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    ふ菓子

    夢とか男主夢とかCP物いろいろごちゃ混ぜで投げます👀

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    ふ菓子

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    エンディング後の生存ifのイチ若です
    イチが若の目覚めを待って病院に通うn万回煎じられたシチュ()
    温かい目で見守ってやってください…

    #龍が如く
    dragonsTale
    ##イチ若

    ワスレナグサ白い病室の中の白いベッドの上に横たわる人物をじっと眺める。どれだけ見つめても瞼が動くことはなく、生命維持のために繋がれた点滴が雫を落とし、生命活動の証である脈拍を知らせる規則的な電子音が響くのみだ。この真っ白な部屋の中で唯一、まともな存在感のある春日はベッドに横たわる人物の手をそっと取り上げる。温かいが、消して握り返すことはない。この白い病室内で日焼けをすることがなくなった、白く綺麗な手。
    「…若…今日も目を覚まさないんすね」
    そっと慈しむ様に撫でてみても握り返されることは決して無い。荒川真斗がこのベッドで過ごすようになってから早1年が経過しようとしていた。春日は毎日足繁く通い、その日あった出来事や、彼が意識を取り戻した時の為だという口実で流行りの本や、何の花かは忘れたが枯れる心配のないドライフラワーなどを買ってきたりもした。今日こそは目を覚ますのではなかろうか等と淡い期待を抱きながら今日もこの病室を訪れた春日。不意に、自分が死ぬまでこうなのではないか?と不安に襲われた。意識を失う間際に彼の口から零れた言葉がフラッシュバックして春日の心に闇を差し込んでいく。あの時の不安が陰り、春日は無意識のうちに真斗の手を強く握りしめていた。血の気のない手が更に白くなり、春日は慌てて力を抜いた。
    「わ、す、すんません若…痛かったですよね」
    より白くなってしまった指先を手で包み込みながらを病室内を見回す。真斗の身の回りを世話している看護士が春日の持ってきたものを整理して飾ってくれているのだろう。備え付けの棚には本が並べられ、その天板には春日の買ってきたドライフラワーが綺麗に飾られている。棚には隙間なく本が詰まっていて、もう既に棚に収まらなくなってしまっている。いつ目を覚ましてもいいようにこうして毎日通っているが、何もかもが酷く恐ろしく感じられた。もし自分がいない時に目を覚ましたら?目を覚まさせるためとは言え殺人教唆の動画を拡散させて社会的地位を奪い去った後、彼には何が残されている?「お前は生きろよ、イチ」「どん底からやりなおす」「いいもんだよな」という言葉を再び思い出す。自分がすべてを奪い去ってしまったこの男は自分に何も告げずにいなくなってしまうのではないか?それがただひたすらに恐ろしかった。春日自身は彼の隣を共に歩き、共にやり直そうと心に決めている。だが果たして、彼もそう思ってくれているのか?もしそうでなかったら?そんな仄暗い不安を煽る考えをやめることが出来なかった。彼が目を覚ます時に自分が傍にいられないことが酷く恐ろしい。それが怖くて今日まで毎日通っているのだ。
    「…じゃあ、また明日きますね…若」
    そっと手を元の位置へ戻す。真斗の顔は先ほどと何一つ変わっておらず、何も感じている様子は無い。きっと明日も明後日も、変わらないのだろう。出入り口の扉まで歩き廊下に立つ。扉の取っ手に手を掛けてゆっくりと閉ざす。春日は扉が閉じきるまで彼が動き出すのではないかと淡い期待を抱きながら扉を閉じ、小さく絶望するのだった。

    目覚めぬ男の目覚めを恐れて、男は今日も病室から去る。
    明日の彼に期待を寄せながら。
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    ふ菓子

    DONEエンディング後の生存ifのイチ若です
    イチが若の目覚めを待って病院に通うn万回煎じられたシチュ()
    温かい目で見守ってやってください…
    ワスレナグサ白い病室の中の白いベッドの上に横たわる人物をじっと眺める。どれだけ見つめても瞼が動くことはなく、生命維持のために繋がれた点滴が雫を落とし、生命活動の証である脈拍を知らせる規則的な電子音が響くのみだ。この真っ白な部屋の中で唯一、まともな存在感のある春日はベッドに横たわる人物の手をそっと取り上げる。温かいが、消して握り返すことはない。この白い病室内で日焼けをすることがなくなった、白く綺麗な手。
    「…若…今日も目を覚まさないんすね」
    そっと慈しむ様に撫でてみても握り返されることは決して無い。荒川真斗がこのベッドで過ごすようになってから早1年が経過しようとしていた。春日は毎日足繁く通い、その日あった出来事や、彼が意識を取り戻した時の為だという口実で流行りの本や、何の花かは忘れたが枯れる心配のないドライフラワーなどを買ってきたりもした。今日こそは目を覚ますのではなかろうか等と淡い期待を抱きながら今日もこの病室を訪れた春日。不意に、自分が死ぬまでこうなのではないか?と不安に襲われた。意識を失う間際に彼の口から零れた言葉がフラッシュバックして春日の心に闇を差し込んでいく。あの時の不安が陰り、春日は無意識のうちに真斗の手を強く握りしめていた。血の気のない手が更に白くなり、春日は慌てて力を抜いた。
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