「お届けものです」
声をかけられて振り向いた相手に、初春は目を見張る。
「唯嘉お兄ちゃん……!?」
鎖国してから何年も会っていなかった、馴染みの青年の姿に初春は思わず駆け寄った。
佐神の顔をよく視て、それから怪我がないかを確認し、ほっとしてからその左手が差し出す封筒に視線を向ける。
その宛名に見覚えのある字で自分の名が記されているのにそっと手紙を受け取り、両手で胸に当てるようにして初春は唯嘉の顔を見上げた。
「万葉さんから?」
今までどうしていたのかや、万葉とどんな関係なのか、気になることはたくさんあるのに、唯嘉の眼差しが優しいものであることに、万葉との関係を知っているのだと察してじわじわと頬に赤みが差す。
「相変わらず可愛らしいお嬢さんだな」
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