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    hokui39

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    hokui39

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    遊修でフェrモン症パロ
    書きたいところだけふわっと(後半はゆーまが生身を取り戻した未来)
    正気に戻る前に…

    熱情の発露「フェロモン症…ですか」
    「今どき珍しくないから、まあ分かるよね。とりあえず抑制剤を出すから、おうちの人には必ず伝えてね。お大事に」
     医師の対応は慣れたもので、そう言って『フェロモン症ってなあに?』と書かれた子供向けのチラシのようなものを1枚手渡されたので、礼を言って診察室を出た。


     健康診断の結果で再検査項目があるということで、放課後に1人病院を訪れていた。告げられた診断結果は、フェロモン症。今や花粉症に次ぐ国民病とされているポピュラーな疾患だ。
     発症すると、性的興奮を誘発するフェロモンを放出してしまうため、若者の性犯罪増加の一因とされている。ただし、罹患者に対して好意を抱く人間にしか作用しない上、現在は処方薬が存在するため、ほとんどの人は周囲に知られることなく日常生活を支障なく送っているようだ。
     そういうわけで、身近に罹患者がいたとしても気づきにくく、本当にあるものなんだなあ、と思いながら支部に向かって歩く。再検査のため遅くなることは連絡してあったけれど、あまり遅くなっても 要らない心配をかけるだろうと速度を上げた。


     病院を出るときに連絡しておいた時間より少し早く着いたが、共有スペースに人の姿が見えなかったので、先に伝えていた通りみんな訓練室に入っているのだろう。
    「あ、修くん!みんな先に始めてるよ~」
     荷物を自室に置いて訓練室に入ると、ぼくが声をかけるより先に宇佐美先輩が声を上げた。隣には烏丸先輩が立っている。
    「遅くなってしまって、すみません」
    「いや、時間通りだろ。それより、検査は?大丈夫なのか?」
    「あ、はい。問題ありませんでした。ご心配をおかけしました。」
    「そうか、何もなかったならいい」
     ほとんど無表情ながら、少し和らいだように見えた。ちゃんと考えをまとめていなかったせいで、咄嗟に嘘を吐いてしまったが、家族であっても隠している人が多いそうだし、当面問題になるとも思えないので大丈夫だろう。
     自分の訓練を終えると、先に出ていた支部の面々に囲まれてしまい口々に心配されたので、何も異常はなかったことを伝えた。


    夕食を終えて部屋に戻ると、自分の名前が印刷された処方箋を手に取った。
    好意を持たれるような心当たりは全くないが、まだ解明されていない部分もあるらしいし、発症したからには予防に努めることは義務だ。
     コンコン、と扉を叩く音が聞こえて袋を引き出しにしまう。
    「どうぞ」
     開いた扉から空閑が片手を上げて、「よっ」と顔を出した。
    「今、いいか?」
    「うん?別にいいけど…」
    「それじゃ、おジャマします」
     空閑はぼくと向かい合うようにベッドに腰掛けると、さっさと本題に入った。
    「で、オサム、本当は何があったんだ?再検査とやらで」
     鋭い視線が、見定めるようにじっとこちらを見つめられてはっとする。頼りにすることが多い空閑のサイドエフェクトを、どうして今の今まで忘れていたのか。そんなことにも気が回らなかった自分に呆れた。
     訓練終わりから今まで、黙っていたのは空閑なりの気遣いだろう。
    「……そうだよな、心配かけてごめん。事情を説明させてくれ」
    「お、素直に話してくれるのか。それは何より」
     ぼくの返事を聞いた空閑は、一転、わざとらしいくらいにっこり微笑んだ。
     …素直に話さなかったら、どうする気だったんだ。


