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    rani_noab

    @rani_noab
    夢と腐混ざってます

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    rani_noab

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    週ボス俺!!(語弊のある略し方)続き!!
    原稿進捗。あと5000字くらいかけたら支部に上げたい。

    気がつくと例の旅館のベッドの上だった。鍾離先生に会った後、疲れて眠ってしまったらしい。
    旅についていく、という話をしていたけど、これじゃ俺ついていけなくね?
    半日経たないくらいで寝ちゃう子供なんてお荷物どころの話じゃない。流石にパイモンは俺のこと抱えられないだろうし、空君を説得して璃月に残り、なんとか生活していくしかないのだろうか。と言ってもこの姿じゃ仕事もできなさそうだった。つ、詰んだ……?
    「ハル!起きてるか?」
    声をかけられて目を擦りつつ体を起こすと、パイモンがふわふと俺に近寄ってくるところだった。
    「パイモン!おはよ」
    俺の体質に慣れたのか、心配そうな顔もないのが逆にほっとした。パイモンは元気そうなのが一番だもんな。
    「おう!おはよう!支度したら朝ごはんにしようぜ!近くに朝定食が美味しい店があるって旅館の人が言ってたぞ!」
    「外食!」
    朝から贅沢!飛び起きた俺を笑うこともなく、パイモンが楽しみだな!と笑いかけてくる。うっかわいい。俺やっぱりパイモンについていく!先生は徐々に起きていられるようになるって言ってたし、ここは筋トレか?サトシみたいにパイモンを肩に乗せれば自然と体力がつくんじゃね?
    支度していると、空君が部屋に戻ってきた。空君にちょっと似てる服を買ってもらったんだった、と思って機嫌よく着替える。寝癖がついてたらしく、空君とパイモンがああだこうだ言いながら直してくれた。二人それぞれにこだわりがあるらしい。いじられるのが面白いしこの夢俺に都合が良すぎて心配になってきた。俺の頭大丈夫か?
    「今日はどこか行くの?」
    「今日は銀行に行く予定」
    「銀行?」
    銀行って……北国銀行?いやまさかね。
    璃月だって北国銀行以外に銀行があるはずだし、関係者が依頼を出しててそれを聞きに行くんだろう。凝光様が北国銀行にモラを預けるはずないもんな!
    パイモンと美味しく鶏肉の入ったスープとご飯をたくさん食べて、俺たちは今日の目的地へと到着し……やっぱ北国銀行じゃん!!!!!
    足の短いショタには璃月の階段はきついぜ……と、へとへとになった俺を心配してくれながら、空君は顔パスで中に入る。少し物々しい雰囲気のある北国銀行にさっと入っていく空君は格好よかった。俺旅人全肯定botになる素質あるわ。俺こそが肯定bot 第一位。
    受付で仮面で顔は見えないものの、美人の雰囲気がめちゃくちゃあるエカテリーナさんをショタであることをいいことにじっと見上げてると、俺を見下ろしたエカテリーナさんは綺麗に口紅が引かれた唇で微笑んでくれた。ショタで良かった!!!
    でれっとしていると、奥の扉が開く音がする。
    「やあ相棒!」
    颯爽と現れたのは予想に違わずタルタリヤだった。うわ、イケメンじゃん……。颯爽と現れるのめちゃくちゃ似合うじゃん……。ってか俺から見ると身長高いからめっちゃ見上げることになる。
    「この前はテウセルの相手をしてくれて助かったよ」
    ってことは、タルタリヤの伝説任務後だな?ちょっと最後のあのシーンみたかったな〜〜〜!!!かっこよくて興奮した。ってかタルタリヤの魔王武装とか、俺としては結構興奮する響きだし、仮面ライダーみたいな格好で割と気に入ってる。流石に今回の夢で実際に目にする機会はなさそうだけど。
    タルタリヤの声に空君は首を横に振って、無事に帰れた?と聞き、タルタリヤはお礼の言葉と一緒に頷いていた。
    お礼が言える悪役って良いよなあ。タルタリヤは悪役というか、いや悪い奴か……。
    「ところで、そっちの子は?」
    「紹介したいんだけど、その前に場所を移動しない?」
    「内緒の話かい?」
    「そんなとこ」
    じゃあ、とタルタリヤが案内してくれたのは、打ち合わせや取引のために用意されているっぽい部屋だった。広くて高そうな調度品が置いてある。一個いくらなんだろうなあとしげしげと眺めていると、空君は口を開いた。
    「ハル。この人はタルタリヤ、悪いファデュイ。タルタリヤ、この子はハル。この前黄金屋で拾ったんだ」
    「黄金屋で?」
    ん?と解せなそうな顔をするタルタリヤにそこじゃなくね?と思っている俺をよそに、空君は続ける。
    「タルタリヤ、ちょっとこの子、抱きしめてみてくれないかな」
    「え?」
    「あはは!なんだかわからないけど良いよ。俺は敗者と子供にも優しいからね」
    今悪いって紹介した人に俺を抱きしめさせるの!?空君!!
    空君に意図があるとでも思ったのか、快諾しすぎのタルタリヤに俺は後退りをする。逃げる先がなく、空君にひっつくと、空君は大丈夫だから、とタルタリヤの前に差し出した。空君!?!?!?俺このお兄さんの本性しってるから怖いんですけど!??!!??
