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    いぬさんです。

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    いぬさんです。

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    27話目です。

    27一人暮らしにも慣れてきたある日、掃除が終わってお茶でも飲もうと準備しているとチャイムが鳴った。
    アパートといえどもインターホンやオートロックがついている所をきちんと選んだ。

    「はい」
    と通話ボタンを押して映像を見ると、真っ暗で何も見えない。何かがカメラを塞いでいるようだ。
    くっと笑ってオートロック解除ボタンを押す。
    「どーぞー」
    と言ってから通話を終了した。
    ほどなくして玄関の扉横のチャイムが押された。
    私はチェーンと鍵を外し、ドアを開けた。

    「あのさぁ。よく確認もしないで開けるってどういうことなの?無用心すぎない?オートロックの意味ある?」

    「凄い。完全に声変わり終わってる」

    「人の話し聞いてる?」

    「育ったねぇ。今身長なんセンチ?」

    「180くらいかなぁ?……じゃなくてぇ」

    「その丸っこいサングラスかわいいねぇ。目を隠してるの?」

    「あー、まぁちょっと色々事情が……俺の話し聞く気ある?」

    「ままま、立ち話もなんですからどうぞどうぞ。狭い部屋ですが」

    サングラスを外しながらのそのそ入ってきて部屋を確認している。
    Tシャツとチノパンといういたって普通の格好だが、まあさまになる。長身と髪の色でさぞかし目立つのだろう。まぁ昔から目立ってはいたが。

    「ちょうどあったかい紅茶飲もうと思ってたんだけど飲む?」

    「コーラがいいー」

    「アパートの横にコカ・コーラの自販機あるよ~」

    「じゃあ紅茶でいい」

    私のアパートは1LDKだ。あまり広くはないが、誰かが来るわけでもないし、掃除も楽だから狭い部屋を選んだ。

    暖かい紅茶が入ったカップを2つもってリビングに戻ると、立ったまま部屋を観察している。

    「うわぁ……でかい男が一人いるだけで狭い部屋が更に狭く感じるわぁ……せめてソファーに座ってくれない?」

    「んぁ?」

    どかっとソファーの真ん中に座ると、自分の部屋のように寛ぎ出した。

    「ねぇ……。真ん中に座られると私が座る場所がなくなるんですけど(あんたがでかいから)」

    「はいはーい」

    そういってソファーから落ちそうになるくらい隅に移動する。

    「いいけどね……?はい紅茶どうぞ」

    「どーもねー」

    しばし無言で紅茶を飲んだ。
    札幌は日によって夏でも肌寒い事があるので、そんな日は暖かい飲み物が落ち着く。

    「なんで俺が来るって分かった?」

    「先週も来てたからそろそろ家バレしたと思ってた!」

    「は?先週気付いてたの?」

    「なんとなく?大学の門の近くにいなかった?」

    「絶対見えてなかったと思うんだけど……俺が鈍ったかなぁ?」

    「見えてなかったよ!なんとなく、近くにいるんじゃないかなぁって」

    「つかお前!ようやく札幌のマンションにいるって分かって来てみたら勝手に引っ越してんじゃねぇよ!札幌東京間の日帰り往復なめんなよ!」

    「だって、せっかく来たのに両親がいたら訪ねて来にくいんじゃないかと思って」

    「…………あぁ……ナルホド」

    「絶対見つけてくれると思ってた」


    いつかみたいに両手が私の頬を包み込む。あの時よりずっと大きくてゴツゴツしている。
    あぁ、大人の男の人になったんだなぁなんて感慨深くなる。
    息をする間もない息苦しいほどのキス。
    私の形を確認するように体をなぞる手。
    背中に回った手がブラのホックを外す。


    「ちょっと待ってぇえ!!」

    「…………なに??」

    「ちょっ…………と……やめとこ?まだ真っ昼間だし…………ね?」

    「無理」

    「即答!!」

    「無理。この部屋お前の匂い充満してるから待ってって言われても無理。ようやく会えたのに我慢できない」

    切なすぎてこまった……。

    「なにその顔。何に困ってんの?」

    「まだ昼間で明るいし!」

    「昔もしてたよね?」

    「シャワー浴びてないから汚いし!」

    「昔から言ってるけど汚くない」

    「ふぐっ……」

    「ぷっ……なにその擬音」

    私の身体にはたくさんの傷がある。大体は手術の時にできた線のような傷だが、脇腹や太ももには瓦礫があたって肉がもっていかれた時の大きいひきつれがある。
    服を着ていれば見えないので普段は気にならないが、私は未だにお風呂で鏡に映った自分の体を見て吐きそうになる。だからお風呂と脱衣場の電気は点けない。
    そんな傷を悟が見たら、自分がつけた傷だと自分を責めるだろう。
    私に子宮が無いことは知っただろうか。
    あの日以来私も誰かと体を重ねる事はなかったから、自分でも普通にできるか分からない。医師に聞くのも恥ずかしかった。