    「ほう、フェロモン症?近界じゃ聞いたことないな……でも、そう言われると、こっち来てからどっかで聞いたような、ないような?」
    「テレビでもよく流れてるよ。薬をちゃんと飲んでいれば生活に支障はないし、その、症状が症状だから家族にも黙っている人が多いらしい。さすがに、ぼくは未成年だし、母さんには連絡したけど」
    「ああ、それでオサムは俺たちに嘘吐いたのか」
    「う…まあ、聞かれて咄嗟に、つい……空閑からしたら紛らわしいよな。気が回らなくて、ごめん」
     ふんふん、と頷きながら話を聞いていた空閑が突然、背中からベッドにぼふ、と沈んだ。はー、と絞り出すように息を吐き出す。
    「く、空閑?」
    「とりあえずは、よかった……」
     手で覆われた表情は見えないが、再検査の結果で「何もなかった」という嘘を吐かれるなんて、よほど悪い想像をして、心配してくれていたんだろう。でも、空閑はいつも冷静でこんな姿は見たことがなかったから、ちょっと驚くと同時に申し訳なさが募る。
    「あ!」
     ベッドに沈んでいた空閑が、勢いよく飛び起きた。
    「な、どうした!?」
    「まったく安心でもない!オサムのこと、好きなやつがいたら危ないんだろ!?」
    「何言ってるんだ!?……大丈夫だよ、多分。それに、薬だってあるんだし」
    「だって、お前、鈍いじゃん。薬だって絶対じゃないだろ」
     今日の空閑は感情の起伏がジェットコースターのようだ。さっきまでの申し訳なさがすっかり吹き飛んで、可笑しくなってきた。
    「なあ、おれ、マジメに言ってるんだけど?」
    「え?あ、つい、ごめん…」
     折角心配してくれているのに、自分でも気付かないうちに頬が緩んでいたらしい。これまた珍しくムスッとしているように見えたので、慌てて謝罪した。
    「よし、そうだな、じゃあ、おれがオサムを守る。おれはトリオン体だし、万が一もないからな」
    にっと笑った空閑に、さっきまで可笑しかったのが現実に引き戻された。一線引かれたような気がした。
    「だから、トリオン体も何も、ぼくに好意を持つ人にしか影響しないって…」
     最後まで聞かずにすっと立ち上がった空閑が光源と重なり、ほんの一瞬、表情が見えなかった。
    「誰がオサムを好きなるかなんて、お前にはわかんないだろ?」
     空閑がどんな意図で言っているのか、ピンとこなかった。
     返答に窮しているのを見かねてか、「それに、どんな好きでもいいのかとか、どれくらい好きなら効くかだってわかんないしな」と付け加えられた。
    「それは、たしかに、そうだけど」
    「じゃ、話は終わりだ。明日から覚悟しろよ、オサム」
     それだけ言い残して、歯切れの悪いぼくを置いてけぼりにして出て行った。
     次の日から、空閑は本当に有言実行、ぼくの強い主張により自然に見える範囲でではあるが、可能な限り一緒に行動するようになったのだった。



    ◇◇◇



     もう、だいぶ前のことを思い出していた。

     まだトリオン体で過ごしていた頃、オサムからフェロモン症について教えてもらった日のこと。なんだか胸がざわざわして、よくわからないことを口走った気がする。
     あれから、オサムが許す限り傍にいたし、ちょっとでも怪しいやつは近づけないようにこっそり牽制することもあったが、その甲斐もあってか何事もなく今日に至る。

     なぜそんなことを思い出しているかというと、浅い眠りにまどろんでいた最中、甘くて、いい匂いが鼻腔に流れ込んできて、どうしてかその当時の記憶が呼び起されたからだ。
     とにかく眠くて仕方ないのに、芳醇、というのか、あまりのいい匂いにすんすんと鼻を鳴らしてしまう。吸い込むほどに心地いい。しかし、吸いすぎるとくらくらしそう。ぼうっとする意識が、自分を呼ぶ声で徐々に覚醒していく。
    「………が、空閑、起きれるか?」
    「お、さむ?」
     起きるかどうかを確認するように呼びかける声を、はっきりと認識した。どうやら、おれはまたソファで寝落ちしてしまったようだ。
    「ここじゃ身体が痛くなるだろ。起きたんなら、ベッドで寝てくれ。着いてくから」
    「んー、ねむい、むり……」
    「お前が起きないなら諦めたけど、ちょっとだから、な?」 
     まだ正常な体内時計を取り戻せずに、至る所で寝落ちしてしまうおれの世話を焼くのは、大概オサムだ。
    「ぼくが無茶してるとき、空閑だって面倒見てくれてただろ?」ということらしい。
    そんなことも思い出しながら、まだオサムより少し華奢な身体を引き起こされる。
     密着することで確信した。甘い匂いの出所は、やっぱりオサムだ。おれの身体は、オサムのフェロモンに反応しているんだ。
     ということは、やっぱり、おれはオサムのことが………これはやばい。このままだと心地いいどころじゃ済まなくなる。しかし、それはそれとして、換装体で無茶するときを除いて、あの日からおれが知る限り欠かさず抑制剤を服用しているはずなのに、なぜだ?

     例のフェロモンを至近距離で吸い続けたせいか、部屋に着く頃にはすっかり眠気は飛んだが、頭がくらくらしてきた。
     途中から足取りがしっかりしてきたおれをちゃんとベッドまで導いて、寝かせてから、立ち去ろうと背中を向けたオサムのシャツの裾を、く、と引く。
    「なあ、オサム……薬、ちゃんと飲んでるよな?」
     何の、とは言わなくても分かる。
    「え、なんだ、突然……飲んでるよ。今日も3回、忘れず飲んだ」
    「そう、だよな……すまん、変なこと聞いた!おやすみ!」
     やっぱり、オサムは抑制剤を飲んでいる。なのに、おれの身体はじわじわと熱を上げている。これは相当重症ということなのか?
     とりあえずオサムに早く出て行ってほしくて、就寝のあいさつで無理やり切り上げた。
    「もしかして、具合が悪いのか?」
     様子のおかしいおれを見過ごせないオサムが、ベッドに片手をついて心配そうにのぞき込んできた。引き止めなければよかったと思っても後の祭りだ。ダメ押しの甘い匂いに支配される。

