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    白流 龍

    @houhoupoteto

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    ヌヴィリオ、タル鍾SS置き場

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    白流 龍

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    タル鍾ワンライ:告白の台詞
    飾り気のないその言葉で。

    ※🧞‍♂任務軽くネタバレあり
    ※付き合ってない
    ※もろもろ都合いいように捏造あり

    ##タル鍾
    #タル鍾ワンドロワンライ
    tharuWangdrawanRai

    青天の霹靂
    「は?」
    当にこれはそれだ

    開けられたドア
    眼の前に飛び込む光景

    そこには、脱いだ上着を椅子に掛け、脚を組み、膝で両手を組む姿
    見慣れた姿
    忘れようとした姿

    閉じていた瞼がゆっくりと開き、石珀色の瞳が揺れる

    「な…んで…」
    「息災か?公子殿」
    細められた瞳に微笑む唇
    ここは、そんな表情が似合う場所じゃない
    「…これが息災に見える訳?」
    ジャラ、と両手首が繋がる手錠を見せる
    アクリル板越しのこの人は、同じ場所に居るはずなのに違う場所にでもいるようだ

    「てか…何で知ってんの?オレがここにいるって。ってどやって来た訳?つか何で中に入れた訳?」
    平静に、冷静に
    まずは椅子に座ろう

    「まぁそう慌てるな。璃月で、スチームバード新聞なるものが流行っていてな。…ここだ」
    「ちっちゃウソだろこれでも執行官なんですけど」
    見せられたのは新聞の一面、その片隅に『ファデュイ執行官、公子逮捕』の文字と一目じゃオレとはわからない小ささの写真
    「まぁこの国ではそんなことより諭示裁定カーディナルだったか?…がヌヴィレット殿と違う審判を下した、ということの方が問題なのだろう」

    饒舌に、滑らかに
    心の内がわからない

    「璃月から船が出ているからな。久々の船旅は心地の良いものだった」
    淡々と説明されるオレの疑問
    しかしこちらは全くと言っていいほどついていけない
    言葉はすらりと出ても、心がついていけていない
    「ここにはヌヴィレット殿が入れてくれたぞ?昔馴染みだ」
    「いやいや…アンタそれ凡人じゃない方だろ…」

    からりと耳馴染みのいい笑い声
    落ち着く
    落ち着いてしまう

    しかし逆にふつふつと、怒りのようなものも込み上げてくる

    「…で?何の用…オレは今捕まってんの。わかるだろ?どーでもいい茶番に突き合わされて苛立ってんだよこっちは」
    わざと突き放すような言い方
    早く帰ってくれ
    「…それは、」
    「あ?」
    一瞬、ギラリと眼光鋭く突き刺さる
    否が応でもドキリとさせられる

    「…ヌヴィレット殿か?神の目はどうした」
    「…っ、」
    見えないはずの肩の傷を見透かされ、見えないはずの腰に付いていないものを見透かされ、
    「…だからどうでもいいだろもう出ていけよアンタには関係ない…っ」
    ここまで言い放ち、直ぐ様自己嫌悪に陥る

    「関係ない、か…そうか…」

    捕まってまだ5日、速報で流れるのが翌日だとして船旅だとしたら3日はかかる。

    今は朝の7時過ぎだ。どう考えても直ぐ様来ないと今ここにいない。
    そしてここはフォンテーヌの要塞。普通なら外壁に近付くことも出来ないと聞いた。神のツテを使ってまで来てくれたのは明白だった。

    「ちが…違う、そうじゃない…あぁ、クソっ」
    先程までの表情、声色が一変して沈んでしまった。
    違う、落ち込ませたいわけじゃない。
    嬉しくないわけがない。
    ただ、オレの気持ちを知らないで踏み越えて来ないでくれ。

    「オレは…アンタを忘れたくて、忘れようとして…っ最後にって…、最後に手合わせしてもらって手切れにしたつもりだったんだよ…っ」
    ぽろぽろと、ひた隠しにしてきた気持ちが溢れ出ていく
    「六千歳のジジィからしてみたらオレなんて赤ん坊に毛が生えたようなガキだろうさ…でも」
    こんな気持ち、届かないってわかってるから
    釣り合わないって、わかってるから
    でも、それでも、
    「オレは…っこんなに…こんなにっ」
    アクリル板を叩く音と、金属がぶつかり合う音
    その一瞬の劈くような不快音の後に訪れる静寂

    「…アンタに、触れたいのに…っ」

    眼前にいる男は驚くこともなく、少し眉を下げ目を合わせてくる
    止められなかった、困らせている、戻れない、
    もう戻れない
    …こちらから、目を逸らすしかなかった

    看守にぽんと肩をたたかれ、そのまま崩れるように俯いたまま椅子に座る

    「…公子殿、すまなかった」
    頭に振りかかる謝罪
    それは、どういう意味…?
    「俺は、その…なんと言ったらいいのか…」
    やだ、聞きたくない
    こんな別れ方したくない
    もう二度と会えなくなっちまう
    「お前と離れてから、色々と、その…考え事が増えた」


    そろり、と
    悟られないように視線を向けると、なんとも読み取れない表情
    …だが、なんとなく、照れている?