    私が黙っていると、ソファーに座り直して突然話を始めた。

    「俺今呪術高専に通ってるんだけどさ」

    「うん?」

    「一年生俺入れて三人」

    「少なぁ!!」

    「男二人で、女一人なんだけど、二人とも術式面白いよ。任務も楽しいし」

    「いいじゃない」

    「男の方は真面目で律儀、女の方はタバコふかしててめちゃくちゃ口が悪い」

    「え……と高校生がおたばこ??」

    「高専ってわりとなんでもアリよ」

    「いやぁどうなの……」

    いつかタバコを吸い始めるのだろうか……。
    ちょっと見てみたい気もする……。

    「さすがに六眼は珍しかったみたいだけど、そういう人間もいるって簡単に受けいれてくれたし、誰も俺を特別扱いしないのもすげー楽。なんならいじられることも多いし。女のほうなんか俺を見て『へー本当に六眼なんだなー。六眼の目玉って高く売れるの知ってた?はははーw』だって。怖ぇよ。」

    「ははは。それは怖いね……」
    普通の学校の普通の女の子はまず言わないだろう。


    「で、その女のほうの中学の友達に、俺の中学の隣の中学だった子がいたらしくてさ。ある日言われたのが」

    『よう五条。お前となりの中学でも有名人だったみたいだな』

    「で、なんで?って聞いたわけ。一応ね」

    『ゲイでインポの超残念なイケメンだとよ』

    「ぶーーーーーーーーっ!!!」
    私は吹き出した。

    「こんなイケメンつかまえてひどくなぁい?」

    ついに自分の顔面偏差値を自覚したのか……。
    しかし笑える。

    「でもさ、噂になるってことは何か原因があるんでしょ?」

    「思い当たることはあってだなー」

    「なによ」

    「怒らない?」

    「は?聞いてもいないのに怒るか怒らないかなんて分からないよ」

    「んー、まあいっか。俺中2の時に3年のおねーさんに襲われたの」

    「ぶーーーーーー!!!」
    私はまた吹き出した。
    「今時の中学生凄すぎじゃなぁい?!!」
    しかも悟を襲うとは怖いもの知らずにもほどがある。恐るべし思春期の性欲。

    「俺、勃たなかったの」

    「???」
    私は顔とズボンのテントを交互に何度も見た。

    「どんなにそのおねーさんが頑張っても勃たなかったの。プライド傷つけちゃったんだろうなぁ。多分それが原因」

    「とんだとばっちりを受けたのねぇ」

    「どんなもんかと思ってされるがままにしてたんだけどさ、肌の感触とか匂いとか、全然違うのな。それに気付いたらもう無理。全然反応しないの。」

    「…………。」

    「それ以来そういう機会もなかったし、一瞬マジで不能になったかもって思ったけど、どうせ実とできないならそれでもいっかなぁって思っててさ」

    「…………。」

    「そしたらどうよ。凄くない?実の匂いかいだらこれ!部屋に入ってからずっと!」

    私は崩れ落ちた。

    「悟キャラ変したの……???」

    「高専メンバーって先生も生徒もみんな濃ゆいから影響うけたかな?」

    ゲラゲラ笑うのは変わっていないみたいだと呆れる。
    でも、悟が学校を楽しいと思ってくれてるのはいいことだ。初めてのことではないだろうか。
    きっと悟にとってよい環境、よい友達に恵まれたのだろう。

    「んもぉ…………」

    「で?俺のもおとなしくなったし拒む理由を教えてくれる?」

    ふとズボンを見ると確かに膨らみがなくなった。

    「今日、泊まって行って欲しい……」

    「いいけど」

    「夜……ならいいよ」

    「オッケー。夜抱かせてくれるって事でいい?」

    「うん」

    暗ければそんなにくっきり見える事はないだろう。

    「ねぇ悟」

    「ん?」



    「昔話を聞いてくれるかな?」














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