     もう、がまんできない。

     オサムの頭を引き寄せ、無理やり唇をくっつけた。ちょっとかさついてるけど、やわらかくて、あったかい。
    「んっ!?む、く、ぁ」
     名前を呼ぼうとしたのか、少し開いた唇に舌をねじ込む。もっと奥に入りたい。待ちわびた熱い粘膜の接触に、頭がじんじんして、気持ちいい。ただ舌を擦り合わせているだけなのに、こんなに気持いいなんて知らなかった。
     いっそ舌でも噛んで抵抗してくれたら止まれそうなのに、拒まれない。なんで?離れがたい。ずっとこうしていたい。
     オサムは何か言いたげだが、瞳がとろけてきている。すごくやらしくて、目に毒だ。
    上手な息の仕方なんて分からなくて、苦しくなったところで仕方なく唇を離した。2人分の乱れた呼吸が静かな部屋に響く。
     呼吸を整えているのか、オサムの身体は密着したまま離れない。
    「わ、るい…おれ、変だ。オサムのこと、好きみたい…好きすぎて、おかしくなってる」
     だから、早く出て行ってくれ。ひどいことをしてしまう前に。
     気持ちよさか、情けなさか、涙腺が緩んで視界がぼやける。しかし、早くこの欲望をどうにか処理したいのに、オサムは出ていかない。

    「……お前は、ぼくが好きなんだな?抑制剤で抑えたフェロモンに反応するくらい」
    「っ、そうだってば!だから、早く出てってくれ!」
    「出ていかない」
    は?と声を出すつもりが、ちゅ、と触れたオサムの唇に止められてしまった。

    「ぼくも、空閑のことが好きだ」
    オサムも、おれのことが好き?

    痺れる頭が創り出した都合のいい幻覚、幻聴かと呆けていると、唇を噛まれた。
    ちょっと痛い。
    「夢じゃない。ちゃんと責任取るから…」
    その、苦しいだろ、ここ、ぼくもだ。
    耳まで真っ赤にしたオサムから、やんわり勃ち上がった股間をぐ、と押し付けられたおれは、いよいよ理性を手放した。

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    hokui39

    TRAINING遊修が恋だと気付いたのは目が合ってからそらされたとき です。
    #shindanmaker
    https://shindanmaker.com/558753
     人と話すときは目を見て話すものだ。
     そう言う人がよくいるけれど、それが礼儀だかららしい。
    「包み隠さず話そう」という相手への意思表示なのか、真剣に聞いていることをアピールしているのか。あるいは、言葉から読み取ることができない情報を得るための合理的な術なのか。そのあたりは人によって主張がさまざまあるようだ。

     これを踏まえて言うならば、オサムは意外と、話していて目が合わないことがわりとある。作戦とか先のこととかを考えながら話しているとき、あとは、これは人間の習性だろうか、過去を見ているときもだ。(生返事のときもあるが、そういうときはおれの声すらまったく耳に入っていない)
     もちろん、あのまっすぐこちらを捉える翠の瞳と目を合わせて話すのは好きだ。でも、おれはオサムと話すときは、目が合わなくても、顔が見えなくたって平気だ。オサムの声にはそのままの感情がのっている、というのだろうか。決意も、不安も、後悔さえも。こと戦場においては弱点とも言えるだろうけど、言葉と気持ちが合っている感じがして、安心できるんだと思う。答え合わせをしたわけじゃないけど、きっとそうなんだ。
    1841

    hokui39

    DONE高校1年生の遊修が別クラスだったら
    ガトーショコラ 移動教室のために1階の廊下を通ったとき、冷え切った空間にチョコの甘い匂いが漂っていることに気付いた。そういえば、今日は空閑のクラスが調理実習の日なんだったと、ぼんやり思い出した。


     高校に上がって、空閑とは別のクラスになった。
    ふつうに考えればその可能性はあったのに、なぜ同じクラスになるような気がしていたんだろうか。4月にそれが現実となったとき、自分でも思った以上の衝撃を受けたのを覚えている。
     一方、空閑はあっさりしたもので、「なんだ、オサムとはちがうクラスか」とだけ言って教室に向かって歩き出した。そして、中学校のときにそうだったように、やっぱり僕なんかよりよほどクラスメイトと上手くやっているようだし、幸い空閑の学力についても周りが世話を焼いてくれているらしい。それは喜ばしいことのはずだ。それなのに、胸がもやもやするのを感じているから、きっと素直に喜べていないんだと思う。日常生活のこともボーダーのことも、僕が教える前に教えてくれる人はたくさんいるし、ついに学校でのことも一番に教えるのが自分じゃなくなってしまった。きっと、ぽっかりとそのスペースが空いてしまったような気持ちなんだと思う。たぶん。
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