おひいさんに押し倒されている。
いつものアホみたいな笑顔はナリを潜めて、いつか見た怖いくらいの真顔とも違う、オレの知らない感情を浮かべた顔で見つめてくる。
ソファの上でオレに跨って、逃がさない、って言ってるみたいに顔の真横に左手をついて、反対の手でオレの手首を掴んでいる。
……ほんの少しだけ、その手が震えているのが伝わってきて、察しの悪いオレでも流石にこの行動の意図くらいは読み取れた。
わからないのは理由だけ。いろんな『なんで?』がぐるぐる回って上手く言葉がまとまらない。
「……きみが、」
おひいさんが絞り出すみたいにしてようやく発した声はそれはもう可哀想なくらいに震えていて、おひいさん自身もそれを気にしてか再び黙り込んでしまった。
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