文字列の懐古「お前のその字はなんとかならんのか。」
部室のいつもの定位置に座る彼が僕の手元を覗き込んで溢した。
「すみません、読みづらいですよね。」
SOS団が校内屈指の特殊集団だとしても大きな行事や事件が常に追いかけてくることはなく、凪のように過ぎ行く日々がここ二、三日続いていた。今は特に新しいボードゲームも手元になかったのでオセロでも提案したかったところ、クラスの委員で頼まれた仕事の締切が早急であったため、この時間を利用して済ませようとしていたところだった。
「なんで謝るんだよ。別に読めないほど汚いわけじゃないから問題はないんだがな。」
「僕もこの悪筆には自覚的なので、何度も矯正しようと試みてはいるのですが、なかなか難しいですね。」
2003