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    Arasawa

    @_Arasawa

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    Arasawa

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    セフレが勃たなくなる話。
    土足厳禁の番外編。いつもの存記。
    16話『話を逸らすのが下手』(二人がツーショ撮る話)より後で、17話『明日朝食べましょう』(高専にて合意でキスする話)より前です。

    2022-07-13

    ##土足厳禁

    今の七海は勃たないだろうな任務が終わり後始末を済ませて、そろそろ帰ろうかという頃に硝子からたった一言『懺悔タイムにつき集合』とメッセージが入っていた。全く意味がわからない。意味がわからないけどきっと面白いので医務室へやってきた。医務室では硝子と五条が七海に向かって何やら囃し立てていた。
    お疲れさんと声をかけて三人がこちらを向いた。硝子と五条はいつも通りだけど七海だけはなんだかいつもと違う。……ああ、眉間にシワを寄せていないのか。全くの無表情だ。珍しい。もしや懺悔タイムとは七海が何か懺悔をする時間ということだったのか?懺悔させられ尽くしてこの真顔……いや、ないか。七海だし。

    「懺悔タイムって何?」
    「今なら七海に何言っても怒らないよ」
    「怒りますよ」
    「なんで?」
    「感情をコントロールする術式にやられたらしい。ホルモンの分泌を制御されてるとかそんなところだろう」
    「ふーん……?」
    「戦闘中は興奮状態になってるだろ?興奮出来なくなったら打撃の威力もイマイチ上がらないし視野も狭いまま」
    「あー……要は弱体系の術式か……」
    「だから今の七海興奮しないから、七海への悪事をバラしても怒らない」
    「怒りますよ」
    「なるほどだから懺悔タイムね」

    特に懺悔するようなことはないけど、琴線に触れても怒らない七海というのは見てみたい。さっきからずっと煩そうにしながらも一言二言しか話していない。もしかしたら本当に怒らないのかもしれない。

    「呪霊?呪詛師?は倒したの?」
    「倒したけど術式だけ残った感じかな」
    「まじか、一生このまま?」
    「いやー、時間経過で戻るんじゃない?様子見」

    戻らなかったら降級かもねぇと軽く言う五条の言葉に空気がズンと重くなる。呪術師にとって激情は呪力を練りにくくする障害でもあるけれど大きなエネルギーでもある。これ程無感情になってしまうのであれば、一級在籍は厳しいのかもしれない。

    「僕たち付き合うことになった」
    「くだらない嘘をつかないでください」
    「おお、確かに怒らない」
    「ディープキスして見せつけよっか♡」
    「それは私が怒る」

    なんだろう、七海が怒りそうなこと。私も何か怒らせるようなこと言って『ワァ怒らない』を体験したい。何か……何かないか……あ、そうだ。

    「明後日の任務、サポート無しで呪霊付近に行って術式を行使することになった」
    「フ─────…………」



    ▽△▽△



    「話が違う」
    「あれは七海の地雷を踏んだオマエが悪い」
    「だとしてもこんな長時間説教はない」
    「でもテンションは低かったな」
    「それ、なんか手応えがなかった」
    「慣れてるな」

    七海にいつも怒られてることを正直に白状してみたらそれはそれはしっかり怒られた。話が違う。そのあまりの長さに飽きた五条は途中でフラッと消えて行った。怒るというよりお説教ではあったけど、言い換えれば七海は感情で口出ししているのではなく本当に心配してあれだけ口出ししてきているのかもしれない。七海は長時間に渡り淡々と説教を済ませた後お手洗いに行ってしまった。

    「今の七海は勃たないだろうな」
    「勃……えっ」
    「あれなら性欲も無いだろ」
    「あー……確かにそうか……」
    「今日する予定だった?」
    「そういう関係じゃないってば」

    なんて返事しつつも硝子の言うとおりで、今日は久しぶりに七海の家に泊まる予定をしていた。そうか、あれだけ無感情で興奮もしないなら性欲だってもちろんないだろう。これでは七海の家に行く理由が無い。今日は無しか。久しぶりの快楽はもちろんのこと、七海と過ごす夜をとても楽しみにしていたのだけれど……まあこうなってしまったものは仕方がない。セフレの分際で性行為が出来ない時に家に上がるわけにはいかない。今日の長時間説教みたいな、私のことをザクザクと遠慮なく突き刺し精神的に痛めつける仕事モードの七海と会った後は、火傷しそうな熱を孕んだ瞳でめちゃくちゃに抱かれたいのに。

    「あーあ、無駄に怒られた。変なこと言わなきゃよかった」
    「五条とディープキスしてほしかった」
    「絶対嫌だ……」
    「というよりそれ見てる七海の顔見たかったのに」
    「見たく無い……。そろそろ帰るわ」
    「ん、また」
    「んー」

