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    関東礼

    @live_in_ps

    ジュナカル、ジュオカル、ジュナジュオカル三人婚
    成人済

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    POIPOI 21

    関東礼

    DOODLE既婚者アイドルのジュナカル
    二人が結婚してインディーズアイドルをしている話
    お腹の中の国 カルナの私空間はもちろん腹の中だ。ミント色の写真館の奥に、一階から二階までを全面ガラス窓にした円柱形のビルがある。ちょうど中央で仕切り半分が美容室、もう半分をアイドルの練習スタジオにして、地獄極楽小路をきりりと見据えていた。アルジュナとは結婚している。デビュー前から入籍していた。三つ年下の彼は夫とも妻ともつかない。妻と呼びたくなるほど顔立ちが子猫に似てかわいらしく、夫と呼びたくなるほど表情が凜々しい。総じて童顔で、小粒のチョコレートに似た可憐さがあった。時折鼻や唇に齧り付いている。唇の先で吸うアルジュナの味は、やや辛みのあるバターといったところで、滑らかな肌と、ほんのりとある産毛が、いつもカルナの空腹を慰めるのだった。彼は誰にかわいいと言われても当然と受け止める。十三歳の時、十六歳のカルナにつきまとって恋人にまでなれた理由が、アルジュナのかわいさだったからだ。当然でしょう。アルジュナはいつも「~でしょう」と話す。先生のように振る舞う姿が愛しい。誰にも敬われない立場だったとして、それでも彼はきっと先生の話し方をした。欠落も欠乏も感じなかったからだ。カルナに出会うまで。
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    関東礼

    PROGRESS12月18日発行予定のジュオカルカル新刊冒頭です
    神様、はじめての夏休み 故障していない電話がそこにあるのは、砂漠でオアシスを見つけるより幸運だった。モリアーティが背中を向け、スパイラルコードをいじりながらそわそわと僅かに歩を進める。青で統一されたカウンターで、胸当て付きのエプロンを着たカルナが沸騰した湯でグラスを濯ぐ。アルジュナオルタの咽頭をウイスキーが過ぎる。心臓の代わりに氷を抱いたきついアルコールは、汚すように刹那彼の粘膜を焼き、真っ逆さまに腹へと溜まる。酔いは回らない。彼は味覚が夢みたいに淡い。天井近くの棚に据え付けられたテレビでは、モルディブのリゾートの映像が流れている。白い砂浜、光と影を列挙する青い海、島を横断する二百メートルのプール、三角屋根の連なるホテル、浜辺に一粒置かれた透明な、泡を模したベッドルーム。楽園のイメージはなみなみと高い気温の中を溢れんばかりに高まって、アルジュナの思う故郷の雨季を隠した。胸に注がれた土砂降りの雨はカルナがグラスをくぐらせる冷水と重なり、白い指の印象を濡らす。ボウルへ積まれた葡萄を一粒口に含めば、舌が熱烈に果汁を歓迎した。貧しい言い方をすると、アルジュナはまだ赤ん坊で、カルナは彼の食べかけのおもちゃであり親だ。恋人でもある。年末恒例となった閻魔亭での休暇をキャンセルし、常夏の南の島へ赴く。その誘いをした。
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    関東礼

