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    rani_noab

    @rani_noab
    夢と腐混ざってます

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    rani_noab

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    週ボス報酬は俺です 4 前半 りゅぇ満喫中

    嗅いだことのない飯の良い匂いがする。
    屋台の周囲を通った時もそうだったけど、異国情緒ってこういうところですごい感じる。
    俺は視線が低いせいか、何度も(ゲーム内で)通ったことがあるはずなのに見上げないといまいち記憶と一致しない通りを歩く。ゲーム内と違って璃月は違和感のない感じで拡張されていて、七国一番の商業の街らしい大きさを感じた。こういうリアルさに合わせてくるあたり俺の脳もすごい。これが勉学に発揮されないのだから残念だったが人生楽しんでるのでヨシ!ただ17連勤はちょっと楽しみすぎだった。モラが欲しいからといってシフトを変わるんじゃなかったわ。
    時折、俺と同じくらいの子供とすれ違ったりするけど、向こうは俺の格好のせいか興味を持った顔でじっと見つめてくるので、俺はなるべく目を合わせないようにして早足で通り過ぎた。子供からコミュ障発揮するのどうかと思うけど、中身は大人なので許せ!心はお兄ちゃんなんだ!
    きょろきょろとしながら、恐る恐る万民堂の店の前に立つと、卯師匠が黙々と料理しているのが見えて俺は目を輝かせてしまった。
    本物だ!ちょっと顔は覚えてないけど職人っぽい雰囲気あるしこの人だ!行きがけにちょっと料理するのに立ち寄ったのに覚えてないってどういうこと俺?
    見上げている俺の視線に気づいたのか、卯師匠はちらりと俺を見下ろした。
    「…………」
    「…………」
    「…………」
    「…………なんだ坊主、腹でも減ってるのか」
    「う、うん」
    ぎこちないやりとりが始まってしまった。
    「香菱!」
    後ろを振り向いて呼びかけた卯師匠の声に俺は両手を握ってしまう。香菱!いるんだ!
    「はーい!お客さん?」
    ひょこ、その声の後にひょこ、と顔を出した香菱と、その後ろにはグゥオパァーがいる。グゥオパァーでかくない!?俺よりでかくない!?俺が小さいのか!?
    俺を見て楽しそうにぴょこぴょことグゥオパァーが足踏みをするのに、俺は好奇心のままおそるおそる近寄った。動きがマスコットっぽくてかわいい……。抱きつきたくてうずうずするが、流石にコミュ障とはいえ、失礼をかますわけにはいかなかった。
    「君、ご飯食べにきたの?」
    「あ、はい!モラならあります!えっと……璃月にきたのは初めてで、万民堂が美味しいって聞いて」
    それっぽい話を言え〜〜!頑張れ俺!
    「一人なの?」
    「一緒の人は仕事だから、僕一人で行けるよ!って言ってきた!」
    にこにことした表情を作って返事をすれば、小さいのに偉いね!と香菱に褒められて気恥ずかしさとでれでれとした気持ちになる。お姉さんの香菱も可愛い。しっかりしている印象だったから少し膝をかがめてくれたのに本当にお姉さん感がある。
    「偉いね!君、辛いものは平気?甘いのは?どんなものが食べたい?」
    「えーっと……、辛すぎなければ大丈夫。甘いのは好き」
    万民堂の料理名何一つ思い出せねえ。チ虎魚焼きが違う店のものなのは知ってる。お、俺の原神での好物は鳥肉のスイートフラワー漬け焼きだったから……。
    「お魚の……」
    「うーん、何がいいかな。あんかけとか好き?」
    「好き!」
    「じゃあ揚げ魚の甘酢あんかけ作ってあげる!」
    「やった!」
    ぎゅっと両手を握って喜んでしまう。待ってくれこれはパイモンのが移った。ショタムーブが上手くなってきてしまっている。しっかりしろ俺。
    「私は香菱っていうの。君は?」
    「俺はハル!香菱さんよろしくお願いします!」
    話している間もちらちらグゥオパァーを見ていたせいか、香菱がグゥオパァーに手招きする。グゥオパァーが俺の前に立った。やっぱりでかい。
    「この子はグゥオパァーっていうんだ。私の友達!」
    「初めまして、グゥオパァー!俺、ハル!」
    それから我慢できずに言う。
    「グゥオパァー、触ってもいい?」
    言った瞬間、グゥオパァーは首を傾げてから俺にさらに近寄って、ぎゅっと、ぎゅっっっっ、もっふい!!!!!!!
    あったかくてふわふわしていてぎゅっとするともちっとして俺は思わず抱きしめ返す。至福!吸っていいか!?吸う!!
    「げほげほげほっ!」
    吸ったらすごい辛い匂いがした。うっ、これは唐辛子的なあれ!!
    「大丈夫!?」
    グゥオパァーもびっくりして俺の背中をぽんぽんしてくれる。ごめんグゥオパァー、俺に猫吸いの癖があるばっかりに。
    「大丈夫……。ありがとうグゥオパァー」
    ぎゅっと抱きしめ直すと、名残惜しいながらもそっと離れた。もふもふだった。もふもふは神。
    グゥオパァーは俺についてくるように合図をする。中を覗くと、そこはちょっとした食堂みたいな作りになっていた。竈門しかなくて持ち帰る店なんだと思っていたのに、夢だと都合よく食事ができるようになっているらしい。
    グゥオパァーが水の入ったコップを運んできてくれて、俺は受け取る。喉の奥が辛かったのが癒やされた。
    香菱が料理している姿をわくわくと眺めてしまう。月逐い祭の料理王決定戦はも終わったのだろうか。料理対決は見たかったし刻星にも会いたい。
    出された料理の隣に、杏仁豆腐がつけられていて俺はぱっと香菱を見上げた。
    「一人で来られて偉いからサービス!食べてみて、万民堂の杏仁豆腐も美味しいよ!」
    「ありがとう!」
    いい子すぎる…………!!!!!
    感激しながら熱々のあんかけをかりかりに上がった魚と一緒に食べる。
    「美味しい……!!!!」
    オタクなのに語彙がない!
    ここしばらく空くんのおかげで美味しいご飯をいっぱい食べていたが、一番の美味しさだった。
    あんの美味しさもさることながら、魚も中の肉がふわふわで食感の違いが美味しさを引き立てているし、甘酸っぱさも強すぎずに食欲をそそる。璃月がお箸文化でよかった!いっぱい頬張ることができる。璃月最高!
    食べてる間、グゥオパァーがずっと近くでぴょこぴょことしていてめちゃくちゃ可愛かった。
    「グゥオパァー、ハルのことが気に入ったみたい」
    「俺もグゥオパァー好き。万民堂のご飯も!」
    ちょっとあざといな、と思ったけど今の俺はショタ!ショタなら許される。それにここは俺の夢だもんな!
    「良かった!また来てね、ハル」
    「うん!」
    丁寧にごちそうさまをして、香菱にちゃんとモラを支払う。
    名残惜しさを感じながら、俺は二人にバイバイと手を振った。璃月にいるうちにもう一回来よう。もう二回?三回でもいいな。
    今度は辛いものに挑戦したい、と思いつつ、そろそろ宿屋に戻らないと落ちるかも、とどきどきしながら部屋へど無事に戻る。
    そこでちょうどスタミナが尽きたらしい。
    ぱたりとベッドに倒れ込んで、すぐに眠りに落ちていった。