    医務室から出るとトイレがある方から七海が歩いてくるのが見えた。ムスッとへの字口。

    「なーに、まだ怒ってんの」
    「怒っていません」
    「今日行かない」
    「どうして」
    「その、……反応しないでしょ。身体」
    「……性欲も減退しているかどうかは」
    「ちょっとそこでヘンな動画でも見て試してきてよ」
    「お断りします。……が、私が反応しなくても問題ないでしょう」
    「なんで?出来ないじゃん」
    「……手とか、口とか、玩具とか」
    「……」

    いや私一人だけ恥ずかしいでしょ、とか。興奮してない七海はそれをどんな顔して見るんだよ、とか。何フレだよ、とか。色々浮かんだ言葉が『ここは高専』という自制によって消えていく。一人だけで乱れてでも七海と過ごしたいのかと聞かれれば、もう素直に首を縦に振るしかないわけで。

    「七海はそんなんでいいの」
    「ええ」
    「……」
    「それでもいいから貴女に来てほしい」
    「え?何かあったっけ?」
    「何も」
    「……」
    「……」
    「……行こうかな」
    「ええ」



    ▽△▽△



    さっきまでのお説教も、それに言い返して起きる喧嘩も、まるで嘘みたいにいつも通り夕食を作って食べた。私が先にシャワーを浴びて、七海が浴びるのを待とうとしたのにそのままベッドへと連れて行かれた。

    「シャワー浴びないの」
    「私は何もされる気がないので」
    「……やっぱ興奮しなさそう?」
    「キスすれば興奮するかもしれません」
    「ばか」

    掛け布団の上に寝かされて、いつものブルーのシャツ姿の七海が覆いかぶさってくる。手を繋いで首筋に二度キスを落として、そのままツゥと舌が這った。ピリピリと背筋に痺れるような快感が走る。繋いでいない手で口元を覆って声を殺すと、聞かせてとたった四文字の言葉で阻止される。七海の部屋着とサイズ違いのスウェットの裾からゴツゴツした手が這い上がってきて素肌を撫でて、それだけで私はお腹を大きく動かして荒い呼吸を繰り返すことになる。七海がベッドサイドに置いた玩具は以前勝手に使われた振動式のものが一つ。またあれがナカに、と戦々恐々眺める視線は強引なキスで奪われた。



    「ん、ぁ、やだ……っんん……っ」
    「気持ちいいですね」
    「むり、も、むりだから……っ」
    「ええ、もっとしますよ」
    「ね……、なぁみも、ぬいで……」
    「……仕方ないですね」



    七海がほしくてほしくて堪らなくて余裕の無い頭は、始める前の冗談を真に受けて幾度もキスを繰り返した。けれどやはり七海が昂ぶることはなく、まるで愛おしいものでも見つめるような表情を浮かべながらキスを受け入れて、手を変え品を変え何度も私を絶頂させた。普段着のシャツのまま、知り尽くしたイイところを丁寧に虐め抜く七海には正直気が狂いそうだった。いつもはシャワーを浴びてスウェットやバスローブに着替えてから行為に及ぶから、ねっとり見せつけるように外すネクタイやシャツガーターのいやらしさは今日初めて知ることとなった。ボディソープで丁寧に洗われた肌とは違い、ほんのり整髪料や汗が混ざった素肌のニオイさえも媚薬のように脳を震わせた。少ししょっぱい肌を夢中で舐めたり噛んだりした覚えがある。

    いつもと同じくらい限界に近い疲労感になった頃また七海の指で絶頂させられて、ようやく行為が終わった。息を整えている間に一瞬立ち去った七海は私のコップだけ持って帰ってきた。いつもならこのタイミングでタオルも手にしているから少しキョトンとしてしまった。不思議そうな顔を浮かべる私に優しくキスを落とした。すき。……違う、まだ解禁してないから。コップの水を口に含んだ七海が顔を寄せたので、口を薄く開く。案の定濡れた唇が重なってほんのり冷たい水が流れ込んでくる。自分で飲むと言っても無視して口移しを繰り返されて、途中からどんどん一口分の水の量が減っていったけれど結局コップ一杯分飲まされるハメになった。

    「性欲ないのにしっかりスケベじゃん」
    「性欲が切り離されたおかげで色々見えたので」
    「例えば」
    「貴女の余裕のない表情とか」
    「そんなの見なくていい」
    「キスをねだる顔とか」
    「いい、いい、もう言わなくていい」
    「お風呂入りますよ」
    「入浴剤いれたい。よく寝れるやつ」
    「ええ。歩けますか」

    本当は歩けるけれど、七海の首に腕を回した。額にまた口付けが落ちて、ヒョイと身体が持ち上がる。力のある男はシンプルに魅力的だけれど、五条が同じことをしても同じだけ胸が高鳴ることはないだろうな。

