宣戦布告 2 一万ボルトの宣戦布告
あなたは引き裂いたのよ。わたしの心を、いとも簡単にね。それはまるで稲妻のように。
……たしか、こんな感じの歌詞だったはずだ。
俺、リヴァイ・アッカーマンが、自分のファミリー・ネームを覚えることに苦戦していた幼いころ。伯父の車の後部座席で、うたた寝をしながらきいた古い歌謡曲があった。それを最近、よく思い出す。
それはきっと恋をしたからなのだと俺は考えている。生まれてはじめての恋だ。
てっぺんに昇った満月が、地上に落ちてきたと勘違いしちまうくらい綺麗な瞳が、俺とばちっと重なったんだ。
そのときの衝撃といったら! 口下手な俺には、上手く説明する能力は持っていないけれど。……とにかく、やつと目が合った瞬間、俺は暗黒の空に、ぴりぴりと裂ける稲光を見た。それが俺の脳天を狙って一直線に落ちてきて、貫いたのだ。
10115