    はっと目が覚めた。
    がばっと起き上がって、周囲を見回す。自分がなんで起きたのかわからなくて、心臓がどきどきとしていた。
    「……空君?パイモン?」
    呼んでも部屋には俺しかいない。二人ともまだ帰ってきてないみたいだった。
    まるでキャラクターの特殊能力である『虫の知らせ』みたいな感じで、落ち着かなくてベッドから降りる。
    「あれ?」
    四連休の三日目でいっぱい眠って今日も休み!ってなった時に似てた。つまりめっちゃ元気だった。
    今ならなんでも出来そうな気がする!みたいなフラグを立てるつもりはないけど、そんな気分だ。
    宿屋の外に出ると、ちょうど空君とパイモンがこちらへ向かってきているのが見えた。
    「空君!」
    「ハル、良い子にしてた?」
    「してた!空君たちは行方不明の人たち見つかった?」
    「見つかったぞ!みんな無事だった。その後ちょっと大変なことになったけど、オイラと旅人と鍾離がいたから、どうってことなかったぞ」
    「流石二人ともすごい!」
    つまり若陀龍王を倒したってことだろ?先生がいないのは、あの木の下で若陀の記憶を思い出しているのだろうか。ちょっと切ない気持ちになりながら、俺は空君たちがいない間、香菱とグゥオパァーと会ったことを話した。
    「それで、起きたななんか元気になってたんだ」
    「それって、ご飯が美味しすぎて元気いっぱいになったってことか?」
    「違う!えーっと、こう、起きたら力がもりもりって」
    「いっぱい寝た?」
    「そうじゃなくて、なんか強くなった感じがする!」
    俺の要領を得ない話を聞いてた空君は、それから気づいたように両手を軽く広げる。
    「ハル、こっちに来て」
    「ん?」
    よく分からないまま手を広げて空君に抱きつく。ぎゅっとすると、空君からは土の匂いがした。冒険してきた匂いだ。
    「本当だ。回復速度が速くなってる」
    しばらくじっとしていた空君が手を緩めたのに俺は目を丸くした。レベルアップ!?
    「なんでかな。香菱のご飯?」
    「違うと思う。……秘境を開けたからかな……」
    空君がぼそりとつぶやいたので俺ははっとした。
    つまり……俺は週ボス報酬……!!!!!
    「ハル」
    でも危ないよなあ。夢で死んだらどうなるんだ?と考えている俺に、空君は呼びかけた。顔をあげる。
    「一緒に秘境に行ってみない?ハルのことは絶対に俺が守るから」
    「行く!」
    考える理由なんてなかった。推しが守ってくれるというのなら!信じるのがファンだろ!!
    パイモンが何かを言う前に返事をした俺に、パイモンがはやっ!と突っ込むのが聞こえる。多分ターゲットにされている人から一番遠いところにいて、先生のバリア貼ってもらってればなんとかなる気がする。あれ?俺って四人制限に引っかからないよね?仙霊みたいなポジションだよね?流石に一枠使うのは怖い。
    「空、こいつ本当に連れて行くのか?黄金屋よりも隠れるところなさそうだったぞ……」
    「大丈夫。鍾離先生も誘うし、あと」
    あと……誰!?もしかして岩共鳴で凝光さま!?
    「タルタリヤも手伝ってくれると思う」
    「タルタリヤ……」
    好きだけどタルタリヤか……。確かに今空君岩属性だもんね……。
    「ハルのことを知るためにも、確かめたほうがいいと思う。稲妻で見つけた秘境はもっと危ないかもしれないから」
    「確かにそうだよな。オイラも安全な場所を誘導するぞ!任せろ!」
    「だけどその前に」
    「その前に?」
    「朝ごはんにしよう。ちょっと遅いからブランチだね」
    「「やったー!」」
    俺ちょっと食べてばっかりじゃない?と思ったけど、ショタはいつでも食べ盛りだから問題ないということにしておこう。

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