ダイ君と叶えたい願い(ポプダイ)「そう……上手いぞ、ちゃんとこの間おれが言ったこと守れてる」
「ほんと? おれ、ちゃんとできてる?」
「ああ。まだちょいと危ういとこはあるけどな」
「ううう……頑張るよ」
椅子に座って書き物をするダイの背後から、おれは小さな手が辿々しく綴っていく文字を見守った。細い長方形の紙切れへと少しばかり震えた手が綴る文字は、形は歪んでいて悪いし、真っ直ぐに並ばず次第に斜めになっていて読みにくいことは否定しない。けれど、手習いを始めたばかりの辛うじて文字だと判別できるかなという程度だった頃に比べれば、飛躍的にレベルアップしていると言える。
この紙は短冊、っていうらしい。年に一度願い事を書き込んで所定の植物に飾り付け、星に願う遠い異国の行事だと、今朝会った姫さんに説明された。明日の夜に城の中庭に掲げるのでよろしくねという一言とともにダイの分の短冊も渡されたので、つまるところこいつが願い事を書き込むまで面倒を見ろってことだとおれは解釈した。そんでもって今現在の状況になっている。
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