    「お前の言うように俺は六千歳のジジィだからな、色々と、忘れていることもある…あった」
    「せん、せ?」

    あ、違う
    これ、違う
    そう感じると、冷えた心臓が一気に熱くなるのを感じた
    少し眉をひそめた表情から、急に柔らかく暖かい視線を向けられてどきりとする

    「モラを、入れ忘れるんだ」
    ははは、と
    え、あれ?
    「元々持ち歩くこともなかったが、公子殿と出会ってからは尚更不要なものだったから」
    「ま…え?なんで…?」

    なんでバレてる?
    あれはオレが勝手に送りつけた物
    だいぶふんだくられたが手切れ金と思って手回ししてもらった筈なのに
    オレがいなくても、ちゃんと買い物できるようにって

    表情から読み取ったのか、何も言えずにいるオレの顔を見て、少し視線をそらして、少し恥ずかしそうに

    「堂主から貰ったものにしては、その…お前の匂いが強かったから」
    顔に火が付きそうだった
    なんだよ匂いって

    「…ファデュイの執行官殿が無事にここから出られたら、璃月に来い」
    声質が、いつもの自信に満ちた声が、
    オレの好きな声が
    「色々と、話すことがある。だから…」
    頭に響く。

    「早くお前に逢いたい」

    こつん、と
    目を閉じて、壁に額をくっつけるその仕草が
    たまらなくて

    髪を撫でようと、手を伸ばしたが、そこには冷たい壁
    じゃらりとまた、音がなる

    「オレ、も」

    ふふ、と笑い立ち上がる
    「では公子殿、楽しみにしている」

    待った、行くな
    抱きしめたい、その髪に触れたい、その頬に、唇に…

    「絶対…行く」

    それが限界
    爽やかな笑顔を見せて、するりと後ろを向き、ふわりと上着に袖を通す
    瞬間

    「…ぁ」

    ちら、と見えたそれは、まさにオレが上げたもので
    モラも入っていないただの大きめの入れ物なのに
    持ち歩いてくれている、それだけで…


    ギィとドアが閉められ、静寂が訪れる
    …と、共に現実を思い出す
    …ここは監獄、面会室、看守がいる。

    「…おい」
    恥ずかしすぎる、顔を上げたくない

    「これ、記録に残る…?」
    「当たり前だ。面会中の会話は全て記録される」

    死にたい

    「…気持ちは、わからんでもない」
    「わかってたまるかクソ…」
    「脱獄は考えるなよ。俺の仕事が増える」
    「チッ…わかってるよ」

    この黒髪の狼のような大型犬のような看守に心を見透かされながら、
    どうしたら最速でここを出られるのかを模索しよう

    「…もう少しここにいるか?」
    「…うん」

    意外と少し優しい狼犬に、救われて
    今は幸せに浸ろう
    早く逢えますように
    早く伝えられますように

    オレ、先生が大好きだ。って
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    😭😭😭😭😭
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    エリンギ猫

    DONE #ディルガイワンドロワンライ

    +30m

    Dom/Subユニバース
    Domのディルック
    Switchのガイア

    pixivで上げているシリーズの設定です。初めて参加するのでルールを間違えてたらすみません。
    その隣に雲一つない快晴の中、柔らかく射し込む陽の光がステンドガラスを輝かせている。まるで神からの祝福のように降り注ぐ色とりどりの光を受けて、透き通ったヴェールがきらりきらりと瞬く。

    「風神――バルバトス様の祝福があらんことを」

    厳かに語られた神父の言葉に、涙を滲ませた純白の女性がふわりと微笑む。幸せなのだと、その顔を見ただけで分かるほどに、満ち足りた表情だった。

    その小さな顎に掛けられた指先が緊張のせいか、はたまた感動のせいか、微かに震えていて、ガイアは思わず目を細めて笑みを浮かべた。そっと合わせられた唇はすぐに離され、それに合わせて周りから一斉に祝福の野次が飛ぶ。

    2人は照れ臭そうに笑い合い、そうして額を擦り寄せてもう一度唇を重ね合わせた。それがあまりにも幸せそうで、ほんの少しだけ、羨ましくて。ガイアはチラリと横目に自身の隣を伺うと、宝石のように赤い双眸と視線が絡み合う。徐に伸びてきた温かな手のひらが、ガイアの膝に置かれた手を柔らかく握り、はんの少しだけ身を寄せあった。
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