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    shiraseee

    @shiraseee_0108_

    気ままに更新しています。
    サイレント更新&修正は常習。
    凪茨ばかりですが、たまに他CPなども。

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    shiraseee

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    凪砂くんが眠る茨を見つめて、かわいいなぁ、好きだなぁ、と思うおはなし。同棲している凪茨。
    茨は眠ってるだけになってしまいました。

    新年書き始めとなりました。とんでもなくふわふわとした内容ですけども…こういう凪茨が好きなので、今年もこんな感じのを書いていきます。
    暇つぶしにでもなりますと幸いです。
    拙作ばかりですが、たくさん書いていきたい!どうぞ今年もよろしくお願いします。

    ##凪茨

    しあわせの風景────────

    薄ら開いては閉じを繰り返す瞼に、注ぐあたたかな陽射し。まだ少し重たいけれど、微睡みから目覚めていく意識が次に捉えた柔らかな匂いに幸福感すら覚え、覚醒していく。
    日向より私に近しい匂いは、すぐそこにある。
    すん、と小さく鼻を鳴らして吸いこんだ。再び眠りに誘われてしまいそうになる安堵感と、心地良さ。この匂いにほだされ、自然と求めてしまう。
    随分そばにあったぬくもりも抱き締め漸く開いた私の視界は、見慣れた暗紅色が埋め尽くしている。
    「……茨…」
    「……………」
    「……?」
    ───珍しい。ぴくりとも反応がない。
    普段なら名前を呼べば起き上がるとまではいかずとも、私の声を聞けば、ふと長いまつ毛を持ち上げ茨の美しい青に私を映してくれることが常だった。その時の、茨の世界にまず私が在れるひとときに期待して暫く様子を見ていても、瞼は開くどころか、かたく閉ざされたまま。どうやら茨は、無防備にも私の腕の中で熟睡している。
    この状態になるまで気付かなかったほどに、私も深い眠りにいたようだけれど。
    「……ふふ」
    ああ、嬉しいな。他人からすればこれだけのことが、むしろ理解されるかすら分からないことが、こんなにも嬉しい。つい見惚れて、自然と笑みがこぼれる。
    閉ざされたままが寂しいのではない。見つめ合えないことが彩れないわけではない。
    私の腕の中、規則正しい寝息を立てる茨への愛おしさで、満たされた心が溢れそうになった。
    ベッドでいつの間に眠ったのか分からない昼下がりに、茨が休める安らぎを求めて私のもとに来てくれた時、気付かなかったのはむしろ幸いだったのかもしれないと考えて。きっと私が起きてしまったら、すぐに離れてしまっていったであろうことは想像に難しくない。
    「………茨」
    もう一度呼ぶ。やはり眉一つ動かない。
    本当に良く眠っている。あどけない寝顔に私は呼び掛ける。
    「……茨。かわいい茨、愛しい私の茨…好きだよ」
    今度は歌うように、茨へ愛を捧ぐ。
    言葉だけでは足りない想い。眠っている時になんて、勿体無い。ずるいかも?…ううん、きっとちょうどいい。真っ直ぐ見つめてくれるくせにぎこちなくなる恥ずかしがり屋な茨を思い出して、私はそっと囁く。
    少し笑ってくれたように見えたけれど、気のせいかな。
    「……私、幸せだね。これからも君とこうして、穏やかに過ごせる日々が続くのだと思うと、今私は誰よりもいちばん幸せ。ふふ、茨よりも、幸せかもね」
    瞼にかかる前髪を避けて、そこへ触れるだけの口付けを落とす。
    茨とのことを、茨に自慢してしまった。私、君といるとこんなに幸せなんだよ、なんて。まだ眠っていていいよ、眠る君も独り占めしていたい。だから、またあとで私の心を聞いてほしい。
    「………〜♪」
    ──深い眠りに就いたのは久しぶりだろう。
    夢は見ているのかな。もし見ていたとしたら、夢の中でも茨は私の隣に居てくれるのだろうか。私は変わらず、茨へ愛を伝えているだろうか。
    それとも、仕事ばかりしている?あちこち駆け回っているのかな。いつも頑張っているのはそばで見ているから、せめて今だけは安心して眠っているのだと良い。
    茨が気に入っている、私の歌声に伴う言葉を口遊んでみる。夢の中にも届くと良い。一緒に歌えていたら、もっと幸せだろう。
    首を傾け、茨の髪に頬を寄せた。
    艶やかで指通りの良い紅を梳いて、テンポを落として繰り返す。子守唄には遅いけど、じんわり、沁みていくように。
    「ぅ…、んん……」
    抱き締めたことにも、呼び掛けにも反応が無かったのに、いざ触れにいくとやっと身動いだ茨。
    「……ふふ。聞こえてるのかな」
    無意識にも私の背へ回り込む腕が、まるでもっと、とねだっているようで愛おしい。
    「……ねぇ、茨。午後もずっと晴れるみたいだね。洗濯物、乾いているかな。本当にとても良い天気で、あたたかくて、また眠れそう」
    よく晴れた今日に、君の寝顔を見つめて歌う。
    愛おしくも過ぎるひとときは、君の目覚めでもうすぐ終わるだろう。
    起きたら紅茶を淹れようか。いつもより少し甘くして、二人で並んで座りたい。
    乾いていたら洗濯物は取り込んで、晩ご飯のメニューを決めたら、私の話を聞いてもらってから買い物に行こう。
    それともこのまま、ベッドで微睡んでいるのも良いかもしれない。今度は一緒に眠れるかな。

    目覚めるまでの暫くを、どんな風に伝えよう。
    笑ってくれたら、嬉しいな。

    「……おはよう、茨」



    ────────────

    ♪ しあわせの風景/Every Little Thing
    大体歌詞のとおりになっている気がします。
    タイトルは仮題としてお借りしておりますので、後々かわります。
    昔好きでずっと聴いていた一曲を思い出して、凪茨でこんなふうに穏やかに過ごす一日があったら嬉しいなぁ、の思いで書きました。
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    shiraseee

    DONE凪砂くんが眠る茨を見つめて、かわいいなぁ、好きだなぁ、と思うおはなし。同棲している凪茨。
    茨は眠ってるだけになってしまいました。

    新年書き始めとなりました。とんでもなくふわふわとした内容ですけども…こういう凪茨が好きなので、今年もこんな感じのを書いていきます。
    暇つぶしにでもなりますと幸いです。
    拙作ばかりですが、たくさん書いていきたい!どうぞ今年もよろしくお願いします。
    しあわせの風景────────

    薄ら開いては閉じを繰り返す瞼に、注ぐあたたかな陽射し。まだ少し重たいけれど、微睡みから目覚めていく意識が次に捉えた柔らかな匂いに幸福感すら覚え、覚醒していく。
    日向より私に近しい匂いは、すぐそこにある。
    すん、と小さく鼻を鳴らして吸いこんだ。再び眠りに誘われてしまいそうになる安堵感と、心地良さ。この匂いにほだされ、自然と求めてしまう。
    随分そばにあったぬくもりも抱き締め漸く開いた私の視界は、見慣れた暗紅色が埋め尽くしている。
    「……茨…」
    「……………」
    「……?」
    ───珍しい。ぴくりとも反応がない。
    普段なら名前を呼べば起き上がるとまではいかずとも、私の声を聞けば、ふと長いまつ毛を持ち上げ茨の美しい青に私を映してくれることが常だった。その時の、茨の世界にまず私が在れるひとときに期待して暫く様子を見ていても、瞼は開くどころか、かたく閉ざされたまま。どうやら茨は、無防備にも私の腕の中で熟睡している。
    2000

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