ふたりのしあわせ ふたりきりの部屋で、気の向くままにだらだらと続いていた会話が途切れた少しの沈黙に、ふっと空閑が笑い声を漏らした。小さな部屋の沈黙には、ほとんど吐息のようなかすかな音でもよく響いた。
「……急にどうしたんだ?」
「あっ……いや、あれ、ちょっと思い出して」
これは失礼、と取り繕う言葉を並べながらも取り繕う気があるのかないのか、遊真の頬はやわらかく緩んだままだ。それを訝しげに見やる修は、いったい今日は何があっただろうかと今日の行動を思い返す。しかし、特筆すべきことはなかったように思う。今日は朝から今までほとんどずっと一緒に過ごしていたから、遊真の行動は把握しているのだ。それでは、今日よりも前のことだろうか。
2077