雨が雪に変わるまで年末の研究発表会を終えて、カフェのある大通りを歩いていた。
この時期の雨は、ほとんど霙のようなものだ。
年末と言えば、あのクソ親父から色々連絡が来るが、今年はほとんど無視している。
あの女からも定期的に金が欲しいが故の媚へつらった内容のメールがくる。あの女の、この年の息子に「ちゃん」付けする神経を疑う。もっとも、おれはあいつを母親だと認めていないが。
大通りを歩き曲がった先には、
カフェと隣接した小さなギャラリーがある。
まだ学部生だった頃に後輩と行ったきりで最近はなかなか寄ることができなかった。定期的に行きたくなる場所である。久しぶりに店に入ると、入口に、以前にはなかった椅子があった。その上には大きなテディベアが座っている。カフェの雰囲気はあらかた変わってはいないのだが、ところどころにアンティーク調の人形や小物が飾ってあった。
2221