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    いぬさんです。

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    いぬさんです。

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    46話目です。

    46それはそれは豪華な部屋だった。

    「悟……ミニバーがある……ミニキッチンもあるよ……ここラブホテルだよね……???」

    「ラブホのスイートもバカにできないな。このサイズのベッドなら俺も欲しいかも」

    サイズは多分キングなのだろう。
    2人で寝てもベッドから落ちる事はなさそうだ。

    「お風呂も見てくるね」

    私はお風呂場に向かった。広い。広すぎて全く落ち着かないやつだ。湯船も大きめだが、体を洗う場所が広すぎるし、なんならシャワールームも別に備え付けてある。最新式のシャワーヘッドのようだ。

    お風呂場に設置されているアメニティを見ると、小さな袋がいくつも置いてあった。入浴剤だ。好きな香りを選んでいいらしい。これは嬉しい。液体が入った小さな袋の方はアワアワになるらしい。

    「悟!泡風呂にできるよ!やってみたい!」

    「おー。やっていいよー」

    悟はベッドのある部屋でごそごそしている。
    私は湯船を軽くシャワーで流してからお湯を貯め始めた。

    「悟?何してるの?」

    「見てこれ。おもちゃがいっぱい売ってる」

    ビジネスホテルで見かける小さい冷蔵庫のような箱におもちゃが入っている。

    「そんなものまで売ってるのね……」

    見たことがないのでつい体を乗り出して見てしまう。おもちゃが入った小さな箱の前にしゃがんで興味津々の大人が二人。

    「……実、使いたい?」

    「え"???違うよ!!初めて見たから珍しいだけだよ!!!」

    「ま、なくても充分だよなー?」

    「はいはい!」

    「お風呂入る前にちょっとだけイチャイチャしよ?」
    悟が私の手を掴んで立たせる。

    「ちょっとだけね」

    立ったままだと身長差がありすぎてキスをするのが大変だ。精一杯背伸びして、悟には屈んでもらう。30センチ差で頭一個分以上違うのは大きな差だ。

    ぎゅーっと抱き締められてからチュニックを脱がそうとする。

    悟がちょっと首をかしげる。
    「嫌がらないの?明るいよ?」

    「今日の為に新しい下着だから……」
    悟から顔をそむけて脱がせてもらう。

    「んー?」

    チュニックがソファーの上に置かれる。

    「本当だ。これは見たことないね」
    悟がじっくり見ている。

    「もういい?!隠していい?!」
    私は両腕で自分の上半身を抱き締めた。

    「ちょっと待って?!なんでそんな急に恥ずかしスイッチ入っちゃうの?!」

    「知らないわよ!早くハグして!!見ないで!」

    「えぇーーー?!見せるために着けてきたんじゃないのーーー?!」

    「そうだけどっ!!!」

    「まだ見る!!」

    そう言うと悟は私を抱き上げた。
    「ぎゃーーーーー!!」

    「ほらほら。ちゃんと抱きついてないと見えちゃうよ?」

    「ばか!えっち!」
    私は両腕を悟の首に回してできるだけ悟が私を見る視界を狭くした。

    「いや、そのために来てるしね?」

    ベッドに下ろされると、そのままフレアパンツも脱がされた。

    「ほらー。やっぱりちゃんと上下お揃いじゃん?」

    「もういや……」

    「薄いピンクに白と濃いめのピンクのレース……かわいい……」

    「言わないでぇ……」
    恥ずかしさのあまり泣きそうです。やめてください。

    「脱がせるのもったいないね」

    耳元で囁かれるとゾクゾクする。
    悟の唇が耳の後ろから首筋に向かって滑る。

    「んっ……」

    左腕で私を支え、右手で私の体をなぞる。
    指先がそっと触れる度に鳥肌が立った。

    「あたっ」
    コツンと眉間に何かが当たった。

    「どした?」

    「眉間に何か当たった___」
    目の前に指輪がぶら下がっている。

    「あぁ、指輪が襟元から出たのか」

    「あはは。こういう事になるのね」

    「気を付ける」

    「大丈夫。痛くなかったし、多分これからも何回もありそうだし。悟はずっと仕事中も首から下げてる?」

    「そのつもりだけど。実は仕事の時は外す?」

    「……つけてていい?」

    「全然いいよ?事務棟で彼氏いる事になってるんでしょ?別におかしくないと思うけど」

    「あ、そっか……じゃあずっとつけてる」

    えへへになる。
    何度も見ても綺麗な指輪だ。

    「あ!でも傷つけちゃうのも嫌かも」

    「一緒に過ごした日々の分だけ仕方ないよ」

    一緒に過ごした日々の分だけ。
    そのフレーズがとても気に入った。

    「そうだね」
    改めて悟を抱き寄せる。

    「悟、お風呂行かない?」

    「りょーかいですっ」

    「ちょっ!歩ける!」

    悟は私をお姫様抱っこすると、そのままバスルームまで運んだ。
    脱衣所でスポンスポンと服を脱いで全裸になる悟。私はとりあえずブラとショーツの姿にバスタオルを巻き付けた。悟はまた筋肉がついてがっしりしてきた。顔だけでなく身体も均整が取れていて彫刻みたいだ。

    「自分は見られるの嫌がるくせに俺のは見るよね?」

    「……ごめん……見惚れた……」
    思わず顔をそむける。

    「純粋に見られるの恥ずかしい?それとも傷があるのを見られるのが嫌?」

    そういえばどっちだろう?

    「……電気消そうか?」

    「……傷は……前みたいに自分で見ても気持ち悪くなったり吐いたりはしなくなったけど……やっぱり悟が完璧すぎて気後れしちゃうのもある……かな……」
    悟の顔が見れない。

    「……ねぇ、実は何回言ったら信じてくれる?」

    「……なにを?」

    「実はかわいい。この世で一番かわいい。おばちゃんになってお腹が出てもおばあちゃんになってシワシワになっても俺にとっては実が一番かわいいの。分かる?気後れする必要なんてないの。何回見ても飽きないしハグしたいしキスしたいの。」

    「……ありがと……」
    私は今、さらに赤面しているはずだ。
    悟がバスタオルを外す。

    「目も髪も、頭のてっぺんから足の先まで。この傷も全部俺だけの実だからね?逆もおんなじだよ?俺は全部実のものだから、好きにしていいんだよ?」

    「えぇっ?!」

    「いいよ?実の為に俺がいるんだから。俺の中で最優先事項は常に実だよ」

    「……ハグして?」

    悟はそうしてくれた。
    いつもそうだ。悟は私の要求を断らない。全部受け入れてくれる。

    「悟。ありがとう。大好きよ」

    「知ってる」

    「ぷっ……その言い方よ……」

    「よし、泡風呂入ろう!」

    「そうだね」

    「ブラ外してあげようか?」
    言い終わらないうちにブラジャーのホックが外される。

    「……口と手が一緒に動くのってどうなの?」

    「もう待てないの!」

    あっという間にショーツも脱がされバスルームに連行された。




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