    俺の目の前にきて、タルタリヤは当然のようにしゃがんでくれた。子供の扱いに慣れてる、と思いながらおずおずと顔を見ると、タルタリヤは手を伸ばして俺をぎゅっと抱きしめた。抵抗する暇もなかった。うっ…………良い匂いがする!!なんだこいつ!!絶対現実にいたらクソモテる!!ずるい!!と反射的に威嚇しそうになった俺に、あ、とタルタリヤが声を上げる。え?なに?
    「どう?タルタリヤ」
    「相棒は確証がなくて確かめに来たってところかな」
    「そう」
    「え?なんの話だ?」
    またパイモンと思考が被ったが、え?なに?なに?何の話?!
    俺に比べたらずっと大きいタルタリヤに抱きしめられているせいで何も見えない。いやでも人に抱きしめられるのって結構安心するな……。いや正気に戻れこいつはタルタリヤだ。
    ふいに体が離れて、あったかかった体温が遠のいていく。止めていた息をついた。び、びっくりした……絶対寿命が縮んだ……。それからタルタリヤはまたぎゅっと俺を腕の中に押し込める。
    「なんで!?」
    「あはは、この前会ったばかりなのにテウセルが恋しくなってきたよ」
    「公子!ハルをいじめちゃダメだぞ!」
    じたばたとする俺を上手にいなすタルタリヤはマジで子供慣れしていた。く、くっそ……!大きくなったら絶対蹴りを一発入れてや……。やっぱり怖いから何もしません。うう……本当はショタじゃないのに早くおっきくなりたい……。
    好きなだけぎゅっとされてからようやく離してもらった俺は、すぐに空君の背後に行き隠れる。パイモンがタルタリヤと俺の間に割って入ってくれて守ってくれた。ぱ、パイモン……!今は空君の力を借りないとお前をぼこぼこに出来ないけど覚えてろよ!!
    「怖がらせちゃったかな」
    「俺が説明するから大丈夫。タルタリヤ、傷はどう?」
    「ハルのおかげですっかり元気だよ。魔王武装のダメージってそうそう癒えないんだけど、珍しい力だね」
    なんの話?
    きょとんとして空君を見上げると、パイモンも不思議そうにしているのが見えた。
    「旅人、公子となんの話をしてるんだ?」
    「ハルと出会った時の黄金屋で気づいたんだけど、ハルを抱きしめたり、抱きしめられると傷が回復するみたい」
    「ええっ!?」
    「マジで?!」
    「マジで」
    真面目な顔で頷いた空君が、マジ、なんて言葉を使ったのがちょっと面白かった。
    「タルタリヤ、怪我治ったの?」
    タルタリヤはまだ俺の視線にあわせてしゃがんでくれている。
    「うん。君のおかげでね。ありがとう、ハル」
    タルタリヤにお礼を言われると思っていなかった俺は、ちょっとどきっとしてしまった。なんだかんだ言ってタルタリヤ好きなキャラなんだよな。こう、場合によっては敵にも味方にもなるみたいな立ち位置のキャラって格好いいわけで。
    「良かったね」
    「うん。これで退屈じゃない仕事も出来るよ」
    それは治さない方が良かったんじゃ?と思いながら、まあでもタルタリヤの仕事って基本取り立てだったよな……と思い返す。まあ……良いのか?
    それにしても、俺にそんな能力があるなんて。やっぱり転移した主人公は何かしらの能力があるもんだもんな。ハーメルンとなろうが俺の力の源。グッジョブテンプレート知識!空君の旅にちょっとは役に立てそうだった。
    タルタリヤの元に来たのも、伝説任務後でタルタリヤが弱っていることを知っていたからなのだろう。
    「タルタリヤ、反応で察してるけど、一応聞かせて。この子のこと、知らない?」
    そう言って空君は簡単に俺の素性の説明をした。するとタルタリヤは考え込むようにしながら首を振る。
    「残念だけど知らないよ。璃月の子たちとは、たまにファデュイ討伐ごっこをするんだけど、港で見かけるこの中にもいないと思う」
    「そっか……」
    残念そうな顔をするパイモンと空君に、俺はファデュイ討伐ごっこについて聞いて欲しかったけど二人は気にしていなさそうだった。こいつファトゥスなんだよなあ、と思う。出来ればこの先、また戦うことがなければ良いんだけど。その時は俺の空君でぼこぼこにするけどね!ここでいう空君は俺が現実で育成して聖遺物を厳選しまくった空君のことです。
    そういえば夢の中のせいか、というか俺の脳にそこまでのキャパがないんだろうけど、NPCの名前も表示されてないし、ってことはダメージ数も見えないのか?リアルダメチャレ面白そうだったんだけどな……。
    「治してもらった恩もあるし、ハルのことは気にかけておくよ。強い敵と戦いに行く時は是非誘ってくれ、相棒」
    「機会があったらね」
    「またなー!公子!」
    「ああ、また」
    手を振ってくれたので俺も手を振りかえす。
    北国銀行から出て、パイモンは俺の頭に両手を乗せるようにしてくっついてきた。
    「それにしても、ハルにそんな力があるなんて気づかなかったぜ。旅人、なんで教えてくれなかったんだ?」
    「確信がなかったから。タルタリヤに話を聞くついでに確かめようと思ってた」
    「それにしても、最高の案内人と最高の回復役、そして旅人!結構良いパーティだよな!」
    楽しそうなパイモンにこくこくと頷く。パイモンにそんなことを言ってもらうとすげー嬉しい。ありがとう俺の想像力……。
    「後はハルの体力がもっとつけば……って、ハルー!」
    今日はここまでらしい。
    急に襲ってきた眠気に勝てず、俺は地面に倒れ込む。その直前で、空君が抱き止めてくれたのだけは分かった。
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