    PROGRESS10月発行予定の短編集に収録するサキュバスカルナさんのジュナカルの作業進捗です
    サンプルで出せるところまで
    万華鏡暮らしのかわいい悪魔 完璧な日没を済ました空が薄手のジャケットを着た肩へ懐かしそうに接し、幅の広い影を生んでいた。カルナにはさいしょ、それが誰かわからなかった。若い男だ。後ろ姿では年齢は曖昧になるが、膝から腿にかけての発条が入っているかのような力強さでおおよそ察した。凜々しさの種類も―三十歳を超えた青年には特有の迫力が宿る―まだ柔和で、癖のついた黒髪は僅かな明かりを吸って天使の輪を浮かべている。はっと思い出した。アルジュナだ。四つ年下の従弟がカルナの部屋の前に立っている。褐色の指がインターフォンのボタンを押した。その後しばらくじっと動かなかったから、もう一度ボタンに指を伸ばすと思ったけれど、彼は物言わずドアを見つめ、アパートの階段を廊下の向こう側からおり始めた。カルナがそっと後ろについていき、見下ろすと、アルジュナが一歩道へ踏み出した途端、雨が降り出した。九月生まれの、まだ十九歳の従弟は、六月の雨ののろまな銀糸を振り切って走り出した。会社から帰ってきたばかりのカルナの鞄の中には、バーバリーチェックの折り畳み傘が入っている。鍵をあけ帰る部屋の傘立てに、モスグリーンのラインのプリントされた物が一本。差し出せば良かった。思って、祈るようにカルナは躊躇った。昔、彼を襲ったことがある。しかし、彼は彼に会いに来た。ドアを開け内側から施錠する仕草に、アルジュナの見たかっただろう光景が重なった。カルナが顔を出すのを期待していた筈だ。その通り。本当はもうキッチンで夕食を作っている時間だった。五歳のアルジュナがカルナの髪みたいと言ったとうもろこしのひげを切り、皮を剥き小さな身を芯から外している筈だった。全部彼の顔を見ないままやる。うがいの合間に洗面台の鏡に視線をやれば、舌がじんと疼いた。ウォールナット材の枠に囲まれた真四角の反射面に、カルナの模様がひりひり光っている。薄い舌は生き物の肉にぴったりとはり付くよう細やかにひらつき、神経が通っている。そいつはアルジュナをとてもよく覚えている。白熱灯によって青みを帯びた黄色に変わった光が、カルナの口内に侵入し、粘膜をつやめかせた。模様は口を開きすぎた彼が発した溜息に従弟の名前に含まれるものと同じ音を見つけて痺れ、熱をもつ。そいつはアルジュナを愛している。いや、愛してなんかいない。
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    関東礼

    DONEリクエストいただいた「貴方は私より永遠に若い」(おにしょた赤ちゃんプレイジュオカル)の続きのジュオカルです
    カルナさんが中学生になりました
    全年齢です
    二人がジェンダーフリーのウエディングドレスを着たり、じゅなおが光る首輪をつけてゲーミングじゅなおになるシーンが含まれますので苦手な方はご注意ください
    終の棲家はお前の口 ヤシの木陰で、オルタは白い水着に白いシャツを肩から掛けていた。カルナの麦わら帽子には青い造花が付いている。十四歳になるカルナはグローブ代わりに腕に幅広のレースのリボンを巻き、紐のついた瀟洒なサンダルを履いている。八歳から付き合っているから、交際期間は六年だ。二人の年の差が縮まる前に、彼と両親の年の近さが目立ち始めてびっくりした。オルタは友人の結婚式へ小さな恋人を恥ずかしげもなく連れて行き、引き出物として渡された一合分の白米をカルナの分もねだった。
    「ビーチでの式はおもしろいが暑かったな」
    とカルナが言うと、
    「水着でも、参列者は結婚式で白いものを着てはいけないから……」
    とオルタは言って、一週間後には海辺のホテルを予約した。連れだって白い鞄を買いに行った。ご機嫌なサングラスなども。トランクの中に着替えとタオルを詰め込み、コンドームの他におむつを入れようとすると、旅先では捨てる場所に困るのでやめましょうと返ってきた。スタイは入れた。カルナの腕に取り付ける授乳枕も。真夏のきつい日差しがたっぷりと降り注ぐ中、髪がすっぽり木陰に入るようチェアを置く。パラソルの下でカルナは浮き輪に腰掛け、ビーチボールに少しずつ息を吹き込む。遠景に波がきらきらと輝いた。大きな扇が混じり合うように飛ぶ海猫の、その一羽一羽の嘴の先の赤い班や黄色い足がオルタの目にははっきりと見分けられる。尾羽を染める黒い帯が夏空に鮮烈だ。細い髪の過る真っ白いカルナのこめかみを、汗の一筋が滴っていく。完璧に膨らんだビーチボールを抱え、彼が波打ち際へと近づいていく。高くなり低くなる波の面に歪んだ菱形の反射が連なり、飛沫の上がると共に切りだった水の壁を白い腿が踏み越える。腹から海の浮力に従い、カルナの身体が優雅に寝そべる姿勢になり、つんのめるようにして西瓜を模したボールにしがみつく。指に引っかけてすぐ傍へ置いていた浮き輪を目印にし、彼の頭が浜の底を探る。抱えたままだったボールが滑って脚の間を転げていき、カルナは魚の反転をして追いかける。
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