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    shiraseee

    @shiraseee_0108_

    気ままに更新しています。
    サイレント更新&修正は常習。
    凪茨ばかりですが、たまに他CPなども。

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    shiraseee

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    【凪茨へのお題は『大切にもさせてくれないの?』です。
    https://shindanmaker.com/392860

    ##凪茨

    ────────


    「……触れるのもだめ、愛を伝えるのもだめ、仕事以外で隣に並ぶのも座るのもだめ」
    「──はい」
    「…ここまでだめとばかり言われると、むしろしたくなるのだけど」

    子供か。まあ、あれもこれもだめと禁じれば、抑圧された欲望を満たそうとその行為をしたくなるのは人間の心理。
    今までされてきたそれらを、行動に起こされそうにするたび「だめです」「やめてください」と拒否してきたのだが、遂に我慢の限界を迎えさせてしまったのか、仕事終わりにESビル内の無人の会議室に押し込まれたというわけで。
    でも、このやり取りが自分ではなくて、殿下にだけ向いていれば良かった。そうしたら、何も口出ししなかったんです。

    「…茨が嫌がることはしたくないけど、でも私も諦めたくはない」

    本当に懲りない人だ。自分があれだけ拒絶して、こんなに心も体も近付くことを禁じたというのに。
    そこまでされたら「脈無し、諦める他ない」と興味関心失せるものだといつだかくだらないテレビ番組を観ていて知ったのに。
    むしろ逆効果であるから、この作戦は失敗だった。

    「…それならせめて、茨のことを大切に思うことだけはさせて…、………」

    伸ばされた手が、触れる寸前で引かれた。
    触れられると少し身構えてしまった自分を見て、閣下は表情を顰めた。
    そこで、自分が無意識に嫌悪を露わにしていたことに気付いた。
    ああ、下僕風情がなんて失礼を。
    そう思ってももう遅い。
    閣下は哀しみに曇り、俯いてしまった。

    「……大切にもさせてくれないの?」

    …だからそれが嫌なんだよ。
    大切にって、何を。
    自分なんかにそんなことを思わないでほしい。
    その関心を他に向けていいんですよ?
    それに愛だの恋だの、人生において何の益があるんだろうか。生憎それらと無縁でやってきたから何も知らない、いや、知りたくない。

    …頼むから、あなたのぬくもりをこれ以上『俺』に教えないでくれ。


    ───受け止め方が分からないなら、返し方だって分からないんだから。
    溢れるばかりのものを与えられても、あなたに返せるものは、何もない。


    ─────────
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    shiraseee

    DONE凪砂くんが眠る茨を見つめて、かわいいなぁ、好きだなぁ、と思うおはなし。同棲している凪茨。
    茨は眠ってるだけになってしまいました。

    新年書き始めとなりました。とんでもなくふわふわとした内容ですけども…こういう凪茨が好きなので、今年もこんな感じのを書いていきます。
    暇つぶしにでもなりますと幸いです。
    拙作ばかりですが、たくさん書いていきたい!どうぞ今年もよろしくお願いします。
    しあわせの風景────────

    薄ら開いては閉じを繰り返す瞼に、注ぐあたたかな陽射し。まだ少し重たいけれど、微睡みから目覚めていく意識が次に捉えた柔らかな匂いに幸福感すら覚え、覚醒していく。
    日向より私に近しい匂いは、すぐそこにある。
    すん、と小さく鼻を鳴らして吸いこんだ。再び眠りに誘われてしまいそうになる安堵感と、心地良さ。この匂いにほだされ、自然と求めてしまう。
    随分そばにあったぬくもりも抱き締め漸く開いた私の視界は、見慣れた暗紅色が埋め尽くしている。
    「……茨…」
    「……………」
    「……?」
    ───珍しい。ぴくりとも反応がない。
    普段なら名前を呼べば起き上がるとまではいかずとも、私の声を聞けば、ふと長いまつ毛を持ち上げ茨の美しい青に私を映してくれることが常だった。その時の、茨の世界にまず私が在れるひとときに期待して暫く様子を見ていても、瞼は開くどころか、かたく閉ざされたまま。どうやら茨は、無防備にも私の腕の中で熟睡している。
    2000

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