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    ten_itsushino

    @ten_itsushino

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    ten_itsushino

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    ドラマイ?不穏

    #ドラマイ
    drabai

    夢を見ている。
    そう自覚したのは、防いだはずのドラケンくんの死の場面を見ていたからだった。
    あの時、周りにいたはずのたくさんの不良達は、敵も見方も全ていなくなっていて、いるのはただ1人、佇むマイキーくんだけ。
    彼は、誰かを抱えていた。
    おそらく、小柄な少年。長めの金髪と裾長の黒い特服を着ている。
    マイキーくんは膝を付くと、血を流して仰向けに倒れているドラケンくんの横に抱えていた少年を下ろした。少年は身動ぎをひとつして、ドラケンくんの服を握りしめて安心したように丸まって、そのまま息絶える。顕になったその顔は、今まで彼を抱えていた人の顔と同じものだった。
    「これは葬式だよ」
    いつの間にか背後にいたマイキーくんがそう零した。
    「ケンチンに、全部連れて行って貰うの」
    オレの弱いもの、全部。
    そういったマイキーくんの瞳に、光は無い。あるのは空虚な虚と、はてなしの黒だけ。
    唐突に悟った。これは、1番最初の、何もかもを失ったマイキーくんだ。
    稀咲に操られ、闇の頂点に君臨する、無敵で孤独なマイキーくん。
    これは、彼の言った通り、葬式だった。
    彼の心の。涙の。痛みの。
    彼は無敵として立つために不必要で邪魔な、あらゆる彼の中の弱くて脆い部分全てを、彼のもう1つの心だったドラケンくんと一緒に埋める覚悟をしたのだ。

    ああ、君は辛かったんだね。
    辛くて、悲しくて。それでも立つしかなかったんだね。
    心を置き去りにしてでも、守りたかったんだね。

    ドラケンくんの横で眠るように死んでいる彼の心を見やる。
    穏やかで、心底安心した顔。
    あのブランケットなんてこれさえあればいいのだとでも言うように固く、かたくドラケンくんの服を掴んだ手。
    胎児のように、丸まる体。
    それら全てをじっと見つめて、とうとうマイキーくんは身を翻した。
    弱みを全て捨て去って「強く」なったマイキーくんは、全てを壊すだろう。
    それを知っていて、それでもオレは彼を止められなかった。
    夢だから、という言い訳は通用しないだろう。
    オレは、一種の救いを感じてしまったのだ。
    マイキーくんの弱く、幼い心はこれからずっとドラケンくんと共に有るだろう。
    もう傷つけられることも無い。
    安心出来る場所で、ずっと穏やかに微睡むのだ。

    これは、彼にとっては。
    救済以外の、何物でもないのだろう。

    そう、思ってしまったのはこの光景から目を背けたいオレの逃げなのだろうか。
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    fukuske5050

    MOURNINGド誕のつもりで書き始めだけれども…😭下書き状態でだいぶ意味不明ですが…いろいろ無理だった⤵️⤵️
    ドがひとつ年を取るのはマが身を削って頑張った証、と思って書きました
     やっと軌道に乗ったバイク屋の灯りが消えるのがは遅いのは毎晩のこと。営業時間を終えると共に店を営む相棒が先に店を出る。アイツは店にひとり残りデスクに向かい、辺りが暗くなった頃にやっとシャッターに鍵をかけて帰路へと向かう。
     跨るのは丁寧なメンテナンスを繰り返した昔と変わらない愛機。同じ商店街で挨拶ついでに総菜を買うか、遅くまで開いているスーパーで買い物をして帰るのが日課。渋谷の繁華街にある実家を出て、安アパートにひとり移り住んでからは一層堅実に生きている。
     けれどその日だけは閉店作業を終えると早々に店を出る。少しばかり遠回りをして、昔なじみの店で懐かしい味の甘味を2つ。時代に合わせるように改装した小洒落た店構えと女性向のメニュー。いかついツナギ姿の男がひとり、不釣り合いな店に入れば一斉に注目を浴びて少しばかり肩身が狭い。遠慮がちに店員に声をかけると、店員は古参なのか訳知り顔で表情を崩すと店の奥に声をかける。かけられた声にぱたぱたと小走りに姿を現したのは母親のような年代の店の主だ。にこやかに目じりの皺を緩ませて、小さな茶色の包みをアイツに手渡した。
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