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    hokui39

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    hokui39

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    遊修が恋だと気付いたのは目が合ってからそらされたとき です。
    #shindanmaker
    https://shindanmaker.com/558753

     人と話すときは目を見て話すものだ。
     そう言う人がよくいるけれど、それが礼儀だかららしい。
    「包み隠さず話そう」という相手への意思表示なのか、真剣に聞いていることをアピールしているのか。あるいは、言葉から読み取ることができない情報を得るための合理的な術なのか。そのあたりは人によって主張がさまざまあるようだ。

     これを踏まえて言うならば、オサムは意外と、話していて目が合わないことがわりとある。作戦とか先のこととかを考えながら話しているとき、あとは、これは人間の習性だろうか、過去を見ているときもだ。(生返事のときもあるが、そういうときはおれの声すらまったく耳に入っていない)
     もちろん、あのまっすぐこちらを捉える翠の瞳と目を合わせて話すのは好きだ。でも、おれはオサムと話すときは、目が合わなくても、顔が見えなくたって平気だ。オサムの声にはそのままの感情がのっている、というのだろうか。決意も、不安も、後悔さえも。こと戦場においては弱点とも言えるだろうけど、言葉と気持ちが合っている感じがして、安心できるんだと思う。答え合わせをしたわけじゃないけど、きっとそうなんだ。

     そんなことを考え始めたのはつい最近のことだけど、先日新たな発見があった。



     約束していたしゅんとの対戦を終えて、予定していた終了時間きっかりであることを確認してブースを出たそのとき、ざわめくにひときわ強い視線を感じた。ほとんど反射でそちらに目をやった先にいたのは――オサムだった。

    「オサム!」

     それぞれ用事があるからまた後で、と待ち合わせていたのだから、オサムがいるのは当たり前だ。しかし、数あるブースから今まさに出たところを、タイミングよく真っ先に見つけてくれた。それだけでいつもより嬉しくて、緩んでしまった口元をそのままに片手を振った。もしかしたら、だらしない顔になっているかもしれないけど、それでも構わなかった。
     すると、どうしたことか。
     ばちっと交わったはずの視線は、ふいっと逸らされてしまった。あのオサムが、こんなあからさまに……おれ、なんかしたか?
     幸い、さほど遠くないところにいたので、「ちょっと失礼」と人の間を縫うようにしてすばやく距離を詰めて、覗き込むようにその表情を伺う。突然視界に再登場したおれへの第一声が「うわっ」とは……。さすがにちょっとショックだったし、せっかく強引に交わらせた視線はまた逸らされた。なぜだろうか。
    しかし、こういう反応はどこかで覚えがある。さて、なんだったか。
     

    「なあ、さっきからどうしたんだ?オサム、なんか変だ」
    「あ、いや……気にしないでくれ」
    「……ふうん」

     オサムは、たぶん意識的に少ない言葉で返したんだろう。一言で口を閉じてしまった。こんな下手な隠し方、いつものおれなら即座につっついただろうが、今日は様子が違う。まずは、大人しく口を閉じて状況をおさらいしよう。
     オサムはおれを見つめていたのに、おれと目が合った途端に逸らした。再び目があったとき、瞳がちょっと熱っぽく、潤んでいるかように見えた。こうしている今も、ほんのり耳が赤い、かもしれない。
     これはちょっと、かんちがいならすごく恥ずかしいやつだけど、いわゆる「好きな子にしちゃう反応」というやつではないか?情報の出どころがイマイチ怪しいけど。 
     そして、その可能性に思い至った今、おれの胸がまるで脈打つかのようにドキドキしている、ような気がする。というか、この身体でもドキドキできるんだな。
     さほど長くない沈黙だったが、「帰ろうか」と切り出したのはオサムだった。
    「あー……そうだな、お腹すいたし」

     ふわふわした気持ちのまま、肩を並べて帰った。
     2人していつもより口数が少なく、目は1回も合わなかった。でも、やっぱりオサムの隣にいるのは、オサムの言葉を受け取るのは心地いい。でも、今はこの気持ちを言葉にできない。するときではない。お互いに、だ。
     ただ、あのときの熱っぽい瞳がおれの方を向いて、期待どおりの言葉を与えられたなら、おれは何と返すだろうか……


     支部に帰ったら、しゅんからメッセージが入っていた。そういえば挨拶もせずに帰ってしまったんだった。文句の1つでも言われるかと思えば、予想は裏切られた。

    「なんかいい感じの雰囲気だったので気を使いました。ほめて」

    とりあえず、なでなでされているハムスターのスタンプを送った。



     
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    hokui39

    DONEエワ10ピクリエテスト会、開催ありがとうございます。
    ゆまおさ小話展示です。過去に参加させていただいた本(お気に入り本)の再録ですが、ちまちまとした修正を加えています。
    将来的に当然のようにゆまおさ同棲済み。
    甘やかしていいよ甘やかしていいよ

