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    melt_b_rain

    @melt_b_rain

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    melt_b_rain

    MAIKING狭いとこに閉じ込められたソールさんとマリオンさんの掌編
    熱伝導 あれからどのくらい経ったのだろう。
     色んなことが重なってソールはマリオンと共にロッカーの中に閉じこめられていた。ドアには鍵がかけられていて、蹴破ろうにも金属製のそれはびくともしなかった。それでもマリオンが背中から何度か体当たりしていたら、勢い余ってバランスを崩してしまい、ロッカー自体が横倒しになってしまった。
     咄嗟にソールがマリオンを抱き込んで庇ったため、ソールは彼女の下敷きになる形で折り重なってロッカーの中で倒れ込んでしまっていた。
     ロッカーの壁面に打ち付けた背中や腰が痛むが、ソールにはそれ以上に気にかかることがあった。
    「大丈夫? ソールくん、重くない?」
     それはロッカーの狭さゆえに自分の上で身動きが取れなくなっているマリオンの存在だ。見た目以上に細く華奢な体躯なのに触れ合っている部分は柔らかく温かい。彼女が身動ぎする度に艶やかな黒髪からは甘い匂いが鼻先を掠めて、ソールの内側を甘く刺激してくる。狭い空間に押し込まれたやむを得ない状況とはいえ、憎からず想っている相手とこんなに密着した状態では否が応でも意識せずにはいられなかった。
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