23目の前が真っ暗になりました。
「何故」
「いつ」
「どうして」
と、私は矢継ぎ早に聞きました。
千里眼の女性は言いました。
「それは視えていないから分からない。死に様だけが視えた。」
千里眼が視たことは絶対です。
私は泣き崩れました。
「息子が大層大事にしている人間がいるな?」
実の事だと伝えました。
「その人間がそばにいる限り、最強の呪術師は最強の呪術師になる前に死ぬよ」
「愛は最恐の呪いだ。まだ若いお前さんの息子はその人間の為に判断を鈍らせ、決断を遅らせ、己の六眼を自ら欺き、いずれ修復不可能な傷を負わせる。心と、身体に。そして最終的に……ってところだ」
がらがらと音を立てて全てが崩れ落ちました。
「最強の呪術師になれる人間が死ぬのは私も惜しいと思うよ。だから呼んだんだ。」
私は「どうしたらいいのか」と聞きました。
「そうだね。お互い忘れる事が一番だが無理ってもんだろう?どうするかはこれを知ったお前さんが決めるしかないね」
私が?
「あぁそれと。残念だがお前さんの息子は子供を持たないよ。お前さんがあと一人か二人産んだ方が五条家は安泰だろうね。女の子が継いでくれるよ。」
私は誰にも動揺を悟られてはいけないと自分を厳しく律し、いつくるか分からないその日が明日来ないようにと毎晩祈りました。
そして私はもう一人子供を産む事と、できる限り自然に二人を物理的に離し、且つ絶対に会わせない事を決意しました。
私は五条家当主の妻で、五条悟を産んだ母だったのです。
二人に憎まれても五条の家が続いていくこと、悟が最強の呪術師と謳われ、生きてくれることを選びました。
実に賞金をかけたのは私です。