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    AOI_xxx999xxx

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    ワンドロSS乱文その1。
    文字書きさんに憧れた時期。

    真夜中の空想携帯の奏でる警鐘により、一時の安息は中断される。閉鎖空間の発生に伴う出動の要請だった。もう随分と手慣れた作業だろうと憂鬱の原材料となるには充分である。任務中は深紅、というよりは唐紅のような色彩の光を放っているため互いの姿をはっきり目視することなどはないが、なんとなく気後れするため最低限の身支度はするようにしている。これも日常の一欠片であった。
    閉鎖空間へ向かうとサイケな巨人がいつもの様に姿を表していた。それをいつもの様に処理し、いつもの様に帰路に着く。今日は彼女の身に何が起こったんだろう。自分が見ていた日中の彼女から特に異変は感じなかった。それならばもう考えることをやめるしかない。仕方がないこととはいえ、立場上彼女のプライバシーは割と筒抜けな状態なのだ。悪意はなくても、それを侵害している自分が必要以上の深追いをすべきではないと理解していた。帰路の途中、煌々と輝く建造物を目にした。深夜帯にも営業しているその群衆は僕にはまだ縁のないもの。でも、少しだけ、足を向けたくなった。
    気の迷いでしかない。高校生がこんな時間帯にこんな場所を歩いていて、警察にでも見つかれば補導対象であるし、優等生を演じるべき身でありながら生徒指導を受けるなど誰が見ても賢い事態ではないのだ。
    しかし、紛れてみると自分を未成年として対応しようとする大人は偶然にもいなかった。最低限の身支度が初めて役に立ったのか、どうやら僕は成人にでも見えるらしい。道端に落ちている女性の目元には泣き腫らした痕があったし、物影で雪崩れて嘔吐する男性の背中をさする者はいなかった。みんな、自分のことばかりで容量は尽き、今この瞬間浮かべた笑顔も朝を迎えればなかったことになる。「忘却」を寂しいと思った。そして、その哀愁も人間らしさの象徴として一抹の愛着を与えてくれた。
    真夜中の街の喧騒は、
    眩しくて、
    耳を塞ぎたくなるほどに五月蝿くて、

    自分を落ち着けるものであった。

    誰もが人との関わりを求め、厭いながらアルコールで洗浄していく。その中に孤独な自己が在ったとして何も問題はなかったのだ。ネオンは孤独を浮かび上がらせることなく上塗りし、隠してくれる。
    気の迷いなんだ。今日は、偶然、いつもの憂鬱が色濃かっただけ。だけど自ら世界平和を祈る限り、理性や理想をかなぐり捨てて逃げ出すわけにはいかない。僕は正義のヒーローではなく、私的な夢を叶えようとする少年でしかないのだから。少年であるために大人の持つ自己矛盾をも受け入れると決めたのだから。だから今日も僕は自分を捨てないように、時々自分を危険に晒しながら、心を保つ。虫の居場所なんて気にしている余裕はない。
    きっと、彼女もそうだったのだ。『機関』にも、未来の人間にも、宇宙組織にも分からないような想いを抱えて、自分を保つため、葛藤を迎える夜もあって然るべきなのだ。だって彼女は、あんなにも、人間らしい少女でしかない。その少女は、自分にとって面白くないこの世界に着色を施すべく日々奮闘しながら前へ進んでいく。歩む限りは素面だろうと道を真っ直ぐ歩けない。その足跡は想いの強さだけ、物語となる。それを読んでいくことが僕の役割であるなら…………

    ――――――――――――――――――

    この想いが、自己犠牲の言い訳ではなく、本心であると再確認できる夜を迎える度、束の間の憂鬱も眠りと共に溶けていく。忘れるのではなく溶かすのだ。忘却は寂しいものだから。目覚めた自分の手にあって欲しい。

    今日も、この世界と共にありたいから、世界平和を祈る。
    世界平和が空想でないと信じているから、この世界と共にありたいと願う。
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