかる?とても悔しかったんだよ?司くん。ずっとずっと僕は待ってたのに…」
類の目は獲物を狩る様に鋭く、普段の穏便な類じゃない。
怖いと思った。
でもそれと同時に嬉しかった。
類は俺を見てくれていた!
鋭くこちらを見つめる類をまじまじと見つめ、笑みを浮かべる。
「何笑ってるのかな?」
不満そうにこちらを見る類にオレは歓喜した。
「類…好きにして」
体育倉庫の時から無言だった俺が絞り出した声が誘い文句なんて予想していなかったのか目をパチパチさせた類はまじまじとこちらを見る。
「類が好きだ、好きに抱いて。酷くしてもいいから」
首に腕を回し頬にキスする。
類は呆気に取られた様な顔をしたと思ったら、直ぐに目に光が戻り再びキスを交わす。
キスをしながらお互いに制服を脱がしあう。
胸の突起を舐められると身体が震える。
オレは今類に抱かれようとしてるんだ、嬉しい、早く欲しいんだ、類のものにして欲しい。
ズボンと下着のボクサーパンツが脱がされると、片手で扱かれながらオレは自分で融合部を自身で慣らす。
類は顔を離したと思ったら、後ろを慣らしているオレの姿を見て笑みを浮かべる。
「司くんそんなに欲しいの?」
制服のズボンだけを脱いだままだった類を見つめたまま我慢出来なくて強請る。
「欲しい。早く、類とひとつになりたい」
身体を起こすと類を今度は押し倒し、興奮して主張し盛り上がっているボクサーパンツに、融合部を擦り付ける。お互いの体液が溢れてきているせいか、だんだん滑りが良くなってくる。
類の自身をボクサーパンツの隙間から取り出すと、オレは躊躇いなく挿入した。
類は身体を起こしオレの足を抱っこする時のように持ち上げる、
オレは騎乗位で類の肩に手を置き上下運動する。
オレの中はずっと欲しかった類の自身に興奮してしまい、挿入時に既に吐き出してしまった。
でもまだ足りない。
「類でいっぱいにして欲しい、類、類、好きだよ」
類は興奮して来たのか息を荒くしてオレを押し倒す。
主導権が類に変わっただけで更に興奮してしまいナカを締め付ける。
もっともっと。
いっぱいグチャグチャにして。
気持ちいいよ。
おかしくなる。
類の首に腕を回し呟くように思ったことを言い続ける。
類も興奮しているのか既に何回か胎内に射精していた。
ことが落ち着いたのはすっかり夜も深けてしまった頃合だった。
お互い汗だくで、ひたすらセックスをして。
身体を綺麗にする為にと入ったお風呂場でも混じりあった。
「もう僕だけにして、司くん」
「うん、類以外はやだよ」
ベットの中で交わした約束はずっと守られる。