    「七海タクシー」
    「貴女専用ですよ」
    「どうだか」
    「信じられませんか、こんなに愛でているのに」
    「……興奮しないのによくあんな長時間遊べたよね」
    「一方的にするのは結構良いものですよ」
    「じゃあ次は私がやる」
    「させません」

    お風呂場で降ろされたので、軽くシャワーを浴びて体液を流す。洗面所下の棚から入浴剤を取り出してから入ってきた七海にシャワーヘッドを渡してざぶんとお湯に浸かった。シュワシュワと入浴剤の溶ける音を聞きながら、髪を洗うサマを見つめる。ワシャワシャと頭皮を擦る音と、漂うシャンプーの香り。上げた両腕につられて伸ばされた胸筋はそれでも大きくて思わず触れたくなる。シャワーで流されて美しい金色が姿を見せる。顔をゴシゴシと手の平で擦って、そのまま前髪をかきあげた。それだけで画になっていてむかつく。なんなの。
    そのまま七海は身体を洗う。厚い筋肉にモコモコの白い泡が映える。この傷だらけの肉体で沢山の人を救って、取りこぼして、救ってきたんだろうな。ああ、好きだよ七海。サァァとシャワーで泡が流れてまた傷だらけの愛しい身体が露わになる。あの泡と一緒に私の好意も排水溝に捨てられたらいいのに。

    「噛み痕が残りましたね」
    「えっ」
    「ここ」
    「うわ本当だ、ごめん」
    「仕返しが必要」
    「いらない」

    ざぶんと七海も湯船に入ってきた。促されるまま七海に背中を向けて凭れかかった。七海の腕が私のお腹を抱く。首筋に埋まった頭をそっと撫でた。

    「興奮しないってどんな感じ?」
    「ずっと妙にぼうっとしてます。感情の起伏がないというか」
    「呪力は練れる?術式は?」
    「……」

    かぷ、とうなじを噛まれた。普段と変わらない甘噛みなのに脳髄に響く気持ちよさがあって、さっき散々出したのと同じだけ甘い声が漏れてしまった。

    「なに今の……」
    「弱点を作りました」
    「言葉で返事して」
    「見せた方が早い」
    「ばか」

    七海の腕はぎゅうと私を抱いたまま。首筋にちゅっちゅと口付けるのを抗議らしい抗議をせずに受け流す。興奮しないのに何してるんだろう。……いや、確かにこの程度なら興奮とは関係ないのかも。でも性欲無しにこんなことするのって相当……期待してしまうから、やめてほしいな。

    「……あれっ?えっ?なんで」

    いつの間にやら腰に固いモノがあたっている。なんで。興奮しないんじゃなかったの。もしかして興奮してたから首にキスしてたの。……まあやっぱそうだよね。慌てて距離を取ろうとする私を二本の太い腕がまるでシートベルトのように抑えつける。

    「術式の解除に成功したようですね」
    「待って待って!今日はもう無理!」
    「あんな姿見て耐えられるわけないでしょう」
    「もう体力残ってないって!今度は私が色々してあげるか、んぅっ」
    「一度だけ」
    「本当に一回?」
    「ええ、一回だけ……」




    「何が一回だけだこの大嘘つき」
    「すみません」
    「しばらく大法螺吹きって呼んでやる」
    「……由来を聞かれたらちゃんと『一回だけと約束したのに何度も抱かれたから』って答えてくださいね」
    「呼ぶのは二人だけの時に決まってるでしょ!」
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    Arasawa

    DOODLE「口移ししないと出られない部屋」に五条と七海と夢主の3人が入っちゃった話。
    五夢かつ七夢です。なんでも許せる方向け。

    青と辛酸、イベント開催ありがとうございました!🥰
    口移ししないと出られない部屋さっきまで確かに高専の待機室でソファに座ってのんびりくつろいでいたはずなのに、まばたきをした瞬間なぜか真っ白な部屋に五条と七海と私の三人で集合していた。明らかにおかしい。袖のボタンを外してクルクルと捲り臨戦態勢を取った。五条は真っ黒な帯のような目隠しをつけていて、七海はいつものスーツ姿だから各々仕事中だったんだと思う。意味がわからなくて動揺する私を余所に、同期である五条と一歳下の七海は「あーはいはい、そういうことね」とか「何故五条さんまで……」とか各々状況を理解しているらしい。
    少し遅れてキョロキョロと部屋を見渡すと、でかでかと『口移ししないと出られない部屋』と書かれていた。確かに部屋の真ん中には見慣れたミネラルウォーターのペットボトルが数本置かれている。なにがどう「あーはいはいそういうこと」なのか教えてほしい。出来れば五条と七海で事を済ませてほしい。こちとら男性と唇をくっつけたことすらないのだ。口移しだとわかっていてもなるべくこんなことはしたくない。いつか現れる好きな人との本番のために。
    8000

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