    空閑遊真には、最近気になっていることがある。
    それは、修がヒュースを構いすぎじゃないかということだ。

    “捕虜”から“自分のチームの隊員”に関係が変わったのだから、隊長として気にかけるのは当然だ。しかし、それがどうにも気になっている。
    そのことを周囲の人間にこぼしてもみたのだが、どうやら気にしているのは遊真だけのようなのだ。というのも、先日、師匠である小南と戦闘訓練で2人きりになったとき、休憩中にドリンクを飲みながらふと思いついてその話題を振ってみた。
    「修が? べつに、ヒュースは誰といてもあんなだから、ぜんぜん気にならなかったわ。みんなと同じようなもんじゃないの?」
    小南からは迷う余地もなく即答された。さらに、「一番構ってるのは陽太郎だし、なんならあんたの方がよっぽど絡みにいってる感じ、あるわよ」とばっさり切られたので、「そう言われればたしかにそのとおりか」と神妙に頷かざるを得なかった。
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    hokui39

    TRAINING遊修が恋だと気付いたのは目が合ってからそらされたとき です。
    #shindanmaker
    https://shindanmaker.com/558753
     人と話すときは目を見て話すものだ。
     そう言う人がよくいるけれど、それが礼儀だかららしい。
    「包み隠さず話そう」という相手への意思表示なのか、真剣に聞いていることをアピールしているのか。あるいは、言葉から読み取ることができない情報を得るための合理的な術なのか。そのあたりは人によって主張がさまざまあるようだ。

     これを踏まえて言うならば、オサムは意外と、話していて目が合わないことがわりとある。作戦とか先のこととかを考えながら話しているとき、あとは、これは人間の習性だろうか、過去を見ているときもだ。(生返事のときもあるが、そういうときはおれの声すらまったく耳に入っていない)
     もちろん、あのまっすぐこちらを捉える翠の瞳と目を合わせて話すのは好きだ。でも、おれはオサムと話すときは、目が合わなくても、顔が見えなくたって平気だ。オサムの声にはそのままの感情がのっている、というのだろうか。決意も、不安も、後悔さえも。こと戦場においては弱点とも言えるだろうけど、言葉と気持ちが合っている感じがして、安心できるんだと思う。答え合わせをしたわけじゃないけど、きっとそうなんだ。
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    hokui39

    DONE高校1年生の遊修が別クラスだったら
    ガトーショコラ 移動教室のために1階の廊下を通ったとき、冷え切った空間にチョコの甘い匂いが漂っていることに気付いた。そういえば、今日は空閑のクラスが調理実習の日なんだったと、ぼんやり思い出した。


     高校に上がって、空閑とは別のクラスになった。
    ふつうに考えればその可能性はあったのに、なぜ同じクラスになるような気がしていたんだろうか。4月にそれが現実となったとき、自分でも思った以上の衝撃を受けたのを覚えている。
     一方、空閑はあっさりしたもので、「なんだ、オサムとはちがうクラスか」とだけ言って教室に向かって歩き出した。そして、中学校のときにそうだったように、やっぱり僕なんかよりよほどクラスメイトと上手くやっているようだし、幸い空閑の学力についても周りが世話を焼いてくれているらしい。それは喜ばしいことのはずだ。それなのに、胸がもやもやするのを感じているから、きっと素直に喜べていないんだと思う。日常生活のこともボーダーのことも、僕が教える前に教えてくれる人はたくさんいるし、ついに学校でのことも一番に教えるのが自分じゃなくなってしまった。きっと、ぽっかりとそのスペースが空いてしまったような気持ちなんだと思う。たぶん。
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    さわら

    DOODLE貴方はさわらのアシュグレで『朝四時、ランデブー』をお題にして140文字SSを書いてください。
    #shindanmaker
    https://shindanmaker.com/587150

    当然のごとく140字を超える。付き合ってるアシュグレ
     はふ、と欠伸した。眠気で目をしょぼしょぼとさせながらミント味の歯磨き粉を歯ブラシに乗せ口に咥える。普段ならしゃっきりとさせてくれるような清涼感は今は眠気に勝てない。
     シャコシャコと音を立てつつ半分寝ているような緩慢な動きで磨いていると、扉の開く音がする。
     視線だけを動かせば、ぼやける視界に写ったのは同じく眠そうに大きく欠伸をする、ところどころ寝癖ではねた頭をした男の姿だ。視線に気づいたように、服の裾から腕を突っ込んでがりがりと腹を掻いていた男の瞳がこちらに向いて、呆れたような色になる。
    「テメェ、今何時だと思ってやがる」
    「…………四時、です」
     咎めるような声は普段よりも若干柔らかく聞こえるのは起き抜けでもあるからだろう。けれど、バツが悪いことには変わりない。
     明日はオフだからと少しだけ夜更しするつもりで始めたゲームに夢中になって、気がつけばふと視線を向けた時計に映し出されていた数字に驚いたものだ。流石に寝ようと思い、その前に歯を磨きに洗面所に来た。
     グレイとは正反対に、意外と規則正しい生活を送るアッシュは早朝トレーニングを欠かさない。いつもはもう少し遅い時間に活動をはじめ 1188