斜め向かいの椅子に座るカルナが顔を上げ、アルジュナを認めて懐かしそうに笑った。ロールカーテンの下ろされた技術部のオフィスは淡い水色に潤んでいる。三つ年上だ。折り目正しいネクタイの結び目は、彼の社会人としての振る舞いへの習熟を示している。いま、膝を付き合わせひとつの画面を見つめている男より、カルナはずっと大人で、だから学生時代のアルジュナは菓子をほしがるように焦がれた。彼が甘いお菓子から夏の暑い日の塩に、そして砂漠での一滴の水に変わるまで一年かかった。いらないと思ったのだ。十九歳のアルジュナが振った二十二歳のカルナはよその部署に配属された中途採用の新人として彼よりもアルジュナよりも年下の先輩に仕事をならっている。
3153